【獣医師監修】猫に玉ねぎは食べさせてはいけません! ねぎ類の有毒性について

猫を飼う時に、気をつけたいことはたくさんあります。その中でも、「猫に玉ねぎを与えてはいけない」という話はよく聞きますよね。では、猫にとって玉ねぎの何がよくないのか、もし、口にしてしまった時はどうなるのか、紹介していきましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫に玉ねぎを与えてはいけない理由

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玉ねぎには、猫のカラダに悪影響を与える、ある成分が含まれています。それは「アリルプロピルジスルファイド」と呼ばれる、玉ねぎの辛み成分です。熱を加えると「甘み」に変化するのが特徴で、人が玉ねぎを切る時に涙が流れるのは、この成分が含まれているためといわれています。

このアリルプロピルジスルファイドが、猫の赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化させてしまうのです。このため、赤血球が壊れてしまう「溶血性貧血」という症状になり、カラダに充分な酸素を届けることができなくなってしまうのです。これがいわゆる「玉ねぎ中毒」の状態で、これを原因に様々な症状が現れます。

なお、アリルプロピルジスルファイドは、加熱してもその影響がなくなるわけではありません。玉ねぎの形をしていなくでも、玉ねぎを使った料理すべてに成分が含まれています。エキスが染み出たスープを飲むだけで、玉ねぎ中毒になる可能性があるので注意してください。

猫が玉ねぎを食べないようにするため、人間の食べるものを与えないようにしましょう。ただ、猫は盗み食いが大好きです。飼い主が与える気がなくでも、誤って食べてしまうことも考えられます。猫の手の届くところに玉ねぎを放置したり、保管したりしないように気をつけましょう。

玉ねぎ中毒について

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玉ねぎ中毒は、食べてすぐに起こるというわけではありません。ですから、玉ねぎを食べてすぐに症状が出ないからといって、安心してはいけません。症状が出るのに1~3日要するケースも報告されています。しばらく経過して、元気がないとか様子が変だと感じたら、玉ねぎ中毒になっている可能性があります。

玉ねぎ中毒になると、先述した溶血性貧血が原因となって、血尿、血便、黄疸、下痢、嘔吐、可視粘膜蒼白(歯茎や目の結膜が真っ白になる)など様々な症状が出ます。ひどい場合には痙攣をおこしてしまい、最悪の場合、死に至るケースもあります。

猫にとっての致死量は、体重5kgに対して玉ねぎ1個程度といわれています。ただし、これを下回っているからといって、安全というわけではありません。猫によって個体差がありますし、年齢や体調によっても、症状が重篤化することは充分に考えられます。

もしもの時の応急処置法

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もし、猫が玉ねぎを食べてしまったら、まずは吐き出させることが大切です。体重4~5kg程度の猫ならば、ティースプーン1杯の塩を飲ませるなどして吐き出させる方法もありますが、塩を使用した処置は水分や電解質バランスに大きな影響を与える場合があるため、かえって猫を危険な状態にしてしまう可能性があります。早く吐き出させなくては、と焦ってしまうかもしれませんが、獣医師による適切な処置を最優先しましょう。また、水を多めに飲ませて、胃の中の内容物や成分を希釈することで、症状が幾分やわらぐこともあるようです。

猫の様子に異変を感じたら、迷わず動物病院へ連れていきましょう。そのまま放置すると、症状が悪化し、死に至る可能性があります。医師に、いつ、どれくらい玉ねぎを食べたのか、詳細を伝えましょう。

猫が玉ねぎを食べてしまったらどうなるかを飼い主がきちんと把握するだけで、注意の払い方も変わってくると思います。周りに知らないという飼い主がいたら、しっかり伝えてあげたいものですね。大切な家族の一員を、不用意に命の危険にさらさないためにも、正しい知識を持って接するように心掛けましょう。

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