"責任ある選択"をーー。滝川クリステルさんと考える  、ペットブームの向こう側

"責任ある選択"をーー。滝川クリステルさんと考える 、ペットブームの向こう側

青森の高校生たちが動物殺処分の悲しさ、命の尊さを人々へ伝える《命の花プロジェクト》。滝川クリステルさんの一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルの支援のもと、殺処分後の骨を細かくして土に混ぜ、花を咲かせています。2020年までに殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指す滝川さんに伺った、人間と動物の共生・共存とは。

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Photo by Kazumi Kurigami

2020年までに殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指すーー。滝川クリステルさんが代表を務める一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルは、青森の高校生たちによる《命の花プロジェクト》を支援しています。殺処分後の動物の骨を細かくして土に混ぜ、大きな花を咲かせて人々に伝える、命の尊さ。クリステルさんに伺った、人間と動物の本当の共生・共存とは。

きっかけは、青森の高校生から届いた一通の手紙

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PECO(以下ーー)

5月8日に三越日本橋本店で行われた「命の花チャリティキャンペーン」は大盛況でした。「命の花」プロジェクトにたずさわる青森県立三本木農業高等学校動物科学科愛玩動物研究室の高校生のみなさんと担当の先生、そしてクリステルさんのトークショーにもたくさんの方々にご参加いただき、殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロへの願いに多くの賛同が寄せられました。クリステルさんが「命の花」プロジェクトと歩みを共にするきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

滝川クリステルさん(以下略)

「今回トークショーに来ていただいた4人の高校生たちの先輩にあたる子から、気持ちの込もったお手紙を頂戴したんです。たまたま私はお手紙をいただく以前からその活動を知っていたところに、当時高校3年生の彼女が《プロジェクト・ゼロ》を進めている私へ勇気を振り絞って手紙を下さったことで、ぜひ一緒に活動したい、活動すべきと感じました」

「実際に青森へ行って活動に参加したのですが、胸が痛みました。犬猫の殺処分された骨を高校生たちみずから細かくして粉にするのですが、とても辛い、悲しい音が響き渡るんです。「また痛い思いをさせてごめんなさい」と涙が止まらない子もいます。その粉を土に混ぜて花を咲かせるんですね。もっと長く生きたかったという動物の想いを、花に託すんです」

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「きっかけは、高校生が保健所を訪れた時、殺処分を受けた動物たちの骨が埋葬もされず、ビニール袋に詰められて事業系廃棄物として積み上げられているのを見て、衝撃を受けたこと。そもそもこういったことは大人が気づくべきことなのに、子供たちが気づいて大人に働きかけたんですね。衛生的な懸念から子供たちに骨を譲るなんてできないという行政の抵抗も、子供たちのまっすぐな正義感で乗り越え、咲かせた花を地元に配っています。《命の花》活動は4、5年続いてきて、日本全国だけでなく海外からも支援や激励の言葉をいただいています。動物先進国のイギリスからも補助金をいただいたりしているんです」

動物愛護ではなく、「動物福祉」という考え方

ーープロジェクトゼロとして殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指す活動をしている、一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルについてお話しいただけますか?

「“ヴィ・アンサンブル”とは一緒の命という意味で、そこに動物と人間の共生への願いを込めました。私自身の名前を冠することに、はじめは抵抗があったのですが、東京オリンピック招致での私の「おもてなし」のジェスチャーをご存知の方皆さんに「ああ、あのおもてなしの人」との印象を持っていただけるかと。クリステルの名前があることで、この活動への認知を広める助けになればと思って名乗り出ました。その分、私自身の大きな責任も感じています」

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「活動には2本の柱があり、一つは絶滅に瀕している野生動物を守る《プロジェクト・レッド》。これまでには、ボルネオの親を亡くした仔ゾウのミルク代の支援や、北海道の猛禽類医学研究にドクターカーを寄贈するという支援をしてきました。もう一つの柱となるのが2020年までに犬猫の殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指す《プロジェクト・ゼロ》です。《命の花》はもちろん、不足する犬猫の一時預かりボランティアの養成講座であるフォスターアカデミーの開催や保護犬猫を引き取るという選択肢を増やして頂けるような啓発活動をおこなっています。私たちは動物愛護ではなく「動物福祉」と呼んでいるのですが、こう言った取り組みを通して動物を愛する皆さんの情報共有や横の手の繋がりが促されていってほしいと思います」

「ペットブーム」という言葉の“残酷さ”

ーー日本ではいまペットブームとも言えるような、ペットへの大きな関心が生まれていますね。海外の事情に詳しいクリステルさんからご覧になって、日本社会の動物に対する意識など、何かお気づきになることはありますか。

「動物を飼う理由は人それぞれ。でも、命を飼う責任の重さが理解されているかというと疑問で、「ペットブーム」という言葉の残酷さに危機感を覚えています。先進国といわれる日本での殺処分件数は、1日あたり約443頭、年間10万匹以上に上り(2013年度環境省調べ)、年間数十億円の税金が使われています。そしてその対象となるのは、多くが血統書のない、店頭で売れない犬猫たちです」

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「例えばドイツでは、ペットショップの経営は法律的には可能なんです。でも、命を大切にする市民の抗議運動があり、市民の想いが法律を凌駕する形で、町なかのペットショップはなくなり、殺処分も行われない。そういった命の重さへの認識が日本社会には失われているのかもしれませんが、例えば「命の花」プロジェクトでわかったように、大人が失ってしまった心が子供たちには残っていたのが、救いかもしれません」

「日本は豊かな国です。でも、犬猫を大量消費して「動物が好き」と言うブームを越え、命あるもの、弱きものに寄り添う「共生・共存」の精神が置きざりになっていることに社会が気づかねばなりません。海外の友人にはいつも、「日本にはおもてなしの精神があるのに、共に人生を歩む生き物に対しては同じ温かさを持って接していない」と言ってがっかりされる。それが私にも残念です。命を飼うのであれば、避妊やマイクロチップ(個体標識)などのケアも飼い主の責任として果たしてほしい。そして、新しく命を迎えるときは、ペットショップから命を「買う」のではなく、シェルター(犬猫の一時避難所)から引き取るという選択をするなど、賢明な選択をしていただきたいです」

「動物福祉の向上のために、個人でも10年間、財団では2年間取り組んできましたが、いまだ道のりは厳しいです。でも、殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指すなかで動物福祉を向上させることが大切です。ぜひ、実際には見えないところで起こっている殺処分の悲惨な現状への関心や認識が広まり、2020年までに殺処分件数ゼロ、命の花がゼロになるようにと祈っています」

最後に

ーー最後に、PECOをご覧のユーザーの皆さんへ、メッセージをお願いいたします。

「2020年にはオリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。諸外国からたくさんの人々が日本を訪れ、現実の日本社会に触れますが、日本での動物の扱われ方は、他の先進国と同じとはとても言えない状況です。これを一つのきっかけとして、ぜひ動物福祉とはどんなものか、どんな社会問題があるのかを知り、考えて欲しいのです。命の重さについて考え・話し、その考えや動物福祉活動をSNSでシェアするなどして、単に動物好きなだけでなく動物福祉を理解する人を増やし、つながりを広げてください。そして命の重さと責任をしっかりと受け止め、一度飼った動物はパートナーや家族と同様に大切にして、動物たちと人生を共に歩んでください。私も皆さんと同じ、PECOユーザーの一人として、活動を続けていきます」

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