実はかなり賢いのでないか疑惑

実はかなり賢いのでないか疑惑

犬というのは、自分に都合のいいことはすぐに覚える傾向がある。ときにはそれを勝手なルールにしてしまうことすらある。たとえば……。

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    いぬのきもち・ねこのきもち公式

犬というのは、自分に都合のいいことはすぐに覚える傾向がある。ときにはそれを勝手なルールにしてしまうことすらある。たとえば……。

自慢できることではないが、私はほぼ毎日晩酌をする。「健康のために週に何度か休肝日を」という言葉に耳を傾けることなく、ここ何年も毎晩酒を飲んでいる。少し前に原因不明の体調不良で、酒を飲む気がしない日があったのだが、仕事から帰ってきた嫁が飲んでいない私に驚いて「すぐに病院に行ってきて!」と言ったくらい、毎晩酒を飲むのが当たり前になっている。

ただし、若いころに比べると量はそんなに飲まなくなってきた。今ではビールの小瓶を1本と、芋焼酎のロックを少々、そんなものだ。本当に体調が悪いときは飲めない、ということがわかったので、飲めるのも健康な証拠だろうと思っている(毎年健康診断はしております)。それはいいのだが、いつのころからか、ビールの栓を開けた直後に、大吉と福助にもひとつオヤツをあげる、というのが習慣になっている。

最初はたぶん「なんか俺だけ、悪いね」というちょっとした罪悪感があったのかもしれない。「俺はビール、お前らはこれ、今日もお互いお疲れさま」みたいな感じでオヤツをあげていた。ほんの思いつき、気まぐれといってもいい感じだった。

ところが、大吉と福助はそれをすぐに覚えてしまった。私が冷蔵庫からビールを取り出すと、キッチンにやってきて「はい、オレらにも」と目で訴えてくるようになった。別に約束した覚えはない。しかし、彼らの中ではそれがルールになってしまったらしい。うっかり忘れてビールをぐびぐび飲んでいると、キッチン方面から2頭がまっすぐこっちを見て「何か、忘れてるよね?」と目で語りかけてくる。

「いやいや、そんなルール知らないから」と言っても、その目は確信に満ちていて、期待を裏切るのが心苦しくなる(たぶん演技だけど)。仕方なく、小さいオヤツをひとつずつあげるうちに、さらにルールが強化されていく。そして今では決まり事になり「ビールを飲むときに、オヤツをもらえないなんてあり得ない」という態度で迫ってくるようになった。

利口な大吉はともかく、福助までもが、私の一挙手一投足を観察していて、ビールに手を伸ばすのを今か今かと待ちかまえている。不思議なのは、たとえば普通の食事の支度や、酒のアテの準備をしているときに冷蔵庫を開けても反応しないのに「さ、ビールでも」と思って冷蔵庫に手を伸ばすと、途端に色めき立つことだ。なぜ、ビールを飲もうと思ったのがわかるのか。なぜ、他の用事で冷蔵庫を開けると反応しないのか。

「どこに五感をフル活用しとんねん」と思うが、犬というのは、本当に自分に都合のいいことだけはすぐに覚えるものだ。その調子で他のことにも本気を出してくれたら、かなりのことを覚えてくれるのではないか、と思うのだが、自分にメリットがないことになるとスイッチを切ってしまうらしい。おそらく犬は、私たちが思っている以上に賢いに違いない。

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