猫|長く愛される『猫』の飼い方・里親・習性などの全て

私たちの生活の中で、犬と同じぐらい身近な生き物としてあげられるのが、猫です。彼らは犬のように、様々な仕事をこなすことはできませんが、過去から現在まで長く愛されている動物です。そんな猫たちの歴史や文化、身体特徴や習性などすべてをまとめました。

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1.猫の概要

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猫は、ネコ目ネコ科の中でも小型哺乳類の中のイエネコを指すことが多く、犬と同様に人によく懐くため、人間と長い歴史を歩んできたペットです。元はネズミなどの害獣を駆除するのが主な仕事でしたが、時が経つにつれて愛玩動物として愛でられるようになりました。

暗闇も見通す大きな目、些細な音でも聞き分ける耳、高所から飛び降りることのできるしなやかな体を持っています。

耳や眼から読み取れる様々な表情や尻尾の動き、手触りの良い被毛、飼い主さんに懐きつつも一定の距離を保ち、思い通りにならない気まぐれな性格などが魅力となり、多くの人々から愛されている動物です。

2.進化・歴史

祖先 / ヤマネコからイエネコへ

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猫の祖先は、恐竜が絶滅した後に繁殖した、最古の哺乳類と言われるミアキスから進化したという説が有力です。ミアキスは様々な肉食動物の祖先となりましたが、その中でもプロアイルルスという種類は、現在の猫に最も近い進化をとげました。

そこからさらに長い年月をかけて、猫の中でも大型と小型に分かれて進化を続けた結果、アフリカ北部や中近東などの西アジアに生息し、小型の動物や魚などを主食としているリビアヤマネコという種類が原種となり、イエネコが誕生したと考えられています。

やがてリビアヤマネコの中でも、大胆で行動的な個体が人間の集落に住み着くようになり、人間へ恐怖心を持たない個体だけが繁殖していったと考えられています。飼い猫にはカモフラージュをする必要がないので、野生では見られないような柄が生まれるようになり、肉以外の食物でも消化できるように腸の長さも変化しました。

さらに、自分だけの狩猟本能に頼らずとも獲物が捕れるようになったため、脳は3割ほど小さくなりました。生息地に合わせて被毛の変化や、性格の変化なども見られます。

人との歴史

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人間が集落を形成し農耕を始めた際に、山野で獲物を狩っていた猫が、より多くのネズミやリスが集まる穀物庫に住み着いたことが、猫が人と共に歴史を歩むきっかけとなりました。人間が集落を作ることが多い山野は、リビアヤマネコの生息地域と重なることが多いので、各地でこのようなことは度々見られたことでしょう。

穀物には手を出さず害獣だけを狩ってくれる猫は、大切な食料である穀物を守る番人として重宝され、やがて飼育されるようになりました。

猫との歴史の中で、最も密接な関係を築いていたのがエジプトです。エジプトでは、猫を穀物庫の番人として受け入れるだけでなく、毒蛇やサソリなどを退治してくれる存在として大切にされていました。猫にとっても、多くの食事があり、外敵の存在から身を守ってくれる人間の家は心地の良い空間だったことでしょう。

更に古代エジプトでは、猫に敬意を抱き神格化するまでになりました。亡くなった猫は丁重に埋葬したり、自分と同じ墓に入れてもらうこともあったようです。やがて、積み荷を守るために船に乗せられた猫が世界中で繁殖するようになると、猫についての様々な文化や価値観が生まれるようになったのです。

ネズミによる伝染病が蔓延し始めると、猫が活躍する場はより広がりました。特に、ネズミに寄生するノミを媒介として大流行したペストの被害を抑えるために、猫は一役買ってくれています。

1400年代から起こり始めた魔女狩りの際に、猫のミステリアスさが魔女と繋げられたことで、よりそのイメージが定着するようになります。しかし、時代が流れて猫への生態への理解が深まると、その印象も徐々に薄れていきました。

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現在では、ネズミなどの狩猟を目的とするよりも、愛玩動物として飼育している人々が多くなりました。人々と暮らす中で独自の進化を遂げたものや、室内飼育用に交配させ繁殖させた猫など、様々な種類の猫が人々に愛されています。

日本ではネズミを狩るための益獣として輸入されましたが、なかなか繁殖せず、江戸時代まではとても貴重な生き物だったので、猫の姿を描いた絵をネズミ避けの道具として養蚕農家に売る、といった商売があったそうです。その後は繁殖が進み、日本でも数が多く見られるようになっていきました。

イエネコ以外の猫

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イエネコ以外の猫の仲間として最も有名なのは、百獣の王とも呼ばれるライオンでしょう。猫の仲間の中では最も大型で、特に社交性があると言われています。血縁関係のある雌を中心とした群れで生活し、集団で子育てを行います。生息地は主にアフリカですが、一部の種類はインド北部にも生息しています。

美しい被毛が特徴のヒョウは、アフリカから極東にかけて生息しており、黄色の被毛に褐色のまだら模様があることが特徴です。同じくジャガーもヒョウとよく似た種類で、被毛の模様もよく似ています。ライオンと違って単独の狩りを好み、群れで生活することはありません。

あと同じように有名な猫科の動物といえば、トラが上げられます。トラは インドからシベリアにかけて生息しており、特徴的な黒い縞模様が入っています。オス同士の縄張りが重なること基本的にありませんが、複数のメスのトラと縄張りを共有することもあります。

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大型の猫以外にも、オセロットやピューマといった小型の猫も様々な種類がいます。土地柄によって大きく生態が異なり、見た目も変わります。たとえば、寒い地域に生息するマヌルネコなどは、寒さをしのぐためにイエネコと比べて密集した毛を持ち、耳が小さく進化しました。

アフリカに生息する猫も、砂漠に溶け込みやすいように被毛の色が変化していたリ、地面の砂に対応するために、肉球の間からも毛が生えやすなど、独自の進化を遂げています。砂漠に住んでいる猫は、水が手に入りにくいため、イエネコよりもより少ない水分量で生き抜けるように進化をしています。

これらの猫たちは、イエネコほど人の生活に密接した存在ではありませんが、しばしば崇拝の対象や富の象徴として大型猫は飼育されてきました。ヒョウやトラなど美しい被毛を持つものは、毛皮を目当てとして狩猟されることも多かったため、現在では絶滅を危惧されている種類が多くいます。自然環境を保護し狩猟を禁止することで、近年では徐々にその数を増やしているようです。

3.猫の文化

宗教

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エジプトで猫が崇拝され始めたきっかけとしては諸説ありますが、猫の瞳の変化や、夜も目が見えるのは、太陽が関連していると考えられていました。太陽とのかかわりを重視するエジプトでは、太陽と結びつきが深い猫を神としてあがめる文化が根付いたのです。

猫は様々な土地の神話や民話に登場します。ケルトや北欧の神話にも猫は登場しており、北欧神話の豊穣の女神フレイアは、数匹の猫が引く戦車に乗っている姿で描かれます。この女神は豊穣や美、愛を司る反面、自由奔放で欲望に忠実であるという猫のような性格として伝えられています。

イスラムの信仰では、預言者マホメットがヘビに襲われた際に猫に助けてもらった、ムアッザという名の猫と共に暮らしていた、など神話の中で頻繁に猫が登場します。そのため、今でも猫はモスクの中の出入りを許されています。しかし、このようにイスラム進行と関わりが深くなったことで、異教徒狩りの際に猫と悪は結び付けられるようになったと考えられています。

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東洋の宗教であるヒンドゥー教やパールシー教でも猫はとても大切に扱われています。正統派のヒンドゥー教の場合、猫を必ず1匹は飼うようにと教義の中で定められているほどです。パールシー教の場合でも、猫を殺した人は重罪に問われていたようです。

中国の仏教徒は、猫の大人しさ、静かさに敬意を払っていたため、保護されて手厚く飼われていました。また、暗闇でも目がきくことから悪霊を払うとも考えられていて、中国全土で悪霊とネズミを家に入れないために猫型の魔除けが使われていました。

日本は猫が輸入されるのが遅かったため、全国的に広まった信仰はありませんが、猫を飼い主の菩提寺やその近くに埋葬するという仏教的な習慣が見られるようになりました。また、縁起物として招き猫などが商人の間で流行しました。

芸術

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ペルシャやインドといった東洋の国々では猫は信仰の対象として深く愛されていたため、多くの美術品でその姿を見ることができます。特に古いものは古代エジプトまで遡り、猫の頭をした神の姿などが良く描かれています。

イスラム教は猫を大切にしていましたが、描写的なものは少なかったため、小さな像やタイルなどに猫の姿が描かれる程度でした。土地に中東を訪れた西欧の画家たちによって、アラブなど暮らす猫たちの暮らしが描かれるようになります。インドでは、高い地位や富を示す象徴として、肖像画や民芸品などにも良く描かれていました。

中国で猫に対する美術が浸透したのは960年代からで、写実的な絵が多く残されています。日本で猫をモチーフとした作品が特に描かれたのは江戸時代で、浮世絵や七宝などの題材に使われていました。特に、有名浮世絵作家である歌川国芳が多くの猫を描いたことから、猫に関する作品が多く残っています。

反対に、初期の西欧美術には猫はあまり現れません。理由としては、キリスト教は猫を背信や悪の象徴として位置づけ、宗教画などに描くことが少なかったからです。そのため、絵があったとしても、猫を悪として描く絵画が比ばかりでしたが、18世紀近くにはその考えも衰退し始め、19世紀には猫を写実的に描いた作品が多く出回るようになりました。

西洋美術の中での猫の扱いは、悪魔や悪徳といった悪いものから、美や官能的なイメージの象徴として使われるようになりました。現在では、様々なアーティストたちが猫を題材にした芸術品を生み出しています。

文学

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民話の中では、猫は姿を変えたり、イタズラ好き、憎めないペテン師、といったイメージで描かれることが多いです。その中でも有名なのは、シャルル・ペロー(仏)の書いた「長靴を履いた猫」や、ルイス・キャロル(英)作の「不思議の国のアリス」に登場するチェシャ猫などでしょう。

このように童話や民話などで姿を見ることが多かった猫ですが、19世紀に入ると文学作品の題材として取り上げられることが多くなりました。大人しく、勝手に遊び、気ままに暮らす猫は作家にとって、良い相棒として親しまれたことも理由の一つのようです。

エドガー・アラン・ポー(米)や、S・G・コレット(仏)といった著名な作家たちは愛猫家として有名で、猫をモチーフとした作品を多く世に送り出しました。日本でも、夏目漱石の「吾輩は猫である」などが有名です。

近世でも作家の猫愛好は続いています。特に有名なのは、「誰がために鐘は鳴る」や「老人と海」などを執筆したことで知られるアーネスト・ヘミングウェイ(米)で、彼が飼っていた六本指の猫は、今でも彼が住んでいた島で大切に繁殖されています。

仕事

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■優秀なハンター

猫はとても優秀なハンターで、穀物に害を及ぼすネズミを狩ってくれる益獣です。人間が食事と安全な寝床を提供する代わりに、猫はネズミを狩るという利害関係を一致させ、その結果猫は人間に懐くようになりました。現代では穀物の管理法が進み、ネズミによる害も少なくなりましたが、それでも猫の仕事は減っていません。

スコットランドのウィスキー製造所の猫、タウザーはその生涯のうちで約2万匹以上のネズミを捕ったというほどで、今でも農家では猫は相棒として重宝されています。

また、イギリスの首相官邸では、深刻化するネズミ被害の対策として、猫を「英国政府職員」として迎え入れました。1匹目の猫はラリーと名付けられ、SNSでは大人気の猫に。その後、フレイヤというメス猫も加わり、現在では2匹態勢でネズミを狩っているようです。

■愛玩動物として

ネズミが少ない都市部で飼育されている猫には特に仕事というものがありません。しかし、飼い主の心を癒し、生活に潤いを与えるのに一役買ってくれているのも事実です。近年では、猫をはじめとする動物と一緒にいることで、血圧を下げたり、心臓病のリスクを下げる「アニマルテラピー」も注目され始めています。

著名人の多くも猫を飼っており、リンカーン大統領も戦場から連れ帰った3匹の猫を可愛がっていたことで知られています。他にも王族、芸術家、政治家などに猫は愛されています。

また、近年ではその猫人気から広告塔としての役割を果たすことも多いです。CMなどのイメージキャラクターとして登場することも増え、ハンターとしての面以外でも、より人間と密接な関係になってきています。

4.身体的特徴

骨格

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イエネコの骨格は基本的には大型の猫科の動物と同じ形をしていて、異なるのは比率だけです。子猫の頃には、分娩がしやすいように頭蓋骨は29もの骨に分かれており、成長するに従って隙間を埋めるように繋がっていきます。足や脚部の長い骨、元は中に空洞がある軟骨ですが、こちらも成長するにしたがって、硬い骨に変わります。

早い段階で去勢をされた猫は、成長を抑制する性ホルモンの分泌が抑えられるためか、わずかに脚部の骨が長くなることがあるようです。

猫の骨を繋ぐ関節は、骨が繊維質になっている「繊維性関節」、柔らかい骨でできている「軟骨性関節」、滑液によって構成されている「滑膜性関節」の3種類に分けられます。顎は繊維製関節で支えられているため、顎に強い衝撃を与えられると、この繊維が避けてしまうことがあります。

猫の椎骨を支える分厚い椎間板は、人や犬のものよりもしなやかで緩く作られているため、猫の体はとても柔らかく、あらゆるポーズをとることができるのです。滑膜性関節は、最も激しい運動をする部分に作られ、猫特有の瞬発力などを支えています。しかし、不安定な面もあるため、猫の股関節は脱臼しやすい傾向にあります。

イエネコに限らず、多くの猫科の動物は爪をしまうことができるのが特徴です。爪は、先端の骨の皮膚が硬質化したもので、中の真皮を守っています。普段は保護のために引っ込めていますが、獲物を捕らえるときには骨に繋がっている筋肉を縮めて、足の裏の腱を伸ばすことで、爪を立てます。

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猫は犬のように種類の違いによる、大きな骨格の変化はありませんが、頭蓋骨に多少の変化が見られることがあります。ロングヘアなどの種類は頭蓋骨が丸く、隙間のない歯並びをしていますが、シャムなどの仲間は頭蓋骨がやや長く、隙間の空いた歯並びをしています。

また、短足の猫として有名なマンチカンの場合は、骨格は変わりませんが足の骨の比率が違うようです。しかし、このように足が短かったり、尾がないような骨格の猫を積極的に繁殖させていくと、骨に関する遺伝的病気を発症することも多いため、ブリードには十分な注意が必要です。

脳と生体自己防御

猫の体の中で、最も重要な機能を司るのが、脳と副腎です。脳で生成されるホルモンは、猫の日常生活の機能のほとんどを制御するだけでなく、学習能力や身体機能とも深く関わっています。

副腎は腎臓の隣にある臓器で、主に代謝率の制御やケガに対する体の反応を司ります。アドレナリンなどを分泌し、心拍数や血管の拡張を制御したりする以外にも、外部からの見知らぬ刺激などに対して脳が示した反応を受け取り、攻撃や逃避行動などの行動を制御する、「生体防御」と呼ばれる役割を担っています。

猫の脳は生後7週間までの間に成熟し、その間に覚えたことを生涯覚えています。生後7週間までの間に人間が猫を育て、人間は危険なものではないと覚えさせることが大切でしょう。

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脳も副腎も歳を取るにつれて働きが衰え、伝達速度などが衰えます。特に猫の場合は加齢と共に副腎に機能不全が見られることが多く、ホルモンバランスが崩れることが多いので、注意が必要です。

脳が発達しているゆえに、猫にも知性や性格といったものがあります。性格の形成には、学習が大きくかかわっており、先ほど述べた生後7週間の中で少しずつ決まっていくことが多いようです。野生の中でも単独で生きていくために、猫の学習能力は優れていますが、その分社会的な学習に対しての興味が薄いようです。

そのため、人間に褒められるよりも、食べ物をもらうなど自身に直接的な利益がある場合のほうが、要求を聞いてくれる確率が高いでしょう。また、病院へ行くときは嫌がっても、帰るときは嫌がらずにバッグに入るなど、どちらが自分にとって利益があるか判断ができる能力もあるようです。

神経

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猫の神経は、体の末端である尾までくまなく広がっている重要なものです。神経を通じて体の内外から受けた刺激を伝達し、迅速に脳へ伝え、発信された信号を筋肉や内臓に伝えていきます。ホルモンはゆっくりと持続的に体の機能を司るのに対し、神経は素早く正確に、体の反応を促します。

神経の多くは意識的に制御されているものが多く、猫が獲物を捕らえようとすれば、運動神経が働いて筋肉に信号を送り、筋肉を動かします。しかし、脈拍や呼吸など、内臓に関するものは交感神経と副交感神経からなる「自律神経」というもので動かされています。

交感神経は内臓の活動を促し、副交感神経はその活動を抑制します。この2つの神経が無意識に上手く活動することで、猫は緊張して心拍や脈拍が早くなったり、リラックスして脈拍がゆっくりになったりするのです。

猫は優れた進化を遂げたため、神経障害が起こることは極めて少ないですが、狂犬病や猫白血球減少症などの病気や寄生虫による神経異常、交通事故などによって神経が断裂してしまうことがあります。特に野良猫の場合交通事故による神経断裂が最も多く、一度断裂した神経は修復できないため、体の機能障害に繋がることが多いです。

嗅覚・視覚・聴覚など

■嗅覚

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猫の鼻は犬などの動物に比べて特段優れているわけではありませんが、私たちの数万~数十万倍の嗅覚を持つと言われており、様々なニオイを嗅ぎ分けることができます。しかし、この嗅覚は狩りに使われることはほとんどなく、食物や縄張りの確認、仲間同士のコミュニケーションに使われます。

猫の頬腺などの器官や尿からは、自分のニオイがでているため、猫は自分の縄張りや自分のものに体を擦りつけてニオイを残し、それを嗅ぎ分けることで自分の所有物を確認しているのです。

猫の鼻の表面は個体に異なる模様があり、「鼻紋」と呼ばれます。これは、人間でいう指紋のようなもので、個体を識別するのにも利用することができます。

また、口内部にある「ヤコブソン器官」と呼ばれる部分はフェロモンを感知する能力があり、嗅ぎ慣れないニオイを嗅ぐと、口を半分開けて、笑っているような特有の表情になります。これは、口を開けることで舌からニオイを取り込み、鼻と別のルートを通って脳へ伝えるための行動で、別名「フレーメン反応」と呼ばれます。

マタタビなどを嗅ぐと、猫が身もだえするような行動をとるのは、マタタビ類に含まれる物質にこのヤコブソン器官が反応し、陶酔感をもたらすからだと言われていて、イエネコに限らず猫科の動物全般に見られる反応です。

■視覚

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猫の目は大きく、突き出しているような構造なので、人間よりも視野が広く獲物を的確に捉えるのに適しています。他の動物よりも大きなこの目が、猫の可愛らしさの魅力の一つともいえるでしょう。8m前後の距離であれば、人間の顔を見分けることが可能で、20m以内の物であれば距離感をはかることができます。

瞳孔は縦に細くなっており、光を取り入れるために収縮したり拡大したりします。縦長の理由としては、草むらなどの縦長の空間を見る理由に便利だという説や、光をより取り入れやすい形状だからだと言われています。

猫の目は人間が必要とする光の量6分の1もあれば、物を見ることが可能です。そのため、目の保護のために明るいところでは瞳孔は細く、光が少なくなる夜間では瞳孔が90%まで広がり、光を取り入れます。時計が一般的でなかった時代、時間帯によって変わる猫の瞳見て、忍者は時刻を判断していたと言われています。

■聴覚

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猫の最大の特徴でもある大きな耳は、獲物である小動物が動くわずかな音でもキャッチすることができます。人間の可聴周波数がヒトの20Hz~20kHzなのに比べて、猫はその3倍近い60Hz~65kHzもあるのです。しかし、歳をとるとともに聴力は落ちていきます。さらに耳の機能が優れているため、平衡感覚にも優れています。

猫の耳の周りには12もの筋肉があり、状況に応じて自由の動かすことができます。耳を音の方向に回したり、必要な場合は別々に動かしたりして、様々な情報を取り入れるのです。

■味覚

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猫の口は食べ物を識別するために、非常に優れた機能を持っています。舌の先端や脇、裏、喉などには乳頭と呼ばれる組織が沢山あります。さらに、250個ある茸状乳頭の中には、味を感じるために必要な味蕾と言われる細胞が40~4万個あると言われています。

過去に行われた味覚テストによれば、猫は酸味や苦み、塩辛さは感じますが、甘味を感じることはないようです。

筋肉・動き

猫の筋肉は他の動物よりも柔軟性があり、広範囲に動けるように作られています。ほぼ全ての筋肉は、関節にある骨にくっついているため、関節自体を自由に動かすことができるため、様々なポーズをとることができるのです。例えば、猫の肩は固定されておらず、鎖骨も筋肉に覆われて独立しているため、様々な方向に動かすことができます。

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猫は特に後ろ足を使うことが多く、獲物に飛びかかるときは後ろ足で跳ね、前足の複雑な筋肉を使って手首を巧みに動かし、獲物を捕捉します。この器用な四肢を使って、猫は木も登ることができます。

筋肉が柔らかく、脊椎がしなやかなおかげで猫は高所から落下しても受け身をとることができます。高所から落ちた際、猫は空中で体を180度ひねって足から落ちることで、柔軟な肩で衝撃を吸収するのです。

心臓・肺

体重5kgの標準的な体格をした猫の場合、体にある血液は缶ジュース1本分と同量の330ml前後と言われています。心臓や肺といった構造は、人間や他の哺乳類と変わりません。血液を心臓に送るための動脈の血圧は高く、心臓へ血液を戻すための静脈の血圧は低くなっていて、心臓は血液を押し出すたびに収縮を繰り返しています。

猫の鼻にある、ろ過機能を備えた"前頭洞"と呼ばれる部分は喘息などの炎症に弱いため、注意が必要な器官です。

血液型は人間と少し似ていて、A、B、AB型の3種類がありますが、A型の猫が圧倒的に多いです。地域によっても変わりますが、およそ80%程度の確率でA型のようです。これには、血統種で生まれる血液型がA型が多いからだと言われています。

対して、エキゾチックなどが約20%、ブリティッシュ・ショートヘアなどは50%の確率でB型になると言われています。AB型は数としては極端に少なく、品種に関わらず生まれる可能性があります。

消化と排泄

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子猫の頃には、乳歯として26本の歯が生えていますが、成長すると共に永久歯に生え変わり、30本になります。この歯の構造は獲物を捕食するための上下の歯と、肉を細かくかみ切るための奥歯に分かれています。細かく砕かれた食べ物は、胃へと運ばれ、ホルモンによって分泌される消化液で溶かされて栄養に変わります。

その後栄養は様々な内臓器官に運ばれ、必須脂肪酸やアミノ酸へ変わります。猫は動物性たんぱく質を摂取して、酸を補う必要があるため、肉を食べることが必須となります。

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消化には甲状腺、上皮小体、すい臓で作られるホルモンが必要です。甲状腺は気管の両側に2つある腺で、代謝率を制御する役割があります。この腺に異常が起きると、食欲の異常や心拍数の激増などがおこります。甲状腺の隣には、小さな副甲状腺があり、カルシウムを骨から抽出し、筋肉の収縮を助けています。

猫は特に深刻な病気にかかっていなくても、よく吐き戻す生き物です。多くの場合は急いで食べ過ぎた、毛を飲み込んだなどが原因ですが、吐しゃ物から酸臭がする場合は嘔吐となり、深刻な状態と言えます。原因としては寄生虫や毒物、体の老化による内臓器官の異常などです。

また、猫は水分を凝縮した尿を排泄するため、腎臓や尿路に異常が起こりやすい動物です。特に、カルシウムやマグネシウムが多い食事、細菌感染などが原因で起こる「猫下部尿路疾患(FLUTD)」は、尿路に結石が詰まり、排尿がしにくくなる病気で、腎臓に深刻なダメージを与えることがあるので、注意が必要です。

被毛のパターン・色

猫の皮膚は非常に敏感で、生きるためには重要なものとされています。体内に微生物や化学物質が入らないようにする、最重要の防衛ラインである他にも、骨を作るためのビタミンDを生み出したり、体温を調節する役割を担っています。

猫の体毛は、爪と同じタンパク質からできているため、1日に摂取したタンパク質の大部分が育毛に使われています。猫の皮膚の表面には角皮と呼ばれる細胞があり、被毛に艶を出しています。体毛は周期的に伸び、季節やホルモン、周囲の温度などで生え変わりの速さが変わります。

およそ60~90日の周期で遺伝的に決まった長さまで延び、40~60日成長を止めた後に抜け落ちます。そのため一気にのけ落ちることはなく、常に少しずつ抜けています。特に季節の変わり目である春に多く脱毛する猫が多いですが、人工的な明かりにさらされている室内飼育の猫は常に抜け毛がみられます。

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猫は気候に合わせて被毛を変化させることもあります。寒い地域に住んでいるノルウェージャンフォレストキャットなどの種類は、やわらかい毛を密集させ、空気の層を作ることで寒さを防いでいます。反対に、暑い地域に住んでいるシャムなどには柔らかい毛がなく、熱が発散しやすい毛のつくりになっています。

祖先であるリビアヤマネコの被毛のパターンや色は、縞模様の「タビー」と呼ばれるもので、狩りの際に身を隠すのに役立っていました。このパターンはあらゆるイエネコに受け継がれていて、単色の猫でも同じようにタビー柄になる遺伝子を持っていますが、遺伝子の優劣の関係でタビー柄が現れないこともあります。

タビーの中にも種類があり、「マッカレル」「クラシック」「ティックド」「スポッテッド」の4つに分けられます。この4つはまったく違うように見えますが、縞模様になるはずのタビーの遺伝子が突然変異を起こしたことで生まれました。

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タビーの他にも、被毛にグラデーションがかかったような色合いの「スモーク」など様々な種類があります。全ての猫はタビーの柄になる可能性がありますが、親から受け継いだ遺伝子で様々な柄になるのです。

皮膚

皮膚も寒さや暑さに対応して、血管や膨張をし、熱を閉じ込めたり逃がしたりしています。基本的に汗をかくことがないため、自身の体を舐めて唾液を蒸発させることで、熱をコントロールしているようです。かわりに汗腺からは自分のナワバリに印をつけるための匂いが出ており、擦りつけることで自身の存在をアピールします。

寄生虫やアレルギー、ノミなどによって皮膚に炎症が起きることも多く、これらの病気になると、被毛に障害が起こるため毛が切れやすくなるなどの問題が起こります。また、ホルモンの以上によっても脱毛などが見られることがあるようです。

目の形と色

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猫の瞳の色は大きく分けて4つになります。

■グリーン
■ヘーゼル
■カッパー
■アンバー(ゴールド)

イエネコの祖先であるヤマネコはヘーゼルかカッパーと呼ばれる目の色をしています。日本の猫はヘーゼルやカッパーなどの色合いの瞳が多く、グリーンやゴールドなどは洋猫の血統に見られることが多いです。目の色は毛色に左右されることはありませんが、毛色によっては特定の目の色がよりよいとされることも多いようです。

基本の4色に加え、細かい色の違いが血統によって生まれています。子猫は色を定着させるメラニンと呼ばれるものが不足しているため、「キトンブルー」と言われる美しいブルーの瞳をしています。生後2カ月を過ぎるとメラニンが徐々に増え、様々な色に変化していき、生後6カ月には瞳の色が完全に決まります。

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このような美しい青色がキトンブルーです。

このメラニンが増えないまま成長すると、青い瞳を保ったまま成猫となります。この現象は先天的にメラニンが少ない白猫によく見られる現象で、多くの場合が聴力障害を持っています。他にも白猫はオッドアイになりやすい遺伝子を持っていることが多いようです

猫の目の形は、元のヤマネコに近い「つり目」か、よりかわいらしさを追及した「丸い目」の形の2つに分けられます。品種によって、好ましいとされる目の形は変わるようです。

顔の形とボディの違い

多くの場合、猫の種類を決めるのは毛色や模様などではなく、体型や顔の形によって決められてます。猫の体型には大きく分けて3つ、細かく見ていけば6つの分類分けがあります。

■コビー種
■フォーリン種
■オリエンタル種

イエネコとして飼われている種類の中で、特に大柄で引き締まった体つきをしている種類は「コビー種」「セミ・コビー種」という分類で、丸みを帯びた大きな頭と、適度に短く幅の広い鼻や口、広い胸やたくましい体や脚、短く太い尾をもち、できるだけ熱を逃さないような構造になっています。

代表的な種類としてあげられるのは、ブリティッシュ・ショートヘアや、アメリカン・ショートヘアなどが揚げられます。体の一部に特徴を持つ、スコティッシュ・フォールドなどの種類も、コビー種の猫を元にして作られたと考えられています。

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アメリカンショートヘアのような体型がコビータイプです。

フォーリン種は、セミ・フォーリン種とも言われ、たくましさとしなやかさを持ち合わせた、中間の身体的特徴を備えています。ロシアンブルーやアビシニアンといった種類に代表されるような、逆三角形のような顔つきに、目じりがやや上がった眼、細くて筋肉質な足、先に向かって細くなるしなやかな尾が特徴です。

最近生まれた新種の猫の多くは、このフォーリン種がもとになっているため、同じような体形になることが多いと言われています。近年の愛猫家の中では、このフォーリン種の外見が好まれているようです。

オリエンタル種は、暖かい地方で生まれた猫が多いため、フォーリン種よりも体つきがほっそりとしてます。耳や顔、足などを細くし、体に対する表面積を大きくすることで、熱が蓄積しにくく、暑い場所でも暮らせるように進化したのです。

代表的なオリエンタル種としてはシャムや、シャムとバーミーズを交配させたことで生まれた、トンキニーズという種類があります。

これらの3つの体型以外にも、新しい体格が生み出される可能性もあります。たとえば足が極端に短いマンチカンや、尾がないマンクスなどの偶然生まれた猫も、人工的に繁殖され、現在では多くの人に愛されています。しかし、人工的な繁殖や交配を繰り返し、体型を変えることは、遺伝的異常を起こすリスクがあります。

そのため、新しい種類を生み出す際には、細心の注意と研究が必要です。

5.猫の生態

行動と習性

■睡眠

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猫の最大の特徴は、その睡眠時間の長さです。一日平均16時間ほどは寝ていると言われていて、子猫の場合は18時間にも及ぶことがあります。しかし、猫が実際に深い眠りに落ちているのは4~5時間程度で、他の時間はすべて浅い眠りについています。屋外の猫は、この平均睡眠時間よりもやや短い傾向にあります。

はっきりとした理由は分かっていませんが、猫をはじめとする肉食動物は、次の狩りのエネルギーを温存するために睡眠をとると考えられています。子猫の場合は、睡眠中は成長ホルモンが多く分泌されるため、体の機能を整えるためにもより長い睡眠が必要なようです。

また、年取るにつれて睡眠時間が伸びることもあり、高齢の猫の場合は子猫と同じように長い時間を眠るようになります。

猫が日向で寝ていることが多いのは、体温を保つことも目的ですが、紫外線に当たることで、体内で生成しにくいビタミンDを合成するためです。猫は季節によって自分が過ごしやすい環境を見つけ出し、そこで睡眠をとります。

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猫は日中と真夜中に眠くなり、夕暮れと夜明けに活発になります。幼少のころから人間と共に暮らしていた猫であれば、ある程度人間の生活に活動時間を合わせてくれますが、完璧にとはいかないでしょう。

また、人間と同じように夢も見ることが分かっています。多くの場合は狩りをする夢を見ていると考えられていて、無意識に体を動かしたり、寝言を言ったりしているのが見られます。猫も人間と同じように、情報を整理し、分類し直すために夢を見ているのかもしれません。

屋外の猫と室内の猫では、寝方が多少異なります。屋外の猫は外敵に襲われたときに対応できるように、リラックスした体勢をあまりとりませんが、室内飼育の猫はお腹をみせたり、四肢を折り立たんで座る「香箱座り」と呼ばれる姿で眠ります。この姿を見せているときは、飼い主さんを信用し、安心していると言えるでしょう。

■狩りの習性

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飼い猫を見ていると忘れがちですが、猫はとても優秀なハンターとしての本能を持っています。最も狩りが行われるのは、夕方や夜明けなどの日が暮れた時間帯に行われることが多いですが、冬は獲物の活動パターンに合わせて、昼間に狩りを行うこともあります。

猫の狩りの仕方は「待つ」ことが特徴で、捕食対象の通り道などでじっと隙を伺い、チャンスが訪れれば急に飛びかかって前足で取り押さえ、後ろ足で攻撃します。猫の歯は鋭く、獲物の頚椎に突き刺さりやすい形状に進化しているので、咬まれれば相手は即死します。

獲物となる動物は猫の環境によって様々で、ゴミや人間の手から食事をもらえる都会の猫は、あまり狩りをすることはありません。反対に、自然に近い状態で暮らしている猫たちは、ネズミやリス、スズメなどのげっ歯類や鳥類を食することが多いようです。

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更に、猫は空腹でないときでも、遊びとして狩りを行うことがあります。これは、本能に従ったもの趣味のようなもので、たとえ十分な食事を与えられていたとしても、獲物を捕らえることをやめません。たとえ飼い猫であっても、このような本能は残っているため、飼い主さんは猫の本能を満たすために遊んであげる必要があります。

外出を自由にしている家庭では、猫が狩った獲物を持ち帰り、飼い主に見せるような行動をとることがあるようです。これは、飼い主を子猫に見立て、捕った獲物を見せることで狩りの仕方を教えようとしていると考えられています。

基本的に猫の狩りをやめさせることはできません。しかし、猫が獲物を持ち帰ることに悩んでいるのであれば、猫の首輪に複数の鈴をつけて、物音を立てさせることで狩りを失敗させるのが効果的です。しかし、一番安全で確実な方法は、完全室内飼育に切り替え、飼い主さんが十分に遊んであげることでしょう。

■社会的行動

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猫は自分の快適さと安全性を何よりも優先する傾向があるため、一般的には「自由気まま、束縛されない」、単独行動を好むというイメージがあります。実際多くの猫はそうやって暮らしていますが、状況によっては暮らし方を変えることができる柔軟性を持っています。

基本的に猫が他の猫と会うことはなく、交尾や縄張り争い以外では接触しようとしません。しかし、十分な食事があり、ある程度の安全が確保された場所では、猫同士でいくつかのグループを作り、同じ範囲で共に暮らすことができます。血縁者でグループが作られることが多く、よそ者の猫は追い出されることもあります。

グループを作った猫たちはお互いに友好的な態度を示し、共に子育てをしたりコミュニケーションを取ります。

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人間に飼われている猫であっても、複数の猫と集団で暮らすことは可能です。飼育されている猫はより立場の優劣がハッキリとしていますが、継続的なものではなく、しばらくすると忘れられてしまうことがしばしばあります。

一度集団的な意識が芽生えると、そのつながりは強く、崩れると猫の不安を招くことがあります。家庭内で飼われていた猫のうち一匹が亡くなると、残された猫は食欲が落ちてよく鳴くようになり、より飼い主さんに甘えてくるといった行動が見られ、「悲しんでいる」ように見えるようです。

しかし、猫によっては家を独占できたことで、以前よりもリラックスした様子を見せている、という報告もあります。これは、猫の本来の本能である「単独行動を好む」という性質によるものかもしれません。

■縄張りとマーキング

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猫の縄張りには2つの種類があり、「ホームテリトリー」と「ハンティングテリトリー」というものがあります。「ホームテリトリー」は、家やお気に入りの場所などの、他の猫に侵されることのない、プライベートな縄張りです。逆にハンティングテリトリーは獲物を狩るための場所だったり、餌がもらえる場所のことで、ホームテリトリーから半径500mの範囲だと言われています。

このハンティングテリトリーは他の猫とかぶることもあり、縄張り争いのケンカをすることもありますが、顔見知りの猫の同士の場合は争いが起きないこともあります。地域の猫が一同に集まる「猫の集会」と呼ばれる習性も、お互い顔見せを行うことで争いを避ける目的があるのではないかという説があります。

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猫は自分が不在のときでも、この場所が自分の所有物だと示すために、マーキングと呼ばれる行動をします。縄張りの境界線に尿や糞などを残したり、木や電柱などに身体を擦りつけ、皮脂からでる分泌物を付着させることで自分の存在を主張します。他にも、爪とぎをすることで視覚的にも印をつけることがあります。

しかし、マーキングは他の猫を追い払うような効果はなく、時間とともに匂いなども薄れていくため、よその猫は容易に侵入してきます。猫は基本的に自分の縄張りから大きく離れることはありませんが、ケンカに負けたり、道路を渡れなくなった場合は、元の縄張りに戻れないほど遠くへ行ってしまうこともあります。

屋外の猫だけでなく、家庭内の猫でも縄張りを持っています。それぞれお気に入りの場所を持ち、定期的に寝床を変えることで、見回りを行っています。不妊手術や去勢手術をした場合、家具に尿をかける「スプレー行為」と呼ばれるものは抑えられますが、マーキングでありストレス解消の手段でもある爪とぎはやめさせることができません。

室内飼育されている猫が飼い主に体を擦りつけるのは、甘えや要求の意味の他にも、自分のニオイを付けることで、所有物だと主張しているのです。

■学習能力

猫は犬のようにしつけをすることができないため、学習能力がないと思われることもあるようです。しかし、猫は自分に利益がある方法であれば、ある程度のことは覚えてくれます。猫は進化の過程で、新しいことを覚える力を他の動物より失ってしまいましたが、幼少時に母猫から教わったことや、体験したことはよく覚えています。

猫や犬の知能は2歳児程度とも言われ、品種によってその知能に変化がでることもあるようです。

■コミュニケーション

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猫のコミュニケーション方法は様々で、鳴き声、尻尾や耳、マーキングなどで感情を表しています。特に直接的なコミュニケーションとしては鳴き声がよく使われます。猫と長年暮らしている飼い主さんであれば、鳴き声にどんな意味があるのか、予測できるという人もいるのではないでしょうか。

鳴き声を大きく分けると、小声のようなつぶやき、はっきりとした声、鋭い声の3つになります。つぶやきとは、リラックスしたときによく聞く「ゴロゴロ」という喉を鳴らす音です。これは、ストレスを受けたり外傷を受けたときも聞くことができます。

なぜこのような音を立てるかはわかっていませんが、子猫の頃の名残として鳴らしていたり、骨や筋肉を振動させることで、治癒能力を上げていると言われて言われています。

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また、猫は何かを要求したいときにははっきりとした鳴き声を上げます。室内で飼われている猫は人間を親と思っているため、子猫のような鳴き声を上げます。鳴き声は人間に対するものと、猫に対するもので使い分けがされていると考えられています。

距離が離れておらず、面とむかってコミュニケーションをとる場合は、ボディ・ランゲージを行います。猫は犬と違い、尻尾を振っているから喜んでいるというわけではなく、むしろ不快感などを表すために動かしていることが多いようです。起こっているときは耳を寝かせ、体の毛を逆立たせて威嚇をしますが、穏やかなときは横になり、ゆっくりと尻尾を振っています。

猫のコミュニケーションにはマーキング行為も含まれています。飼い主さんに体を擦りつけたり、家具で爪とぎをすることで自分のテリトリーを主張し、飼い主さんを信頼しているというアピールをするのです。

しかし、どんなに大人しく慣れた猫でも、気分でないときに触れば怒ることもあります。猫とのコミュニケーションは彼らが発している声や体の仕草から、適切なものを読み取り、適切な距離をとってスキンシップをとることが大切になります。

求愛・交尾

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猫の発情期は生後6カ月~9カ月の間に起こります。オリエンタル種をはじめとするいくつかの種類は、性的に章熟するのが早く、生後4カ月前後で発情期を迎えることもあります。

猫のオスは1度発情期を迎えると、その後いつでも交尾ができるように準備を整えてあります。縄張り争いによるケンカや尿によるマーキング、見回り行動などは発情期を迎えたメスを逃さないための工夫です。発情期になったメスの合図をキャッチすると、オスはその合図の主を求めて大きく移動したり、ケンカをします。

メスは一年に何度も発情期を迎えるため、オスはメスに引きずられる形で発情期を迎えています。猫の生殖活動が活発になるのは、餌が豊富になる春や夏などの日照時間が長い時期です。そのため、常に明かりにさらされている室内の猫は不妊手術をしないと、継続的に発情期になる可能性があります。

メスは発情期を迎えると、尿に発情を知らせるホルモンが混じり、悲しげで特徴のある鳴き声を上げるようになり、様々なものに体を擦りつけるようになります。この尿の匂いを嗅いだり、鳴き声を聞きつけたオスは、交尾が可能なメスがいることを知り、そのメスを探すようになります。

猫の交尾において主導権を握っているのはメスなので、オスはメスの承諾を得るところから始めます。無事成立すると、オスはメスの上に覆いかぶさり、反撃されないようにメスの首の皮を咬み、交尾を行います。オスの陰茎が引き抜かれる際に、性器にある突起物がメスの排卵を促すため、妊娠確立は比較的高いと言われています。

発情期を迎えた猫は1日に10~20回の交尾を、複数の異性と行います。そのため猫の管理がされていない環境では、生まれて来る子猫がどの猫の子供なのか、特定するのは難しいとされています。

ライオンの場合は、新しいボスになったオスが、以前のボスの子供を殺してしまうこともありますが、イエネコでそのようなケースが見られることは稀です。

出産・育児

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メスは通常2~6匹程度の子供を妊娠し、57~70日の間に出産します。妊娠初期は目に見える変化は少なく、妊娠3週間になると乳首が硬くなり、腹も大きくなるなどの変化が見られます。またホルモンの影響から、性格も穏やかな気質にかわっていきます。食べ物も高エネルギーなものを多く食べるようになり、栄養を蓄え始めます。

出産する際はよほどの難産でなければ、人の手を借りることはありません。出産直前は落ち着きがなくなり、安心して産むことができる場所を探し始めます。分娩は1時間~1日ほどかかることがあります。

生まれたての子猫は羊水に満ちた袋に覆われているので、母猫はそれを舐めて取り除き、子猫に付着した羊水も舐めとります。最初の呼吸をさせたら、へその緒をかみ切り、出てきた胎盤と一緒に食べてしまいます。これは栄養補給の意味合いと、子猫を産んだことによる臭いを消すためと考えられています。

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基本的に子育てはメスのみで行い、オスが関与することは少ないようです。母猫は子猫を守るために攻撃的になりますが、その分子に対する愛情は深く、独立するまで面倒を見続けます。生後20日前後になるまでは、子猫は排泄や食事のすべてを母猫に頼ることになります。

母猫は子猫のお尻を舐めることで排泄を促し、排泄物を食べることで、よりニオイが少なく清潔になるように気を配ります。出産から4日後にはより安全な場所へいくため、子育て場所を移動します。その際ははぐれないように子猫を少しずつ移動させていきます。

生まれたばかりの子猫は、鼻先で乳首を探し、前足で踏むことで乳をもらいます。生後2日以内に一番乳が出る乳首を探し当てると、兄弟猫との場所争いが始まります。これは、たくさん乳が出る場所を確保すれば、その分体が大きくなるチャンスがあるという本能によるものです。

5~6週間もすると授乳の必要はなくなりますが、成長したあとも母親に甘えるために乳を飲もうとすることもあります。室内飼育の猫の場合、子猫としての気質を残したまま成猫になるので、この乳のみ行動の名残として、前足で柔らかいものを押す「ふみふみ、もみもみ」と呼ばれる行動をすることがあります。

生後2~3週間で自立の意思を見せ始め、母猫の元を離れて探検を始めたり、自力で排泄を行えるようになります。同時に固形物を食べようとし始めますが、歯が生えそろうまでは食べることは難しいです。生後5週間にもなればすべての犬歯が生えそろい、固形物を食べられるようになり、自分のことは自分でできるようになります。

生後6カ月にもなれば、親元を離れて暮らすことができるようになります。しかし、子猫たちは乳離れをしようとせず、母猫と一緒にいることが多いため、母猫が自主的に追い払うようなこともあります。

食べ物

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子猫の頃はタンパク質と脂肪分の多い母乳を飲んで育ちますが、成長すればネズミや魚などの小動物や魚類をメインとした肉食へと切り替わります。室内の猫であれば、飼い主から与えられる人口の飼料を食事として、生活していくことになります。

猫が必要とする栄養素は、人間や犬よりも複雑で、その都度調節しなければいけません。バランスの悪い栄養を与えていると、身体機能の重要な欠陥を招いたり、病気になることがあります。猫はタウリンや必須脂肪酸を自分で作ることができないため、それらの栄養素を得るためにも、必ず肉を食べる必要があるのです。

ビタミンやカルシウムなども必要なため、肉だけ食べていればよいというわけでもありません。野生の猫が捕食するネズミなどの小動物は、これら全ての栄養素を一度に賄うことができるため、猫にとっては非常に合理的な食料となっています。

しかし、室内飼育される猫の場合はそうもいかないため、食事の問題は飼い主の悩みの種です。近年では猫の研究が進んだことで、猫に必要な栄養がすべて配合された、総合栄養食なども販売されていますが、それでも不足する栄養があったり、猫の好みに合わないなどのことから、複数の餌を与えている飼い主さんも多いようです。

猫が一日に必要とする餌の量は、種類や体の状態によっても変わりますが、体重1kgあたり50kcal必要とされています。ただ、授乳中の母猫や子猫の場合は、乳や体を作るためにもより多くのカロリーを必要とするため、体重だけで必要カロリーを考えるのは危険です。

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餌には大きく分けて3つの種類があり、缶詰や真空パックで保存することで生の触感のまま、長期保存を可能とした「生フード」、圧力をかけて調理した後に乾燥させ、し好性の高い味付けを施したドライフード、ドライフードよりも柔らかな食感にして、猫の好みに合わせた「半生タイプ」があります。

好き嫌いは猫によっては分かれますが、幼少のころからドライフードを食べていない猫の場合、ドライフードを食べようとしないこともあるようです。餌を変える際には、猫の腸内環境が整うまでの準備期間を設けるためにも、徐々に変更していくことが大切となります。

この3つの分類の中に、さらに年齢や猫の状態に合わせた餌の種類があります。「子猫用」「老猫用」といった年齢のものから「ダイエット用」「低アレルゲン」など、状況に合わせて選ぶことができるようになっているので、猫に合っているものを与えましょう。

餌は多くの場合人間用の食品からでた余剰分を使って作られています。製法が一定しているものは「プレミアムフード」と呼ばれ、より安全で信頼性の高い製法、品質で作られています。しかし中には、病気になった家畜の骨や肉などを混ぜ、価格を抑えて売り出しているものもあるため、注意が必要です。

飼い主さんが猫に必要な栄養素を理解しているのであれば、自家製の食事を与えるのも良いでしょう。細菌汚染による病気や寄生虫などを避けるためにも、加熱したものを与えてください。また、一定のものを食べ続けると栄養が偏る可能性があるので、できるだけ材料にも変化をつけて与える必要があります。

更に気を付けたいのは、人間にとって害がないものでも、猫にとっては猛毒になる食物もあるということです。与える際には、危険がないか調べてから与えるようにしましょう。

また、猫は時折草を好んで食べることがあります。特にイネ科のものを食することが多く、ペットショップでは「猫草」と称してエン麦の芽生えや種などを販売しています。食べる理由は諸説ありますが、毛づくろいの際に毛をの込むため、それを上手く排泄するために利用しているという説や、植物性のビタミンを直接摂取するためだと言われています。

病気・中毒

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猫も人間と同じく病気にかかりますが、人間と違って予防法を知らないため、飼い主がきちんと予防を施し、病魔から守ってあげる必要があります。病気によっては遺伝性のものや、感染を防げないものあるので、どれだけ早期に病気に気づくことができるかが大切です。

病気を防ぐために特に役立つとされているのがワクチンです。子猫の頃から接種しておくことで、治療のできない病気を予防し、命を落とすリスクを下げることができます。現在は、3~7種類のワクチンが使用されています。

ワクチンで予防できる病気

■猫ウイルス性鼻気管炎
■猫カリシウイルス感染症
■猫汎白血球減少症
■猫白血病ウイルス感染症
■クラミジア感染症

一般的とされているのは上記の5種類で、7種類の場合は3タイプのカリシウイルスを予防できるようになります。これらのワクチンは生後2~3カ月の子猫の頃に最初に摂取した後、予防効果を高めるために2回目の接種を行い、その後年に1回の接種を行います。これらの予防接種は特に義務ではありませんが、屋外飼育の猫は特に感染率が高いため、予防するのが良いでしょう。

このワクチンで防げる病気で命を落とす猫は激減しましたが、野良猫などは管理が行き届かないため、これらの病気にかかって命を落とすことが多いようです。また、予防接種を行う前に健康診断を行い、副作用による体力の低下などに耐えられるかチェックする必要があります。

■感染症

猫免疫不全ウイルス感染症

猫免疫ウイルスによって引き起こされる免疫疾患で、猫以外に感染することはありません。すでに感染者の猫と接触し、咬み傷などを作った場合に感染する可能性があります。特に屋外飼育の猫の場合感染率が高く、日本では12%の猫が感染していると言われています。

このウイルスは一度感染すると完治することはなく、ウイルスを一生体内に持ち続けるキャリアーとなります。感染初期はリンパ腺の腫れ、発熱、下痢などが1カ月程度続きますが、その後は無症状期となるため、目立った症状が現れなくなります。この無症状期は数年~生涯続く可能性があり、病気が悪化するまえに寿命を迎える猫も多いようです。

無症状期の後に急性期になると免疫力が急速に落ち、口内炎や皮膚炎、鼻炎、痩せなどの慢性的な症状が見られるようになり、急速に弱っていきます。

尿石症(尿路結石)

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別名「尿路結石」とも呼ばれる病気で、若いオスによく見られます。腎臓や尿管、膀胱や尿道の内部で結石が生成され、この結石が尿道や膀胱に詰まると、尿の排泄に異常が起こり、有毒物質が体内に溜まったことで尿毒症などが引き起こされます。

症状は結石ができた部分によって変わりますが、特にこの病気になりやすい膀胱と尿管の場合は、血尿や頻尿、排尿時に痛がるなどの行動が見られます。治療法としては結石を溶かす薬を服用したり、食事療法による改善を試みます。それでも改善しない場合は、尿道を洗浄し結石を取り除きます。

腎不全(尿毒症)

腎不全は腎臓の機能が低下している状態のことを指し、様々な病気で引き起こされる可能性があります。猫の病気の中では特に多く見られるもので、急性と慢性の2種類があります。

急性腎不全は、尿路結石で引き起こされた尿毒症が原因のもの、中毒を起こすものを口にした、など様々な原因が考えらます。慢性腎不全の多くは老化によるもので、ゆっくりと進行していくため、発見しづらい特徴があります。

症状としては嘔吐や多飲多尿、食欲不振などが見られます。急性の場合は症状が急激に現れますが、慢性の場合は症状に気が付きにくいため、病気が進行しがちです。

■遺伝病

遺伝性骨形成異常症

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別名「骨瘤」とも呼ばれる病気で、特にスコティッシュフォールドに多く見られます。関節や骨にコブのようなものができることで、神経を圧迫して痛みを生じるため鳴き叫んだり、関節の異常から歩行に異常が出ることがあります。治療法としては、外科手術や放射線治療、投薬などを行います。

肥大型心筋症

心臓の壁が厚くなってしまい、心臓の機能が落ちる病気で、特にメインクーンやペルシャ、アメリカンショートヘアなどがかかりやすいほか、通常の猫ちゃんもかかる可能性があります。心臓が肥大することによって、体に十分な酸素が供給されなくなり、運動能力の低下や息切れ、咳などが見られるようになります。

完治させることは難しいですが、進行を遅らせる薬を服用したり、心臓機能を強化する薬などを使用します。

■寄生虫

回虫症

回虫とは、猫や犬などの動物のお腹に寄生する寄生虫で、場合によっては人間にも感染することがあります。体内での数が少ないうちは特に症状は現れませんが、数が増えると、体重の減少やお腹の膨れ、発育不良などが見られるようになり、体力も低下します。屋外のネズミや野鳥を食べたり、外で付着した卵を毛づくろいの際に舐めて口に入れると感染します。

駆虫薬を投与することで治療することが可能ですが、完全に駆除するには時間がかかるため、定期的に薬を投薬する必要があります

ノミアレルギー

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猫の皮膚に寄生する寄生虫の中で代表的なのはノミです。寄生されると激しいかゆみを引き起こすため、猫が体を掻きむしるようになります。そのほかにも、多数のノミに寄生された状態が長く続いた場合、ノミアレルギーと呼ばれる皮膚炎を起こすことがあります。症状としては脱毛や皮膚の発疹、さらに激しいかゆみが見られます。

治療法としてはノミを駆除しつつ、抗アレルギー剤などを投与して皮膚病を治療していくことになります。予防法はできるだけ外に出さない、ノミ避け薬などの使用などが上げられます。

■中毒

タマネギ中毒

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犬や猫を飼う人の間でも有名な中毒が、「タマネギ中毒」です。これは玉ねぎだけでなく、ニラやニンニク、長ネギなどに含まれているアリルプロピルジスルファイドという成分が、赤血球を破壊してしまうため、急性の貧血や嘔吐、黄疸などを引き起こします。発症までは1日~数日かかるようです。

個体差が大きいですが、少量でも中毒を起こす可能性があり、加熱しても毒性は消えないため、誤って猫が人間の食べ物を食べないよう、注意しましょう。

カフェイン中毒

チョコレートや紅茶、日本茶などに含まれているカフェインは、猫の身体では分解できない成分なので、誤って食べた場合、中毒を起こします。腎臓や肝臓に障害が起こり、嘔吐や下痢、けいれんなどを3日ほど起こし、突然死する可能性もあります。

特にカフェインの含有量が高いビターチョコレートなどは危険とされ、少量でも致死量に達することがあるようです。

ユリ中毒

タマネギ中毒ほど一般的に知られていませんが、猫にとってユリは非常に危険な植物です。ユリの花や茎、花粉に含まれる成分は、猫の腎臓を壊死させるため高い確率で死亡します。花本体だけでなく、花瓶の水を飲むことによっても中毒になる可能性があるため、非常に危険です。

観葉植物には猫にとって有害な物質が多く含まれていることがあるため、極力部屋に植物を飾らないほうが、猫の健康にとって良いと言えるでしょう。

6.猫とともに暮らす

猫を家に迎える

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猫を家に迎える方法は、大きく分けて2つあります。1つめはペットショップやブリーダーにお金を支払い、血統書がついた純血種の猫ちゃんを迎える方法。2つめは、野良猫や野良猫を保護している団体、里親を探している人から無料で猫ちゃんを引き取り、家族とする方法です。

どちらの方法で引き取るにしても、飼うにはそれ相応の責任が伴います。猫の大切な命を捨てることがないように、家族の了承、居住環境の整備、生活費などを用意してから迎えるようにしましょう。食費以外にも思わぬ医療費や出費が重なる可能性があるので、準備は万全にしておきたいですね。

雑種の場合は、それぞれの性格や育った環境によって変わるので、一概にいうことはできませんが、純血の猫の場合は猫ごとに特徴があります。遊ぶのが好きな猫、あまり鳴かない猫、運動量が多い猫など、様々なタイプがいるので、自分にあった猫を選ぶことも大切です。

また、飼い主や家族に猫アレルギーがないかどうかも、できるかぎり事前に調べておきましょう。猫アレルギーは主に猫の毛やフケといったアレルゲンを体に取り込むことが原因で発生し、かゆみやくしゃみ、息苦しさなどの症状が出ます。こまめな掃除や空気清浄機を使用することなどによってある程度抑制ができるほか、抜け毛が少ない猫種を選ぶのもよいでしょう。

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引き取るブリーダーや里親は、信頼のある人を選ぶようにしましょう。特に、スコティッシュフォールドなどの猫は遺伝的に疾患があることが多く、きちんとした交配がされていないと、成長するにつれて重大な病気を発症することがあります。引き取る際には、できるだけ猫ちゃんの顔を見てからお迎えするようにしましょう。

また、引き取った場合はきちんとワクチン接種がされているかもチェックするのも大切です。引き取ったのが子猫の場合、きちんとワクチン接種を行わないと、病気にかかって命を落とす可能性があがります。ペットショップやブリーダーの場合はワクチンの接種が済んでいることも多いですが、野良猫の場合は病院で接種させる必要があります。

その後は年に1回の健康診断を受けさせることで、病気の早期発見に努めましょう。近年では、医療費を安く抑えることのできるペット保険などもあるので、自分にあったプランのものがあれば、加入するのも手です。

しつけをする

基本的に、猫は犬のように従順にしつけを覚えることはできません。自分の思うままに動く猫をしつけるには、多少の根気が必要です。しかし、飼い主さん次第で行儀のよい猫に育てることができるので、あきらめずに継続することが大切です。

■ストレスを軽減する

物を壊したり暴れたりするといった猫の問題行動の多くは、思うような行動がとれないストレスからくるといわれています。キャットタワーなどを設置し、室内でも十分に動き回ることのできる環境を整えてあげましょう。またそれだけではなく、一人でゆっくりと落ち着くことのできる場所も猫には必要です。猫は狭い場所を本能的に好むので、ケージをうまく活用しましょう。

いったん落ち着く場所を見つけてそこに定着することができれば、犬に比べると留守番のしつけは非常に楽です。とはいえあまり長期間離れ離れになることは猫にとって大きなストレスとなってしまうので、旅行などで長期間家を留守にし、猫を連れていけない場合はペットホテルなどを活用しましょう。

■トイレのしつけ

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まずは、生活の基本となるトイレを覚えさせましょう。猫はきれい好きな動物なので、タイミングを見計らって、場所さえ教えてあげればすぐに覚えてくれるようになります。

部屋の隅や静かな場所に猫のトイレを設置し、中を猫砂などで満たしておきます。更にその中に尿や糞のニオイのついた砂などを混ぜておくことで、猫自身のニオイをつけておきます。食事のあとなどに、猫が部屋をウロウロしはじめたら、驚かせないように抱き上げてトイレへ連れて行ってあげましょう。

猫がトイレで用を足すことができたら、「いい子だね」などの言葉をかけて、褒めてあげましょう。排泄物は完全には片付けず、少量だけトイレに残したままにしておくと、トイレを覚えるのも早くなります。

もし違う場所に粗相をしてもしかったりせずに、ニオイが残らないように徹底した掃除を行いましょう。ニオイが残っていると、同じ場所で用を足してしまうことがあるので、念入りに。慣れてくれば、一人でトイレまで行ってくれるようになります。

トイレに使われる猫砂は鉱石、紙、木の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。飼い主の使い勝手も大切ですが、猫が使いやすいかも大切です。トイレの様子を見ながら、どんな砂が良いか試していきましょう。

トイレは汚れるたびに清潔に保ってあげることが大切です。汚いトイレのままだと、猫は排泄を我慢し、泌尿器の病気になることがあるので、猫が用を足したらできるだけはやいうちに掃除することが重要です。

■爪とぎのしつけ

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猫の爪とぎはストレス解消や爪のお手入れなど、様々な目的があるため、基本的にやめさせることはできません。家具などで爪とぎをされて困らないようにするためには、あらかじめ爪とぎに最適な場所を作り、そこを覚えさせてあげましょう。

市販の爪とぎには様々なタイプがあるので、いくつか試してみて、猫が気に入ったものを継続的に使うようにするとよいようです。マタタビの粉などを振りかけると、喜んで使ってくれることが多いようなので、猫によっては試してみるのも良いですね。

もし猫が家具で爪を研いでしまったら、その場で叱ることが大切。時間が経ってから叱っても猫には理解できないので、見つけたら「コラ!」や「ダメ」といった言葉でしかるようにしましょう。体罰を与えると、猫との信頼関係が崩れかねないので、控えるようにしてください。

どうしても猫に爪を研がれたくない家具があるなら、カバーなどで保護するか、猫が入れない部屋を一室を作って、そこに設置するなどの対策をとりましょう。猫にとって何が爪を研いでよいものなのか、悪いものなのか、という見分けをすることができません。飼い主があらかじめ手の届かないところに置くことで、お互いが快適に暮らすことができます。

猫の健康と看取り

■ブラッシング

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猫を健康の健康を維持してあげるには、まず大切なのはブラッシングです。余計な被毛を取り除くことで体を清潔的に保ち、皮膚に刺激を送ることで血行を促進させます。さらに、猫は自分で毛づくろいをする際に多くの毛を飲み込むため、少しでも毛を軽減してあげるためにも、こまめなブラッシングを心掛けましょう。

頻度としては、短毛種なら1日1回、長毛種なら朝晩の1日2回、行うのが理想的でしょう。夏や冬など、毛の生え変わりの時期は抜け毛も増えるので、よりこまめにやってあげるようにしたいですね。

ブラッシングに使用するクシは沢山の種類がありますが、基本となるのは獣毛ブラシやラバーブラシ、コームと呼ばれる目の細かいものです。屋外にいる猫の場合は、それとは別にノミ取りクシを使ってノミを除去する必要があります。

短毛種の場合は獣毛ブラシやラバーブラシ、長毛種の場合はそれらに加えてコームブラシで毛玉などを取り除く必要があります。

まずは頭や首、背中など猫が触られることに慣れているからとかしはじめます。四肢の付け根や脚の内側などは特に毛が溜まりやすいので、念入りに行うようにしましょう。全体的に梳かし終わったら、目の細かいクシなどを使ってツヤをだすようにブラッシングを行います。

また、猫におしゃれの一環として服を着せてあげることがありますが、これは自分で毛づくろいが思うようにできなくなりストレスとなってしまうので、デメリットが大きいです。

■爪切り

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猫は爪とぎをすることによって、爪を適切な長さに整えていますが、家猫の場合は手入れが不十分になりがちです。爪が伸びすぎたことによって衣服や床にひっかけたり、自身の体を傷つける前に爪を切ってあげる必要があります。

目安としては前足は2週間、後ろ足は3~4週間に1度爪を切るようにしましょう。このとき注意したいのが、深爪による猫との関係の悪化です。猫の爪には血管も神経も走っているため、深爪をすると激しい痛みを感じるため、爪切りを嫌なものだと学習し、嫌がるようになります。

爪を切る際には一度に切ろうとせずに、焦らずゆっくりやることが重要です。切る際には爪の先端だけ切るような心構えで、爪の先部分だけを切るようにしましょう。猫の爪切り用ハサミであれば切れ味も良いため、スムーズに作業をすることができます。

■耳掃除

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猫は耳の中にゴミが入った場合、頭を振って自力で出すことができるため、あまり頻繁な耳掃除は必要がありません。しかし、スコティッシュフォールドなどの耳が垂れている種類は、通気性が悪いので耳にゴミが溜まりやすいので、普通の猫よりはこまめにしてあげるようにしましょう。

頻度としては月に1~2回、耳の中は念入りにやる必要はなく、外耳の部分をコットンなどで優しく拭き取る程度で問題ありません。耳の中が汚れてしまったら、市販のイヤークリーナーなどを垂らして頭を振らせることで、汚れを外に出すという掃除方法もあります。

室外飼育の猫や、野良猫を拾ってきた場合、多くの場合耳の中に耳ミセンダニと呼ばれるダニが寄生しています。このダニが寄生している猫の耳の中は、ダニの排泄部によって黒ずんでいたり、異臭がすることがあります。

そのままにしておくと炎症が起こり、外耳炎などの病気に悪化する可能性があります。猫が耳をひっかき、かゆがるような動作を診せていたら、このダニの感染を疑いましょう。飼い主だけで治療することはできないため、獣医さんできちんと最後まで治療してもらう必要があります。

■避妊・去勢

猫は去勢手術を行うことで発情期がなくなり、それに伴うストレスから解放されて寿命が長くなるといわれています。また、発情期特有の鳴き声やマーキングが抑制できるほか、精巣や前立腺、卵巣などの病気にもかからなくなります。ストレスがなくなることで性格も穏やかになり、問題行動も減ることがあります。このため、現在では完全室内飼いでも去勢手術を行うことが多くなっています。

一方、ホルモンバランスが崩れて太りやすくなったり、手術にはそれに伴う麻酔のリスクがあることも覚えておきましょう。

■安全管理

猫は高いところに上ったり、狭いところに入ることが大好きです。飼い主が思いもよらぬところに入り込んだり、物を落として怪我をすることがあります。猫が飛び乗っても崩れないような家具の配置を心掛けたり、落とされたくないもの、落とされると危ないものは猫の手の届かない場所は、入れない場所などに置くようにしましょう。

また、コード類などにも注意が必要です。猫は犬ほどコードを噛むことがないと言われていますが、噛む可能性はゼロではありません。コンセントカバーやコードカバーなどを使って、猫の怪我を防ぐようにしましょう。

■猫を看取る

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飼い猫の寿命は一般的に12~15歳と言われています。室外飼育の猫の場合は病気や事故などに遭う可能性も高いため、更に2、3歳ほど短くなるようです。近年はペットに対する医療も発達し、猫の寿命も大幅に伸びましたが、それでも老衰などによって寿命は必ず訪れます。

猫は自分の死を自然に受け入れて、旅立っていきます。飼い主はできれば笑顔で送り出すようにしてあげたいですね。埋葬方法としては自治体指定などのお寺で火葬を行う他、ペット霊園などのサービスを利用して遺骨を埋葬したり、保管してもらうという方法があります。

猫を失った悲しみが長引き、うつ病や精神的疾患にかかることを「ペットロス症候群」と呼びます。その悲しみを誰かに話したり、手紙を書くといった治療法が効果的とされている他、病院などではペットロス症候群に対する診療を行っているところもあります。

7.猫のあれこれ

猫の名前の定番が「タマ」である理由

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■玉のように寝るから
■招き猫のモデルになった猫が「タマ」だったから
■宝のように扱われていたから
■猫は霊的な生き物として扱われていたから

猫の名前の定番として知られる「タマ」ですが、なぜこの名前が浸透するようになったか、理由ははっきりしていません。諸説あるうちの一つとしては、猫が丸くなって寝る姿が「玉」のように見える、というものがあります。

他にも招き猫のモデルになった猫の名前が「タマ」で、招き猫が全国に広がるのと同時にこの名前が浸透していったと言われています。別の説では、日本に猫が輸入された際には貴重な動物で、宝のように扱われてたため、「宝玉」にちなんで「タマ」とつけられたとか。

また、信仰や宗教などでもたびたび登場するように、猫は霊的な存在と信じられていました。そのため、魂や霊などの意味をもつ「タマ」という名前が付けられることが多かったと言われています。

有名な猫たち

■オスカー

アメリカのロードアイランド州の老人ホームで飼われている猫のオスカーは、人の死期を知らせる猫として有名です。オスカーは死期が近い人を見つけると、その人の病室で丸くなって寝たりするようになります。それから数時間後、患者の容体が急変し亡くなることが多いそうです。

それに注目したブラウン大学准教授のデイヴィッド・ドーサ博士が、オスカーに関する逸話をまとめた本を出版したことから一躍有名になりました。なぜ死期が分かるのか、科学的な理由はまだ解明されていませんが、猫には死期を悟る特別な力があるのではないかと言われています。

■クリーム・パフ

猫の平均的な寿命は12~15歳ですが、世界にはもっと長生きしたことで有名な猫がいます。現在世界で最も長生きしたと言われている猫は、「クリーム・パフ」という名前で、38歳まで生きたそうです。

これは人間に換算すると約160歳にもなる高齢です。しかも2番目の長寿の記録を持つ「グランパ」という猫は、クリーム・パフと同じ家庭で育てられた猫です。ストレスのない環境での生活がよかったのではないか、といわれています。

猫に関することわざ・慣用句

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人間の暮らしに古くから密着してきた猫。日本でもそんな身近な猫にちなんで様々なことわざや慣用句が作られています。猫が付く慣用句に限っても、その数はなんと100個以上もあるというのですから、日本人にとって猫がどれだけ身近な存在だったかわかりますね。

■猫の首に鈴をつける

計画段階では良い案であっても、いざ実行しようとすると上手くいかないこと。猫の首に鈴をつけると狩りがうまくいかないことから、この言葉が生まれたようです。

■猫に鰹節

油断ができないということのたとえ。猫は鰹節が好物で、かつおぶしがあるとあっという間に盗まれてしまうことから来ているようです。

■あってもなくても猫の尻尾

あってもなくても、たいしたことはないというたとえですが、猫は自分のしっぽによって相手とのコミュニケーションを取っている部分もあるので、実際に尻尾がないと、猫同士のコミュニケーションの際には不便すると言われています。

まとめ

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犬とは違った形で人間によりそい、現代まで一緒に生き抜いてきた存在である猫は、その身体能力や知能、美しい見た目は人間に様々な形で恩恵をもたらし、これからも癒しや感動などを私たちに届けてくれることでしょう。

猫を飼っているひとも、飼っていない人も、愛すべき隣人である猫のことを大切にしてあげてくださいね。

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