フレンチブルドッグの性格、飼い方、特徴について

「ブヒ」の愛称もある、鼻ペチャな顔と大きな耳がユーモラスなフレンチブルドッグ。今回はそんな彼らの魅力を大特集します。陽気で甘えん坊な彼らは理想的な家庭犬であり、よい遊び相手になってくれます。歴史から体の特徴、かかりやすい病気まで一挙紹介します!

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    関 慶之
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1.概要

フレンチブルドッグは、イギリスに源流を持つフランス原産の小型犬です。ブルドッグとの違いは、その体格の差はもちろん、バットイヤーと呼ばれる大きな立ち耳を持っていることも大きな差です。毛は短毛で体は筋肉質、性格は時に頑固な面もありますが陽気で甘えん坊です。

日本においては大正時代に紹介されて人気を博し、昭和時代にはやや人気が衰えますが現在では再び人気犬種となっています。

2.歴史

フレンチブルドッグの発祥については諸説ありますが、中でも有力なのがフランスのレース職人がイギリスから持ち込んで繁殖させたという説です。

19世紀のイギリスではブルドッグが人気を博しており、特にノッティンガムの町では大人気でした。ノッティンガムの町は19世紀半ばには織物産業で大いに栄え、やがてレース職人たちはフランスへ移住します。このとき体の小さいブルドッグが同時にフランスに持ち込まれました。

この体の小さいブルドッグたちにはブルテリアやパグなどが交配され、現在のフレンチブルドッグの原型となる犬ができあがります。当初はパリの中央市場でねずみ取り用として飼育されていたフレンチブルドッグでしたが、その愛らしい顔立ちが市民たちの間で評判になりはじめます。

繁殖業者はこの犬に「ブルドッグ・フランセ」の名前を付けてイギリスからこの犬を次々に持ち帰り、19世紀の終わりごろには上流階級の間でも広く飼われるようになりました。立ち耳のブルドッグはイギリスでは好まれなかったのですが、フランスでは大人気を集めたようです。

フレンチブルドッグはまた、イギリスに逆輸入されて元となったブルドッグの血統を救ったという興味深い逸話があります。ブルドッグは元々牛いじめ(ブル・バイティング)というゲームのために生み出された犬種でしたが、1835年に闘犬が禁止されると犬種そのものも衰退に向かってしまいます。

ブルドッグが家庭犬になるためには、闘犬としての闘争本能を排してより穏やかな気質にする必要がありました。そこで、小型で温和な性格をしているフレンチブルドッグがイギリスに持ち込まれ、ブルドッグと交配されます。こうしてより小型化された現在のブルドッグ(イングリッシュ・ブルドッグ)ができあがりました。

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フランスで一躍大スターとなったフレンチブルドッグですが、パリに来ていたとあるアメリカ人がこの犬に目をつけ、本国に持ち帰って繁殖を試みます。ちょうどそのころアメリカン・ケネル・クラブが結成され、1889年にはフレンチブルドッグのドッグショーが開催されます。

この犬のチャーミングさはアメリカ人たちをも魅了し、人気は急上昇。1913年には全米で人気ナンバーワンの犬種にまでなりました。ふるさとであるイギリスやフランスよりも、アメリカのほうが犬種として公認されたのが早かったというのは面白い話です。

3.身体的特徴

■体高:30cm前後
■体長:20cm前後
■体重:10.0kg〜13.0kg
■毛色:パイド、フォーン、レッド・ブリンドル、ブラック・ブリンドル

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体高はブルドッグよりやや小さい程度ですが、体重は半分程度です。ブルドッグの耳が折れて寝ているのに対し、フレンチブルドッグの耳はコウモリのように大きく広がっていおり、「バット・イヤー」(コウモリ耳)と呼ばれます。被毛は非常に短く密集しており、光沢があって柔らかいです。体はとても筋肉質であり、特に太ももはよく引き締まっており、後ろ足は頑丈でやや長いです。

顔はいわゆる「鼻ペチャ」であり、しばしばいびきを立てて眠っている姿を見ることができます。毛色は黒地に褐色のタイガー・ブリンドル、パイド(白黒)、ブラック・ブリンドルの3種をよく見かけますが、その他クリームやフォーン、ハニー・パイドなど様々な種類があります。ブラウンやブルー・ブリンドルなど、望ましい毛色でないといわれているものを含めるとさらに多様となります。

しっぽはまるで付いていない(無尾)ようにも見えますが、スクリューテイルとよばれる巻いたしっぽがあります。短いためほかの犬のように振ることはなく、感情表現はそのぶん全身を使います。

4.性格・気質

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活発

比較的おっとりしているブルドッグとは違い、フレンチブルドッグは活発な個体が多いようです。しかし運動量そのものはさほど多くはなく、やたらと走り回って飼い主を振り回すようなことありません。またむやみに吠えることも比較的少ないようです。このため、マンションなどの集合住宅での飼育や、女性や高齢者など力の弱い方が飼うのにも向いているといえます。

遊び好き

とても遊び好きであり、一人で遊ぶの飼い主といっしょに遊ぶのも大好きな犬種です。ボールや知育玩具などを与えてあげるととても喜びます。子供にとってもよい遊び相手になってくれますが、筋肉質で力が強いためケガには注意しなくてはなりません。

陽気で甘えん坊

フレンチブルドッグは理想的な家庭犬ということができる犬種であり、愛嬌をふりまいて家族を喜ばせるのが大好きです。甘えん坊で、家族に抱っこされることも好みます。また賢くしつけもしやすいので、初めて犬を飼う方でも安心して飼うことができる犬種ということができます。

5.しつけ

噛み癖

闘犬の血が残っているためか、フレンチブルドッグには噛み癖の治らない個体が多くいるようです。咬傷事故というと大型犬が起こすイメージがありますが、噛みつくこと自体は小型犬のほうが多いという説もあります。噛み癖を治すためには、噛みついてきたと感じたときには大きな声で「ダメ!」「コラッ!」などと大声で叱り、いけないことであると理解させましょう。

叱らなくてもいい環境を作る

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いたずらをして家族を困らせるような場合は、その原因となるものを家の中で犬の手が届かない場所に置いてあげたり、入ってほしくない場所には柵を設置するなどするとストレスが低減します。また、問題行動の多くは運動不足によって引き起こされるといわれています。フレンチブルドッグは運動量そのものは多くありませんが、適度な運動は定期的に行ってあげましょう。

メリハリをつける

しつけはメリハリが重要です。叱り方が中途半端だと、犬はいたずらをすれば構ってくれると間違って覚えてしまうので毅然とした態度で臨みましょう。叱った後はそれに加えて、犬のことを完全に無視するのも効果的です。

叱るときは毅然とした態度で臨むぶん、指示通りのことができたときには思いきり褒めてあげてください。それを繰り返すことで、「これをすればいいことがある」と犬は学習していきます。

6.お手入れ

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ブラッシング

犬の毛には下毛と上毛の両方があるダブルコートと、下毛のみが生えているダブルコートの2つがあります。フレンチブルドッグは被毛が短いため抜け毛は少ないと勘違いされがちですが、実際にはダブルコートのため抜け毛は意外なほど多いです。秋と春の換毛期には特に抜け毛が多くなるため、ブラッシングはできるだけ毎日行ってあげましょう。

フレンチブルドッグのような短毛の犬種のブラッシングには、ラバーブラシが適しています。皮膚が弱い個体も多いので、ほどよい刺激を与えることと毎日のふれ合いをかねて軽く行ってあげてください。

しわの手入れ

フレンチブルドッグのみならず、パグやボストンテリアなどの顔にしわのある犬の共通の悩みとして、しわの間に汚れがたまりやすいことがあげられます。汚れをそのままにしておくと、皮膚炎などの原因となってしまうことがあります。そのため、定期的にしわの間を綿棒や布などで手入れしてあげましょう。顔に触られることを嫌う犬も多いので、ブラッシングもそうですが、子犬のころから少しずつ慣らしてあげましょう。

また、顔だけでなくしっぽの根元の部分にもしわは多いので忘れずに手入れしてあげましょう。

爪切り

犬の爪は伸びすぎると歩行不良などを引き起こしたり、掻いたときに皮膚に傷をつけてしまったりすることがあります。また、犬の爪には人間とは違って先端以外に血管が通っているため、伸びすぎてから切ると血管を傷つけて非常な痛みがあります。そのため、月に一度は定期的な爪切りをしてあげましょう。

爪切りは怖がる犬も多く、上手くいかないことも多いです。やはり子犬のころから慣らしてあげることが重要です。爪切りを持ちながら抱っこしてあげたりすることで、怖いものではないということを教えてあげてください。ペットサロンでプロに任せるのもよい手段です。

シャンプー

シャンプーは月に1回程度、夏場はもう少し回数を上げてOKです。特に最初のうちはいきなりシャワーを当てるのではなく、浅めに湯を張った湯船に入れてあげるなどしてお湯に慣らしてあげてください。水温は人間が感じるよりも少し低めにしたほうが犬にとっては快適です。

シャンプーは必ず犬用のものを使用しましょう。体は指の腹で優しく洗い、お腹や肛門周り、足周りなどの汚れやすい場所はよく洗ってあげましょう。また、肛門を洗うときは一緒に肛門腺絞りを行うとよいでしょう。肛門腺(臭腺)は肛門の斜め下にある部位です。ここはかゆみや炎症が起きることがあります。軽くつまんで分泌液を出してあげましょう。

頭から順番に全身を洗い流し、シャンプーが体に残らないようにしましょう。特に足の裏などは要注意です。シャワーはなるべく勢いを弱くして体に当ててあげると嫌がりません。終わったら手である程度水気を切り、タオルでこするよりも抑えるようにして拭いてあげて下さい。

その後はドライヤーを使って乾かしましょう。自然乾燥に任せると皮膚炎などの原因となってしまいます。ドライヤーは犬用のものもありますが、人間用でもOKです。風力は弱めにして、近づけすぎないようにしながら乾かしてあげて下さい。音を怖がる場合もあるので、爪切りなどと同様の方法で普段から慣らしてあげるとよいでしょう。

7.かかりやすい病気

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フレンチブルドッグの平均寿命はおよそ11年から13年といわれており、犬全体の平均寿命からみるとやや短いです。短命な犬であるともいわれており、その分健康には留意が必要といえるでしょう。注意すべきフレンチブルドッグの病気についてまとめました。

熱中症

フレンチブルドッグは暑さには非常に弱い犬種です。

犬は口呼吸によって体内から熱を逃がしますが、それでは追いつかなくなるほど体に熱がたまってしまうと、臓器や細胞などの働きが鈍くなり、体は正常な活動をすることができなくなります。これを熱中症と呼びます。

熱中症になると体温が40度程度まで上昇し、呼吸が荒くなり心拍数が増加します。重症になると下痢やめまい、嘔吐、意識消失などの症状が見られます。犬はおおむね暑さは苦手であるため、熱中症の初期症状が見られたら迷わず動物病院へつれて行きましょう。

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熱中症の予防策としては、風通しを良くしたりクーラーを使ったりして涼しい場所を確保してあげることが重要です。もちろん、新鮮な水はいつでも飲めるようにしてあげましょう。また、散歩の時間は暑い時間帯を避けるようにしてあげましょう。車に乗せる場合は、エアコンを切った車内に放置するのは夏場以外でも危険です。

そもそも高温多湿な日本ではフレンチブルドッグの飼育には適さない土地もありますので、注意してあげてください。自力での体温調節が難しいので、夏場は首筋に保冷剤を巻いてあげると体温を下げることができます。その他、フレンチブルドッグのための専用のクールウェアなどもありますので、上手に活用して夏を乗り切りましょう。

肥満

フレンチブルドッグは非常に食欲が旺盛であり、食べ物を与えれば与えたぶんだけ食べてしまいます。そのため、肥満には十分に気を付けましょう。一説では飼育されているフレンチブルドッグの50%が肥満状態にあるともいわれます。肥満になるとそのぶん内臓に負担がかかり、様々な病気が発症しやすくなります。

犬の肥満度の判定は、「ボディ・コンディション・スコア」とよばれる方法で行います。お腹を触ったときにあばらが分かるか、体を真上から見たときに腰にくびれがあるか、などの基準を見ながら肥満度を判定していきましょう。実際にダイエットを行う場合は、獣医さんにアドバイスをもらいながら行うのがよいでしょう。

皮膚病

しわが多いフレンチブルドッグの皮膚は弱く、気を付けてあげないと皮膚病を発症しやすい傾向にあります。

・アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎は、皮膚にかゆみが起きる症状のことを指します。アレルギー性皮膚炎には食べ物が原因の「食餌性皮膚炎」、アレルゲンが原因の「アトピー性皮膚炎」、物に接触することで起こる「接触性皮膚炎」があります。

アトピー性皮膚炎は、花粉やダニ、真菌、ハウスダストなどがアレルゲンとなって発症します。激しいかゆみに襲われ、舐めたり掻いたりすることで抜け毛が多くなります。

・膿皮症(のうひしょう)

膿皮症は主にブドウ球菌が異常繁殖して起きる病気であり、湿疹やかゆみなどの症状が起きるのが特徴です。深い部位に感染した場合、細菌の二次感染が起こって死亡することもありますので、侮ることはできません。

・マラセチア皮膚炎

マラセチア症ともいいます。マラセチアは皮膚に普通に存在している菌ですが、何らかの原因によって異常繁殖し、激しいかゆみや赤み、かさつき、べたつきなどの症状が表れます。

・予防法

こうした皮膚疾患を予防するためには、やはり定期的な皮膚のメンテナンスが重要です。ブラッシングは毎日5分程度行い、しわの手入れも忘れずに行いましょう。ただし、シャンプーなどのやりすぎは皮膚を傷つけることにつながりますので、NGです。またそれだけでなく、アレルゲンとなるほこりやダニなどを取り除き、清潔な環境を整えてあげることもとても重要です。

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中耳炎

中耳炎や外耳炎は、耳の中に細菌が繁殖し、炎症などが起きる症状のことを指します。耳のあたりを頻繁に掻いたり、耳をこすりつけるような行動が見られた場合、耳の疾患を疑う必要があります。また、犬の鼓膜は人間と違って首のあたりに存在しているため、首を掻いたり頭を振ったりする行動もしばしばみられます。

バットイヤーといわれるフレンチブルドッグの耳は、入口が広く鼓膜に向かって狭くなるやや変わった構造となっています。そのため、耳道のあたりの毛などが落ちるとなかなか取れにくくなっています。このため、イヤークリーナーなどを使った耳掃除をすると、液体が残ってしまったり、毛を耳道の奥に押し込んでしまったりすることがしばしばあります。耳掃除は普段はカーゼで軽く拭く程度に留めて、心配な場合は獣医さんに相談するとよいでしょう。

さいごに

いかがでしたか。フランスやアメリカで愛され、日本でも人気犬種となったフレンチブルドッグ。

彼らはとても穏やかで陽気な性格で、家族の一員として飼うのにぴったりです。しかし頑固で我慢強く、病気でも飼い主にさとらせようとしない傾向があります。その分、普段から健康状態には気をつけてあげてください!

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