金魚|古くから愛される『金魚』の飼い方・種類・特徴の全て

日本人にとって魚はとても身近なものですが、その中でもペットとして強い人気を誇っているのは金魚ではないでしょうか。美しい朱色、優雅に泳ぐ姿は過去も現在も多くの人々を魅了してきました。金魚の歴史や品種、飼い方などを徹底紹介します!

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    秋月 落葉
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1.概要

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金魚は、コイ目コイ科、フナ属に分類される生き物です。原産は中国で、フナの突然変異を観賞用に改良し、生まれた魚です。ペットとしては古い歴史を持っていると言えるでしょう。

金魚は、古くに日本に輸入されてから、多くの人々に愛されてきました。美しい色に加えて、品種改良によって尾びれや頭、体の大きさなどを持つ種類が生まれています。現代では、美しい金魚を育てて評価しあう品評会なども盛んです。

2.金魚の進化・歴史

中国で発見されたフナから金魚へ

金魚は、西暦3~4世紀頃に中国で生まれた突然変異の黄赤色のフナが元になっています。その体の色から「金」魚と呼ばれるようになりました。約1500~1600年前の中国ではすでに養殖が始まっていて、少しずつ数を増やしていきました。

960年代から始まる宋の時代から明代の時代になると、養殖はさらに盛んになり、美しい品種も増えていきました。金魚は皇帝や皇族、貴族などに愛され飼育されていきました。そのため、1900年代の文明大革命においては「旧文化」として非難され、金魚を飼育する文化に大打撃を受けました。

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フナは釣りの対象魚などとして淡水魚の中でももっとも親しまれている魚です。

1978年に日中の間で交わされた「日中平和条約」によって、2国の交流が盛んになると、日本に渡っていた金魚の飼育法が再び中国に渡る形で、中国の金魚文化は復活していきました。

日本にきてからは平和の象徴として人気に

金魚が日本に来たのは1500年代のことと言われていて、そのころから貴重な生き物だったためか、大きく流行するようなことはありませんでした。しかし、戦乱の時代である戦国時代が終わり、平和な徳川の時代がやってくると、金魚は平和の象徴として人気になりました。

江戸時代、金魚に人為的に手を加えることで調色するという画期的な飼育方法が発見され、金魚の飼育はますます盛んになりました。明治時代に入ると、ロンドンで開かれた「日栄博覧会」に金魚を展示したことで、金魚=日本というイメージが付くようになります。

その後の第一次、第二次世界大戦中は金魚を飼う余裕がなく、一時ブームは去りました。しかし、終戦を迎え、再び平和を取り戻すと同時に金魚は再び庶民の間に出回るようになりました。

現在では輸出量こそ中国に続く形になっているものの、過去に生み出された日本金魚は多くの人々に愛されています。

3.金魚の文化

金魚の文化が最も盛り上がったのは、江戸時代です。浮世絵や俳句、様々なモノのモチーフとしてその姿を見ることができます。特に盛んに描かれたのは浮世絵で、金魚単体の美を愛でるものから、人々が金魚を愛でている様子など、様々な題材で描かれています。

江戸時代には金魚すくいや金魚売りといった、現代でもなじみの深いものが登場しています。

現在でも金魚は"和"の象徴として、様々な物に描かれています。風鈴から手ぬぐい、置物、扇子など多種多様なものに登場し、日本人長く親しまれている魚となりました。

近年では金魚を集めて展示するアートアクアリウムなども盛んで、一般家庭で飼育する以外にも楽しめるようになりました。

4.金魚の品種

一説によると、金魚には100種類以上の品種があるといわれています。そのうち主に30種類程度が、日本で盛んに飼われているといわれています。

金魚の分類は、主に体型・体色・ひれの形などで行われます。金魚の分類で特徴的なのは、体色などが少し違っている場合は別品種としてカウントするということです。例えば柴犬の場合は茶、黒、白などの毛色の違いがあっても同じ柴犬ですが、出目金の場合は赤と黒がそれぞれ赤デメキン、クロデメキンと呼ばれ別の品種となります。

そのように細かい種類に分かれている金魚ですが、主流の体型としてはワキン形、リュウキン形、オランダ形、ランチュウ型の4つがあります。この各種類をかけ合わせることで、様々な色や姿の金魚が生まれてきました。様々な金魚たちの品種を見ていきましょう。

和金

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和金は金魚の原点ともいえる種類の金魚であり、ペットショップや金魚すくいなどでも最も多く見かける金魚です。フナが変異して黄色やオレンジ色の体を持つヒブナが、さらに変異してこの和金になりました。名前を見ると日本生まれにも思えますが、原産国は中国です。

中国では「チンユウイ」(金魚)と呼ばれていましたが、それを和訓読みして「コガネウオ」あるいは「キンギョ」と呼んでいました。やがて時代が下りこれ以外の金魚も多く入ってくるようになると、それらと区別するために「日本にいた最初の金魚」という意味で「和金」という名前が付けられました。

フナは20㎝から30cmほどに成長する魚で、和金はその血を最も濃く受け継いでいるため、成長すると体はとても大きくなることが多いです。また野生の魚の体質を受け継いでいるため病気にも強く、野外の池などに放しておいて特に餌を与えなくてもそのまま成長するケースも少なくありません。

出目金

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和金の次に多く見かける金魚が、飛び出した目が特徴的なこの出目金ではないでしょうか。出目金はリュウキンが突然変異をしたのを固定した品種であり、そのため体型はリュウキンに似ています。目は卵から孵化して3か月ほどたってから飛び出してくるようです。かつては支那金魚(シナキンギョ)とも呼ばれていました。英語ではテレスコープ・アイ(望遠眼鏡)、中国語ではロウチンユウイ(竜晴魚)と呼ばれています。

デメキンははじめにアカデメキンが作られ、そこから漆黒の体を持つクロデメキンが作られました。クロデメキンは歳を重ねるとともに体の黒さが増したり、退色して赤くなっていったりすることがあります。サンショクデメキンはやはりアカデメキンから作られました。普通の鱗と透明な鱗が混在しており、黒、赤、紫、青、白などの様々な色がモザイクとして表れます。

リュウキン(琉金)

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漢字では琉金と書きます。オナガ、ナガサキとも呼ばれ、江戸時代の安永・天明年間(1774~1788)に琉球から渡ってきた金魚であるためこの名前がついたといわれています。実際には原産地は琉球ではなく、中国から琉球を経て鹿児島に持ち込まれたというのが正しいようです。

和金の変異種が個体化された品種で、体長は12㎝ほどと比較的短く、全体的に丸みを帯びた体が特徴的です。尾びれの先端が一直線になっているベールテールと、二又になっているリボンテールの2種類があり、日本で見かけるリュウキンはリボンテールが主流です。リボンテールにはさらに三ッ尾、四ッ尾、サクラ尾などに分かれています。

体色は赤、紅白、白の種類がありますが、和金と同様に赤い個体が望ましいとされ、白い個体は価値が低くなります。

ランチュウ

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ずんぐりした背びれの全くない体が特徴的な金魚がランチュウです。漢字では蘭鋳と書くほか、金鋳や蘭畴とも書いてらんちゅうと読みます。やはり和金が交配を繰り返して発展した品種ですが、未だ確実にランチュウを固定することはできておらず、良質な個体が出現する確率は40%程度だといわれています。

体型は卵のように丸く、背びれがないほかに各部のヒレも比較的短くなっています。背中はヒレがない代わりに背骨が湾曲しており、山型に盛り上がっています。また頭部には大きなコブがあり、これもまた大きな特徴です。頭全体に均等に盛り上がるものを「シシガシラ」(獅子頭)、頭頂部が発達しているものを「トキン」(兜巾)、鰓ぶたが発達しているものを「オカメ」(お亀)と呼びます。

かつては体が丸いため「マルコ」と呼ばれていました。寛延元年(1747)に刊行された金魚の養育書「金魚養玩草」(きんぎょそだてぐさ)では、その外見を卵に見立てて「卵虫」と書かれています。そのほか、「蘭虫」「朝鮮金魚」などといった呼び名も存在していました。コブがライオンを思わせるためか、英語では「ライオンヘッドゴールドフィッシュ」の名前がついています。

現在の日本のランチュウには3系統があります。大阪ランチュウは江戸時代に流行したもので、あまりコブは発達していません。太平洋戦争によって絶滅してしまいますが、戦後に復興が図られました。協会系と呼ばれるランチュウは明治期に初代石川亀吉が東京で作出したもので、現在のランチュウの基礎をなしています。さらには同じころに京都の陶芸家・宇野仁松(うのにんまつ)が育成した宇野系とよばれるものもあります。

和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)

オランダシシガシラは、リュウキンが変異した琉球シシガシラがさらに変異したものを固定した品種であると考えられています。「オランダ」の名前が付いていますがオランダ原産というわけではなく、リュウキンと同様に中国が原産です。延宝元年(1673)以降の日本ではオランダ以外のヨーロッパの国々との交流が途絶えたため、珍しいものやハイカラなものを「オランダ」と読んだり、「蘭」の字を当てることがしばしばありました。

背びれがあってほかのヒレも長いことを除けば、コブも持っておりランチュウによく似ています。このためランチュウとリュウキンの交雑種ともいわれていましたが、現在ではその説は否定されています。体型はリュウキンよりもやや胴やヒレが長いのが特徴です。体色は橙色の個体が多いですが、紅白や赤なども見られます。

土佐錦(トサキン)

トサニシキではなくトサキンと読み、土佐金とも書きます。大阪ランチュウとリュウキンとの交配によって生まれたとされており、体型はリュウキンとよく似ていますが、通常は何本かに分かれている尾びれがまるで扇のような形に広がっており、独特の美しさを誇っています。

土佐錦の発祥は江戸時代後期に一体を治めていた山内氏の家老・須賀氏が江戸から金魚を持ち帰ったのが始まりとされており、その後は須賀氏の末裔である須賀亀太郎氏が明治時代に土佐錦を固定します。しかし太平洋戦争と終戦から1年後に発生した昭和南海地震によってほぼ絶滅状態に陥ってしまい、生き残った6匹の金魚をもとに復興が図られました。

現在の土佐錦は例外なくこの6匹の血を継いでいるためか体質が弱い個体が非常に多く、また飼育にあたっては屋外の日の当たる場所での飼育が必須であることなど、難度が高いです。入手にあたっても良型の入手は手間がかかり、そのうえ非常に高価です。こうしたことから、土佐錦はある程度金魚の飼育に慣れた人でも難しい、上級者向けの金魚ということができるでしょう。

庄内金魚(ショウナイキンギョ)

山形県の庄内地方、東田川郡庄内町(旧余目町)で大正時代に生まれた金魚が庄内金魚です。基本的な姿は和金に似ていますが、尾びれが非常に長く、成長するにしたがってさらに長くなっていくのが特徴です。この長く優雅な尾はまるで振り袖を着ているように見えるため、「振り袖金魚」の別名もあります。

美しい見た目とは裏腹に体は非常に丈夫で、特に雪国育ちらしく寒さには非常に強くなっています。和金同様に室内で飼育しているとどんどん大きくなりますが、そのぶん尾びれとのバランスが失われてしまうため、水温の低い屋外での飼育が望ましいとされます。

庄内金魚のルーツについては、興味深い話があります。宮城県の魚取沼(ゆとりぬま)や山形県の若畑沼などに、鉄魚(テツギョ)というヒレの長い特徴的な容姿をもった、現在では天然記念物に指定されているフナが生息していますが、これは庄内の金魚と交わって生まれたのではないかというのです。

この鉄魚は従来はフナの変異種といわれてきましたが、最近のDNA鑑定によって金魚の遺伝子を持っていることが明らかになっています。鉄魚と庄内金魚の血がつながっているとすれば、とてもロマンのある話ではないでしょうか。

パールスケール・ピンポンパール

まるで玉のようなユニークな姿をしているのがパールスケールとピンポンパールです。両者は姿が非常によく似ており混同されることもありますが、品種としては別の金魚です。

パールスケールは中国が原産の金魚であり、本来の名前はチンシュリン(珍珠鱗)といいます。チンシュリンの作出の経緯は不明ですが、腹部のウロコの一枚一枚が半分に割った真珠をはめ込んだような形状をしているため、パールやパールスケールといった別名が付きました。このうち、時たま現れる尾が短めの個体を固定化したものをピンポンパールと呼びます。

近年、中国に次いでマレーシア産の金魚が多く国内に入ってきていますが、ピンポンパールもマレーシアを中心に数多く生産されている金魚です。かわいらしい外見で女性に多く人気があるほか、金魚だけでなく熱帯魚の愛好家にも人気が高い種類です。飼育上気をつけるべきこととしては、体型からわかる通りやや転覆しやすいのでなるべく水流の発生を抑えてあげる必要があります。

朱文金(しゅぶんきん)

明治25年、初代秋山吉五郎氏が作出し、松原新之助氏が命名したのが朱文金です。サンショクデメキンとフナ尾の和金、さらにヒブナを混合して生まれた品種であり、和金に似ていますが、尾ビレだけがフナ尾でありながら和金よりも長くなっています。体色はサンショクデメキンのモザイク色とフナの普通のウロコが混在しています。

見た目は優雅ですが、フナの血を直接引いているので体質は非常に強いです。この朱文金はアメリカを経由してイギリスに渡り、より平たい体でハート型の尾を持つブリストル朱文金が作られました。

水泡眼(すいほうがん)

まるでハムスターのほお袋のようにも見える大きな袋を持っているのが水泡眼です。この袋は眼球の角膜が膨れ上がったものであり、ここが傷ついて小さくなったりするとその頭がまるでガマガエルのように見えることから、「蛤蟆頭魚」(ハマトウユウイ)の異名もあります。「蟆」とはガマガエルという意味で、日本語ではこれにならって「ハマトウ」と呼ぶこともあります。

頂天眼(ちょうてんがん)

眼が上向きに付いている、とても不思議な見た目をした金魚が頂天眼です。動物学者の箕作佳吉(みつくりかきち)によって「天文望遠鏡魚」と命名されているほか、英語では「天体金魚」の名前があります。

このような見た目ですが中国の清代に作出されたという比較的古い歴史をもっており、宮廷でデメキンを細い口の瓶の中で代々飼育し、徐々に横に付いていた目が上を向くようになったという伝承があります。この上向きの目はほとんど見えておらず、代わりに嗅覚が発達しており鼻を巧みに使ってエサを探します。

5.金魚の生態

体型や骨格

金魚はその品種ごとに大きく形態に差異があるのが大きな特徴です。特にランチュウや頂天眼、水泡眼といった品種には背びれがありません。ウナギやドジョウなどの目立たない魚にも背びれは付いているので、これは自然界の魚にはない特徴といえるでしょう。

ウロコ

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魚の鱗は、大きく分けて硬鱗(チョウザメ、ガー、シーラカンスなど)、楯鱗(サメなどの軟骨魚類)、円鱗・櫛鱗(硬骨魚類)の4種類があります。金魚の鱗はこのうち円鱗を持っています。円鱗は金魚のほかにはコイ、イワシ、サケなどに見られる鱗で、薄く平たく、コラーゲン繊維でできた線状の層の上に硬い骨状の層が重なっています。

性別

クロダイやマダイ、クマノミなど、魚には雌雄同体の種類も非常に多いですが、金魚は雌雄異体であり、当然オスとメスには体に差異があります。外見上で最も見分けやすくなるのは産卵期で、オスの胸ビレの外線の第一鰭条の部分、あるいは鰓ぶたの部分に白い小さな突起が現れます。これは追星(おいぼし)といわれるもので、オスの第二次性徴に当たります。メスは産卵期になると卵を持ち腹部が大きくなります。

産卵期以外になると、生殖孔の違いによって見分けます。オスの生殖孔が全体的に細長く小さいのに対し、メスは全体的に丸みを帯びていて大きくなっています。ほかにも臀部のヒレがオスはやや大きいのに対してメスは小さくなっています。しかしオスメスの判別は素人にはやや難しく、特に稚魚や少し成長した程度の個体だと非常に困難です。

内臓器官

魚の内臓器官は基本的にどんな種類でも同じような構造をしていますが、金魚にはほかの魚類どころか多くの生物にも見られない変わった特徴が2つあります。それはコイ科の魚に共通することとして、胃が存在せず口と腸が繋がっているということ、加えて肝臓と脾臓がはっきりと分かれておらず肝脾臓と呼ばれる一体になった臓器があるということです。

尾の形状

金魚の尾には数多くの形状があり、大きな魅力の一つとなっています。代表的な種類を見てみましょう。

・フナ尾

和金などの尾の形がフナ尾です。自然界のフナに最も近い尾の形をしており、サバ尾と呼ばれることもあります。金魚は基本的には和金から発展しているため、どの品種の金魚でもフナ尾になることがあります。最もありふれているため鑑賞上の価値は低いですが、泳ぐ力は強く飛び跳ねることもできます。

・吹き流し尾

フナ尾が長く伸びたものを吹き流し尾と呼びます。和金の流線形の体型に、長い尾びれが水に流れる様は非常に優雅です。中には胴体の長さ以上の長い吹き流し尾を持つ個体もいます。なお、出目金やリュウキンに吹き流し尾が発現した場合は通常は評価の対象になりませんが、「柳出目金」「柳リュウキン」と呼んでかわいがる愛好家も多く存在しています。

・三つ尾

三つ尾はフナ尾が変異したもので、三つに分かれた尾です。和金をはじめとするほぼ全ての金魚に現れることがある尾の形です。下側の尾が二又になっていて横から見て三つ尾と分かるものを横見、水平に三つに分かれていて上から見て三つ尾と分かるものを上見とそれぞれ呼んでいます。

・蝶尾

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上から見たときにまるで蝶々が羽を広げているかのように見える尾を蝶尾と呼び、この尾を持つ金魚のみで一つの品種が形作られています。中国で作出された品種で、紅白の更紗蝶尾、白黒のパンダ蝶尾、赤黒のレッサーパンダなどの種類が存在します。

・四つ尾(鰭長/小振り)

三つ尾と一見よく似ていますが、中心に根元まで切れ込みが入っており、上から見ると四つ又になっているのが四つ尾です。切れ込みが多い分その揺れる姿もとても優美です。鰭の長さは鰭長とよばれる長めのものと、小振りと呼ばれる短めのものがあります。

・孔雀尾

四つ尾がさらに変形した形状をしており、まるで孔雀の尾羽のように見えることからこの名前が付きました。後ろから見るとまるで飛行機のプロペラのようにも見ることができます。地金(ジキン)という品種がこの孔雀尾を持っています。

地金のうち、4つのヒレ、鰓ぶた、口元の6か所のみが赤く胴体が白い個体は六リンと呼ばれ、特に珍重されています。これは自然発生ではなく、稚魚のうちに体表の赤いウロコを人の手でそぎ落とすことでこの姿になります。

・吹き流し四つ尾

名前通り、四つ尾と吹き流し尾のハイブリッドということができるのが吹き流し四つ尾です。二又に大きく分かれた2つの尾が、さらに上下に分かれて四つ又となっています。クラゲのように大きく広がり、豪華な印象があります。

・平付け尾

いびつな三角形の形をした、三つ又の尾を平付け尾と呼びます。大阪ランチュウがこの尾の形をしています。金魚にとってはやや泳ぎにくい形をしており傷つきやすいため、飼育の際は水槽内にあまり水流が発生しないようにしてあげる必要があります。

・平付け反転尾

土佐錦の尾びれを平付け反転尾と呼びます。非常に美しいですが反転尾よりさらに傷つきやすいため、土佐錦の飼育難度を上げる要因になっています。

・ハート尾

一見フナ尾にも見えますが、よく見ると丸みを帯びておりまるでハートマークに見える尾びれをハート尾と呼びます。ブリストル朱文金はこのハート尾を持つ品種です。

・ショートテール

これも一見フナ尾に似ていますが、フナ尾とは違って二又に分かれており、フナ尾よりもやや短く、輪郭がギザギザになっています。リュウキンに多く発現する尾びれです。短いぶん転覆しやすいので注意が必要です。STと略されます。

・ブロードテール

蝶尾は上から見たときに蝶々のように見える尾びれでしたが、ブロードテールは横から見たときに蝶が花に止まっているかのように見える尾びれです。やはりリュウキンに発言しやすく、BTと略されることもあります。

6.金魚とともに暮らす

今やとても身近な存在となった金魚。しかし残念ながら、せっかく金魚を飼っていても数か月も絶たないうちに死んでしまう……というケースがしばしばあります。

短命と思われがちな金魚ですが、うまく飼えば30年は生きるといわれます。ギネスブックでは、なんと43歳という記録が残っています。この金魚は「ティッシュ」という名前で、1956年にイギリス・ドンカスターの遊園地で買われて以来、1999年まで生きました。ペットとは長く一緒に過ごしたいもの。そのためにも、金魚を飼育する上で最低限知っておくべきことをまとめておきましょう。

なるべく少なめに飼おう

金魚を飼いはじめると、ついつい金魚の数を増やしたくなってくるものです。しかし、同じ水槽内に多数の金魚がいる状態は、魚にとってストレスとなるだけでなく、命にも関わる危険な状態です。

金魚は容器の中の水に溶け込んだ酸素を体に取り入れることで呼吸をしています。そのため、金魚の数が増えれば増えるほど水中の空気の取り合いは激しくなり、やがては酸欠状態となって全員に悪い影響を及ぼします。このため、金魚を飼う際はなうべく数を少なくしてあげるのが正解なのです。

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では、飼育可能な限度の目安はどの程度なのでしょうか。一般に最も普及している縦60cmの水槽でエアレーションを使わないとすると、体長10cmの金魚で9匹が飼育の限界と考えてよいでしょう。ただし9匹というのはあくまで限界なので、実際には5匹ほどでゆとりがあるのが理想です。匹数が少ないとどうしても殺風景になってしまいますが、その分は水草や流木、装飾品などで補ってあげてください。

金魚を購入する

金魚のもっとも簡単な入手法といえば金魚すくいですが、品種にもう少しこだわるとなると、しっかりしたお店から購入する必要があります。

・ホームセンター、ペットショップ

多くのペットショップでは、熱帯魚などとともに金魚を扱っています。可能であればなるべく売り場の規模が大きく、種類の豊富なお店を選ぶとよいかもしれません。また、ペットショップの中でも魚類を専門に扱っている店も多くありますので、そうしたお店もよいでしょう。初心者には最も買いやすいといえるのではないでしょうか。

・養魚場

金魚を仕入れて販売しているペットショップとは違い、店で金魚の繁殖から販売までを手掛けているお店を養魚場と呼びます。ペットショップよりも質の高い金魚を手に入れることができ、店員も金魚の専門家なので知識は確かです。

ただし、生産には広い土地と大量の水が必要であるため、都心部にはお店が少ないのが難点です。金魚を長時間電車で運ぶのはなかなか難しいため、利用には自動車が必要になることも多くなるかと思います。

・通信販売

珍しい金魚を手に入れたいけれど、手に入る環境が周りにないという時に活用できるのが通信販売です。しかし、生き物を輸送することになるためそのぶんリスクは多く付きまとい、最悪の場合は到着した時には死んでしまっていたということも考えられます。利用する際は健康保障などが付いているサービスを選ぶとよいでしょう。こうしたことがあるため、総じて上級者向けの入手方法ということができます。

・金魚の選び方

実際に金魚を選ぶ際は、以下のようなことに気を付けて選んでいくとよいでしょう。

・集団から離れて1匹で泳いでいる
・体に白い斑点やもやがある
・ヒレがボロボロになっている

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このような特徴がある場合、その金魚は何らかの病気を持っている可能性があります。そのため、選ばないほうが無難といえるでしょう。

水槽

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何匹飼育するかにもよりますが、金魚を飼うための水槽はなるべく大きめのものを選んであげましょう。前述の通り、最も一般的な60cm水槽なら5~6匹、それよりも小さいキューブタイプとも呼ばれる30cm水槽なら1~2匹が目安です。金魚、特に和金は年数がたつごとに大きくなり、フナと同じくらいまで成長することもありますので、そうしたことも考えてあげるとよいですね。

・屋外水槽

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金魚は屋内だけでなく、屋外でも飼育することができます。その場合によく使用されるのは、すいれん鉢といわれる素焼きや陶器製の鉢です。料理店などの店先に置いてあり、中で金魚が泳いでいる光景をよく目にすることがあるかと思います。水替えを頻繁にしなければいけないのがネックですが、庭や玄関先などにもよくなじみます。

そのほか、トロ船やプラ船といわれる船型のものや、「心」の字のような形をした心池や心の池といわれる水槽もあります。これらはほどよく日当たりと風通しが良く、雨水が流れ込みにくい場所に置きましょう。

・金魚鉢

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金魚を飼う容器といえば金魚鉢というイメージがあるかもしれません。実際、金魚鉢の中で金魚が泳ぎ回る姿はかわいらしいものです。しかし、実は金魚鉢での金魚の飼育は初心者には難しい面があります。水の量が少ないため水質が安定しないことが主な原因です。金魚鉢はもともと、あくまで金魚を鑑賞するために作られたものであるため、長期の飼育には適さないのです。

それでも金魚鉢で金魚を飼いたいという場合には、水流を好まず、泳ぎがあまり得意でない金魚の種類を選ぶことが必要になります。また酸欠にならないように水草などを用意しましょう。金魚ではなく熱帯魚となりますが、ベタなどは金魚鉢で飼いやすいのでそうした魚を選んでみるのもよい手です。

・水槽の立ち上げ方

まずは水槽を置く場所ですが、ほどよく日光が当たり風通しがよい場所を選びましょう。直射日光が当たる場所だと水質が悪くなりがちで、金魚の健康によくありません。ちょうどよい場所がなければ、重い物を置いてもバランスのよいがっしりした台を設置してその上に置くのもよいでしょう。

まずは水槽と底に敷く砂砂利は一度丁寧に洗います。その後、砂利を敷いてからカルキ抜きした水を入れていき、さらに水草やインテリア、エアレーションなども入れていきます。金魚を入れる際は、まずは袋に入ったまま30分ほど浮かべ、水温の変化に慣らすようにしましょう。

フィルター

フィルターとは、ろ過(濾過)フィルター、ろ過装置とも呼ばれる道具で、水槽内の水をきれいにする役目があります。食べ残しやフン、あるいは水槽の外から入ってくるホコリなどで水は常に汚れていきます。そのため、そうした汚れは常に浄化する必要があります。ただし過信は禁物であり、水替えはなるべく頻繁に行ってあげる必要があります。

フィルターは細かく分類するとその形状や水の分解方法などに様々な違いがあり、飼育する生物によっても適したものは違います。しかし、金魚の飼育には主に以下にあげる3タイプのものを覚えておけばよいでしょう。

・上部フィルター

水槽上部に取り付けるタイプのフィルターです。価格は安く、置き場所も取らず、酸素の供給量は非常に安定しますが、設置するためには水槽に黒フチといわれるフレーム部分がないと安定しにくいです。やや水槽全体の見栄えが悪くなってしまうのも難点です。

・外掛けフィルター

水槽の外部に掛けて使用するタイプのフィルターです。小型で場所を取らず安価ですが、小さい分ろ過する能力は低く、水が蒸発して水面が低くなると水音が激しくなるデメリットもあります。

・外部式フィルター

水槽の外部に置いて使用するタイプのフィルターです。値段が高めで置き場所が必要というデメリットがありますが、金魚以外の様々な水槽にも使用できる汎用性が高いフィルターです。ろ過能力は大変高く、耐久性にも優れ、水槽台の下部を利用すれば見た目をすっきりします。金魚飼育の初心者の方には特にオススメのフィルターといえるかもしれません。

エアレーション

「ブクブク」と呼ばれることもある、水槽内に空気を送り込む装置をエアレーションと呼びます。石の形になっていたり、棒状になっていたりなど、さまざまなタイプのものがあります。フィルターの中には水を高い場所から排出するものがあり、それによって発生する泡がエアレーションがわりになることもあります。いずれにせよ、水槽の大きさに合ったものを選びましょう。

金魚によっては泳ぎがあまり得意ではなく、水流を避けたほうがよい種類もいます。その場合は水草を多めに入れての酸素供給が主となります。

エサ

かつては金魚のエサといえば自然に取れるアカムシ、ミジンコ、イトミミズなどでしたが、環境汚染の進行に伴ってそうした良質なエサを入手するのは難しくなりました。現在ではその代わりに、金魚の栄養を考えた質の高い人工のエサが数多く販売されています。そうした飼料の多くは乾燥タイプですが、中には冷凍のものや半生タイプのものも開発されています。

・エサのあげ過ぎに要注意!

金魚の体調が悪くなる原因の多くは、エサのあげ過ぎによるものです。「5.金魚の生態」でも見てきましたが、金魚には胃がないため腸だけで食物を消化吸収しなければいけません。ですので、エサを食べ過ぎているとすぐに消化不良を起こし、命にも危険が及んでしまいます。また、食べ残したエサが多くなると水質も悪化し、ストレスも増えていきます。

金魚のエサをねだる姿はとても愛らしく、ついついたくさんあげたくなってしまいますが、彼らの健康を守るためにもぐっとこらえましょう。特にお子さんのいる家庭では、エサのあげ過ぎは起こりやすいトラブルです。注意してあげてください。

・正しいエサのあげ方とは?

食いつきの具合とエサの残り具合の両方を見ながら、エサの量を決めていきましょう。また、エサを与える時間はできれば午前中、最低でも日の出ているうちに与えるようにしましょう。これは、金魚は人間と同じように日の出とともに活動を開始し日没とともに休息につくというサイクルで生活をしているためです。できる限り夜中にエサを与えるのは避けてあげましょう。

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また金魚の食欲は季節によっても変動し、一般的に水温が上がる夏場には食欲旺盛に、水温が下がる冬場には食が細る傾向にあります。そのため、晩秋から冬にかけてはエサの量は普段より少なめにしましょう。あまり食べないようであれば、普段よりぐっとエサの量を抑えても問題ありません。

残ったエサは水質を悪化させ、金魚の病気の原因となります。そのため、朝にあげて夜に残っていたエサはネットですくい、捨ててしまいましょう。金魚のエサは沈下性といわれる水に沈むものと、浮上性といわれる水に浮くものがあります。沈下性のエサは掃除がしやすいので、飼育に慣れないうちはそちらを与えるのがよいかもしれません。

金魚をはじめとする魚が生きていくうえで絶対に不可欠なのが水です。愛好家の間では昔から「金魚つくりは水つくり」という格言があるほどであり、水は金魚の命そのものといってもよいでしょう。金魚にとって最良の水とは、酸素が十分に溶け込んでおり、有害な物質が入っていない水のことを指します。そのような水を作るにはどうしたらよいのでしょうか。

・水道水や井戸水を良質な水に変える

水道水には浄化のための塩素が入っており、人間の体には問題がなくても金魚にとっては有毒です。そのため、水道水を金魚の飼育に使用する際は塩素を抜く、いわゆるカルキ抜きをする必要があります。カルキ抜きは汲み置きした水を1日ほど日光にさらしておくだけでも完了しますが、市販の塩素中和剤を利用することでも手軽に行うことができます。

また、井戸水が手に入る場合は、自然の水ということで金魚の体に良さそうなのですが、地下水には酸素がほとんど含まれていないため金魚の体には必ずしもよくありません。また一見きれいに見えても不純物が含まれていることもあるので、あらかじめ調べておく必要があります。このため、金魚の飼育に井戸水を使用するのは上級者向けということができます。使用する場合はあらかじめエアレーションで1日ほど空気を送り込んでおくとよいでしょう。

・水替えのサイン

水が汚れてきたら、水替えを行いましょう。水の汚れ具合は、目で確かめることができます。フンや食べ残しがたまっていることのみならず、白っぽい濁りが発生していたりしたら水替えのサインです。また水の汚れそのものだけでなく、金魚がエサを欲しがっているわけではないのに水面近くでパクパクしていたり、動きが鈍くなっていたりする場合でも、水の替えどきということができるでしょう。

・水替えをする

日常的に水槽を覗いて金魚の姿や水の質をよく観察し、変化を見逃さないようにしましょう。

水替えは、まずカルキ抜きをした水を用意します。水槽の容量にもよりますが、持ち運びが大変な場合は少しずつ小分けにして運び、水槽のそばでまとめるとよいでしょう。次にホースで水槽内の水を出します。ホースを動かしながら、水槽の底にたまった汚れをかき出していく感覚で水を出しましょう。ホースは灯油用のものでもOKですが、慣れるまでは専用のものを使用した方が無難です。

また、このとき金魚は入れたままでもOKですが、心配な場合はあらかじめ用意した別の水に移し替えてあげましょう。ガラスに付いたコケなどが気になるならば、それらもふき取っておきましょう。手でふき取ってもOKですが、専用の掃除用具を使用すると簡単です。

またこのとき、フィルターやエアレーションなども忘れずに掃除するようにしましょう。フィルターも汚れが溜まっていると掃除の性能は必然的に落ちてきますので、定期的なメンテナンスは欠かすことができません。ただし、フィルター内にはろ過バクテリアが住んでいますので、それらまで除去してしまわないよう、ある程度はその汚れを残しておく必要があります。

掃除が終わったら、新しい水を入れていきましょう。水の変化は金魚にとってストレスになりますので、水位は少しずつ上昇させていく必要があります。一気に入れ替えてしまうのではなく、ジョウロなどで入れ替えるのも効果的です。

バクテリア

バクテリアというのはあまり馴染みがありませんが、水をよりきれいにするために導入する微生物です。バクテリアは水中の様々な不純物を分解し、水をきれいに保つ助けになってくれます。主に金魚を初めて水槽に入れるときや、水替えの時などに水に入れます。ろ過がフィルターでは不十分と感じた際などに導入してみてはいかがでしょうか。

ただし、バクテリアは水温が高温になると死滅してしまい効力がなくなるので、その点には注意が必要なことは覚えておきましょう。

7.金魚の病気と治療

金魚も人間と同様に病気にかかります。ここでは、代表的な病気とその治療法をいくつか紹介します。

白点病

・症状

金魚がかかることが最も多い白点病は、体表や鰭の各部分に白いゴマをふりかけたような点があちこちに生じる病気です。病気の初期は白い点がまばらにある程度ですが、症状が進むにつれて体全体が覆われるようになります。

その他の初期症状としては、体にかゆみが出て水槽の底や水草などに体をこすりつける動作が見られます。病気が進行していくとやがて元気が消失していき、死に至ります。

・原因

白点虫とよばれる原生動物が金魚の体に付くことによって発生します。白点虫は繊毛虫に分類される原生動物であり、0.5mm程度の大きさをしています。金魚は普段の健康な状態なら感染することはありませんが、水温が不安定でストレスがたまりやすい梅雨の時期や秋口に多く感染が起こります。

白雲病

・症状

白雲病(はくうんびょう)は白点病に並ぶ金魚にとってポピュラーな病気ですが、死に至ることも多い怖い病気です。初期症状は動きが鈍くなったり体をガラスにこすりつけたりする程度ですが、やがては体に白いもやのようなものが生じ、全身に広がっていきます。症状が末期になると食欲が全くなくなり、じっとしたまま動かなくなり、衰弱死に至ります。

なお、白いモヤが消えて代わりに黒い斑点が浮かんでくることがあり、これを黒斑病と呼びます。病名が付いていますがこれは正確には病気ではなく、白雲病が治癒している途中にあることを示すものです。そのため、心配は決していりません。

・原因

白雲病は、コスティア、あるいはキロドネラといわれる寄生虫が金魚に寄生し増殖することによって起こる病気です。こうした寄生虫は普段から水中に生息しており、健康な状態ならば寄生されることはありませんが、やはり季節の変わり目の水温変化や水質悪化などによる悪影響で金魚が弱ると寄生されやすくなります。

ツリガネムシ病

・症状

初期症状としては、白点病でできる斑点よりもやや大きな白い点が発生します。病気が進行していくと白い点は大きくなり、やがてウロコが盛り上がって周囲が充血します。さらに症状が進むとウロコが脱落し、筋肉が露わになることもあります。

・原因

原生動物のツリガネムシ(エピスティリス)が魚の体表やヒレなどに寄生することで起きる病気です。白い点はこのツリガネムシが集まっていることによって白く見えるものです。やはり金魚の体力が落ちることによって寄生されやすくなるもので、梅雨入りの時期に多く見られます。

松かさ病

・症状

金魚のウロコが逆立って体がふくらみ、まるで松かさのように見えるのが松かさ病です。このような状態になるのは、ウロコの付け根部分にある鱗嚢(りんのう)といわれる部分に水がたまることによります。初期症状では体の表面に赤みが出る程度ですが、症状が進むと平衡失調などを起こして動くことができなくなり、死に至ります。

・原因

エロモナス菌(エロモナス・ハイドロフィラ)という細菌の感染によって起こるとされていますが、この細菌がいなくても発生することがあるため、詳しいことは分かっていません。

尾ぐされ病

・症状

尾ぐされ秒は金魚のみならず様々な観賞魚に感染する病気です。初期症状としてはヒレの先端や縁が白く濁り、その周囲が充血することがあります。病気が進行すると濁りは尾の根元まで進行し、やがて裂けたようになって金魚自身も衰弱して死に至ります。

・原因

カラムナリス菌(フラボバクテリウム・カラムナーレ)という細菌が感染することによって発生します。カラムナリス菌はヒレ以外に口や鰓にも感染することがあります。カラムナリス菌が感染すると組織が壊死し、ヒレが溶かされてしまいます。

転覆病

・症状

転覆病はその名前のとおり、金魚が腹を上にして転覆してしまう病気のことを指します。リュウキンやピンポンパールなどの丸い体型の金魚に多く見られます。転覆した金魚はすぐ死んでしまうことはなく、きちんとエサも食べます。

・原因

「病」と名前が付いてはいますが、転覆病はほかの病気とは違って細菌などによるものではありません。そのため、一匹が転覆病になってもほかの金魚に感染したりすることはありません。浮き袋の異常により発生すると考えられてきましたが、詳しい原因はいまだに分かっていません。近年の研究では、金魚の脊椎の平衡感覚に関係する神経が異常を起こすことが原因ではないかと考えられています。

塩浴

金魚の病気の最も基本的な治療法としては、食塩水の中で泳がせる塩浴があげられます。

塩浴はその進行具合にもよりますが、ほとんどの病気に対して一定の効果を期待できる治療法です。金魚を飼育するなら方法はしっかりとおぼえておきましょう!

・なぜ塩浴が効果的なのか

生物は海を起源に持っています。人間も母親の胎内にいるときは塩分を多く含む羊水に包まれています。弱った金魚をほどよい塩分に入れることは、生物本来の自己回復能力を高めることにつながるのです。

またそれだけではなく、塩分には殺菌効果もあり、体内の浸透圧を調整する作用もあります。このため、病気の金魚には塩浴が有効なのです。

・塩水を作る

それでは、実際の塩浴はどのように行えばよいのでしょうか。

まずは塩水の作り方ですが、理想的な濃度は0.5%から0.6%です。0.5%の食塩水は1lの水に対して5gの塩を入れると作ることができます。小さじ1杯の塩が6gですので、目安にするとよいでしょう。なぜこの程度の濃度が最適かというと、これは金魚の体内の塩分濃度とほぼ同じだからです。体内と周囲の塩分濃度が同じになると、金魚の中を行き来する水分量が少なくなり、体力の消耗が少なくなります。

使用する塩は普通の食塩水で問題ありませんが、濃度を誤ったり不用意にほかの薬と混ぜたりすると逆に金魚の体を傷め、死亡してしまうこともありますので注意しましょう。

・塩浴をさせる

塩浴は、普段使っている水槽とは別の場所で行いましょう。それほど大きな容器は必要としないので、ペットボトルを切り取ったものや洗面器でもOKです。塩浴の期間は金魚が元気になるまでで、期間中は体力の消耗を抑えるために絶食させましょう。よく食べる印象のある金魚ですが、2週間程度の絶食は何の問題もありません。食べ物がないと底のほうでじっとしていることが多くなりますが、少しつついてみて反応するようなら大丈夫です。

短期間ならなくてもよいですが、塩浴が長くなりそうな場合はエアレーションを入れてあげてください。

塩浴の効果には個体差があり、決してすべての金魚に対して有効な治療法であるということはできません。しかし塩浴は金魚の治療の第一歩ということができるので、体長が悪いと感じたら一度は試してみて損はないでしょう。

薬浴

ペットショップなどで、金魚の様々な病気に対応した薬剤が数多く市販されています。説明通りに使用することで一定の効果を見込むことができますが、適切に治療するためには症状をしっかりと見極める必要があります。また、薬浴と合わせて塩浴も別に行うことでより一層の効果を期待することができるでしょう。

病気を予防するには

人間と同様、金魚は急激に周囲の環境が変わることによって影響を受け、病気にも弱くなってしまいます。ですので、水質は常に一定に保ち、金魚にとってよりよい環境を整えてあげることが非常に重要です。「エサ」の項目でも説明したように、食べ残したエサはなるべくその日のうちにすくい取り、水替えは定期的に行ってあげてください。

8.金魚のあれこれ

金魚すくいの金魚を長生きさせるには?

夏の風物詩といえば金魚すくい。しかし、多くの方が経験のあることかと思いますが、金魚すくいで獲ってきた金魚は1週間もたたないうちに死んでしまうケースがしばしばあります。

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・なぜ短命なのか

金魚すくいの環境は、金魚にとっては悪いものといえます。同じ水槽で何匹も飼育することがストレスになることはすでに書きましたが、金魚すくいのプールでは100匹程度が一緒に泳いでいます。そうなると水の汚れが激しくなり、金魚にとっては大きなストレスになってしまうのです。加えて家に持ち帰った後も、適切な飼育の知識がないためにすぐに死んでしまうケースが多いのです。

しかし、金魚すくいの金魚がみんな短命なのかというと、そんなことは全くありません。夏祭りの金魚が20年以上長生きしたという例も多数あります。金魚すくいの金魚を長生きさせるためのコツとはどのようなものでしょうか。

・ストレスのない環境を整えよう

金魚すくいの金魚は様々なストレスに晒されているので、家にやってきたらまずそのようなストレスを軽減しましょう。まずは人の視線を遮ることのできるバケツに入れてあげるのが有効です。カルキを抜いた常温の水の中に、金魚を袋に入れたまま30分ほど浮かべます。そのあとバケツの中に放し、少なくとも3日ほどはそのままバケツの中で飼育しましょう。

これもまたすでに書きましたが、お子さんのいる家庭で起こりやすいのはエサのあげ過ぎです。家に持ち帰った際などの環境が変化した場合には、エサはむしろ与えないほうが金魚の健康にとってはよいのです。

その後は、簡単なものでもよいので水槽などを準備し、飼育環境を整えていきましょう。金魚すくいに多いのは和金で、成長すると非常に大きくなります。水槽選びはそのことも考えておくといいですね。

日本の金魚の2大生産地、郡山と弥冨

日本各地には、良質な金魚の生産地として名高い土地がいくつかあります。その中でも特に有名なのは、奈良県大和郡山市と愛知県弥冨市です。

・大和郡山(やまとこおりやま)

奈良県大和郡山市における金魚の生産は、享保9年(1724年)に大和郡山藩の初代藩主である柳沢吉里が甲斐甲府藩から移封されてきた際、多数の金魚職人を連れてきたことが始まりといわれています。その後は幕末になると、最後の藩主である柳澤保申の援助もあり、特権を失った武士や藩士たちの新しい事業として、あるいは農民の副業として金魚の養殖は発展しました。

昭和の高度経済成長期にはさらに生産量が増えますが、現在は水質の悪化や宅地化などに伴い生産量は減少しました。それでもなお年間生産は約6,000万匹以上を数えており、全国的にも金魚の町としてよく知られています。特定の品種を生産しているというよりは、金魚すくいのための金魚をよく生産する傾向が強くなっています。

・弥富(やとみ)

名古屋市の北西部、木曽川のほとりにあるのが弥富市です。弥冨における金魚の生産は、幕末ごろの文久年間(1861年 - 1864年)、この地が前ヶ須と呼ばれていたころにさかのぼります。大和郡山の金魚商人が東海道の宮宿(熱田宿)に向かう途中、ここで金魚を休ませたところ、金魚たちに魅了された権十郎という人物がそれを買い取って養殖をはじめたのが弥冨金魚の始まりといわれます。

その後の弥富は木曽川流域の豊富な水量を背景に、金魚の一大生産地となりました。2006年に弥富町が市政に移行したことを期に宅地化が始まり、養殖池の埋め立てが進んでいるものの、依然として日本で一番の金魚生産地となっています。生産のみならず流通地としても栄えており、日本にいる金魚の品種のほとんどが弥富で手に入れることができます。

一風変わったエピソードとしては、1994年に日本人初の女性宇宙飛行士である向井千秋氏が、弥冨産の金魚を用いて宇宙酔いの実験を行ったことが知られています。この金魚は宇宙金魚と呼ばれ、2005年に行われた「愛・地球博」ではその子孫が配布されました。また弥富は金魚のみならず、白文鳥(はくぶんちょう)の生産地としても知られています。

・その他の生産地

大和郡山と弥富以外の生産地としては、東京・江戸川や熊本・長洲などが知られているほか、すでに紹介した土佐錦や庄内金魚のほか、愛知県三河地方の地金、島根県出雲地方の出雲南京、青森県弘前市の津軽錦など、「ご当地金魚」は全国各地に点在しています。

江戸川は良質なリュウキンを生産することで知られており、江戸川リュウキンと呼ばれてブランド化しています。しかし最近では宅地化の影響を受けて水産試験場が埼玉県加須市に移転しており、生産はそちらがメインになっています。

熊本県玉名郡長洲町は、熊本県北西部にある有明海に面した人口16,000人ほどの小さな町です。江戸時代初期の寛永・正保・慶安年間(1624年~1652年)に地元を治めていた細川藩に金魚の記録が残っており、古くから生産が行われていました。とりわけジャンボ獅子頭とよばれる体長40cmほどになる巨大な品種が有名です。同町には日本唯一の金魚専門水族館である「金魚の館」などもあります。

・海外の金魚生産地

金魚の発祥地は、中国・長江の下流域である浙江省(せっこうしょう)であるといわれており、10世紀中ごろから13世紀にかけての宋の時代には盛んに生産・飼育されるようになりました。以来長く地元で愛好されてきたものの、60年代から70年代にかけての文化大革命で金魚の飼育は「旧文化」として徹底的な弾圧を受け、養魚場が破壊されるなどの大打撃を受けてしまいます。

1978年に日本と中華人民共和国との間で日中平和友好条約が締結された後は、金魚生産は復興し、現在は政府の欧米への輸出品として政府の支援も受けています。

その他、香港の通菜街(トンチョイストリート)は通称「金魚街」と呼ばれており、金魚以外にも数多くの観賞魚が販売されています。日本で「水族館」というと魚を展示する施設のことを指しますが、香港では水族館といえば熱帯魚屋さんのことをいいます。また、ベトナムでは自転車やバイクなどによる金魚の路上販売が盛んに行われています。

おわりに

いかがでしたか。どこにでもいる金魚たちですが、実はその歴史は非常に深く、多様な種類が存在しています。

この記事を読んで金魚の魅力に目覚めたという方は、ぜひとも今日から飼う準備を進めてみてはいかがでしょうか!

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