【獣医師監修】犬の血液型について。 特徴や種類から輸血時の注意まで

人間の血液型とは違う分類を持つ犬の血液型は、特徴や種類、性格にも違いがあるのでしょうか? 輸血時には注意が必要な犬の血液型を解説します。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

人間同士の会話では血液型の話が出る機会がありますが、飼っている犬の血液型のことが気になったことはありませんか? もしも愛犬が事故や病気になったら、手術時の大量出血などで輸血が必要のときにはどうしたらいいの? と思ったことがある飼い主も多いのではないでしょうか。

犬にも血液型があり、愛犬の血液型は知っておいた方がよいとされています。人間と同じような分類なのか、性格にも影響があるのかなど、考えると気になってくることがいろいろありますよね。

犬の血液型にはどんな種類があり、ポメラニアンやダックス、チワワなどの犬種は関係あるのでしょうか。特徴や種類をはじめ、血液型の調べ方、輸血時の注意なども含めてまとめてみました。

血液型の特徴

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人間の血液型は、1人に対して1種類となっていますよね。私はA型、あなたはB型というように、血液型は1つしかありません。しかし、犬の血液型は、そのような分類方法ではなく、赤血球についているいくつもの抗原がそれぞれ存在するかしないか、で分けています。

血液型の種類

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人間の血液型には、A、B、O、ABの4種類があるのに対し、犬の血液型は10種類以上あるといわれています。今も研究が続いており、種類がまだ増えつつあるとされています。国際的に認められている犬の血液型分類は、DEA(Dog Erythrocyte Antigen=イヌ赤血球抗原)型で分類されており、13種類あります。個体数が少ないものを除くと、おおむね下記の8種類の赤血球抗原に対して、それぞれ陽性か陰性かで分類します。

■DEA 1.1(+)or(−)
■DEA 1.2(+)or(−)
■DEA 3 (+)or(−)
■DEA 4 (+)or(−)
■DEA 5 (+)or(−)
■DEA 6 (+)or(−)
■DEA 7 (+)or(−)
■DEA 8 (+)or(−)

このように、犬の血液型は人のものと分類方法が全く異なり、種類も多く、複雑であることがわかりますね。

血液型と性格

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人間の場合は、何型はこんな性格で、こういう人が多いなどと血液型で性格の判断をすることがあります。しかし、犬の場合は、血液型で性格の判断はできないようです。赤血球についている抗原の有無で性格が変わるなんて考えにくいですよね。ちなみに、人で血液型と性格が関係していると考えるのはアジア特有のようです。また、チワワは●型、柴犬は■型という決め方ではないため、犬種による血液型分けはありません。犬の性格は、環境や犬種、しつけなどが影響するといえるでしょう。

血液型の調べ方

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愛犬の血液型を知りたい、と思う人も多いかもしれませんが、残念ながら現在の日本では、基本的に「DEA1.1 陽性なのか陰性なのか」ということしか検査できません。これは、安全な輸血を行うために必要な情報だからです。万が一に備えて、検査をしておきたいと考える人は、かかりつけの先生に相談されてみるといいでしょう。

輸血時の注意

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怪我や病気で愛犬に輸血をしなければならなくなったとき、DEA1.1という抗原を持っているかどうか、ということが一番重要になります。DEA1.1 陰性(=DEA1.1抗原を持っていない)の犬に、DEA1.1陽性(=DEA1.1抗原を持っている)の犬の血液を輸血することはできません。初回の輸血であれば問題が起こらないことも多いのですが、2回目以降の輸血時には重篤な反応が出て命に関わりますので、通常は避けます。逆の場合(DEA1.1陽性の犬にDEA1.1陰性の犬の血液を輸血)は問題ありません。
また、輸血前はDEA1.1が陽性か陰性かの確認で問題がなかったとしても、交差適合試験(クロスマッチ)を行い、さらに安全性を確認してから輸血を行います。

犬の血液型は人間とは異なり、数も多いですが、大切なのはDEA1.1 陽性か陰性か、です。ドナー犬(輸血が必要な犬がいた場合、血液を提供してくれる犬)を募集している動物病院では、このDEA1.1の検査を割引きで行ってくれることもあるようです(ドナー犬になるには年齢、体重、健康状態など条件があります)。血液型を検査することで、いざというときに愛犬の命を守り、場合によっては愛犬が他の犬の命を救うことになるかもしれませんね。

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