犬が飼い主の言うことを聞かない。権勢症候群(アルファシンドローム)の原因と対策

犬を飼う時に、犬と飼い主の両方が幸せになるためには、主従関係をしっかり構築しなければなりません。しかし、犬の服従本能よりも権勢本能が上回ってしまった時は、権勢症候群(アルファシンドローム)という現象が起こってしまいます。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

権勢症候群(アルファシンドローム)とは

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権勢症候群という言葉は、日本警察犬協会のホームページによると、「一歳前後から始まる犬の問題行動の一つであり、病名ではなく、症状のことを指す」と説明されています。簡単にいうと、犬が飼い主より自分の方が上の立場だと思い、好き勝手に振るまう状態になっているということです。

権勢症候群を起こした犬は、飼い主の言うことをまったく聞かない、散歩の時に自分の行きたい方向にしか行かない、飼い主を噛む、飼い主にマウンティングをするなど、問題行動ばかりとるようになります。

犬はもともと群れで生活する動物なので、リーダーを中心に上下関係を作って暮らしていました。そのため、犬は家族を一つの群れとみなし、犬の中で家族の序列を作っているといわれています。その序列において、犬が飼い主より自分の方が上の立場であると認識した時に、権勢症候群が起こります。

犬が以下のような行動をとる場合、権勢症候群が起こっている可能性があります。

●飼い主に飛びつく、のしかかる
●飼い主を噛む
●飼い主をにらむ、歯を剥く

犬の権勢症候群は、飼い主が以下のような行動をとることにより起こります。

●犬を最優先した行動をとる
●散歩の時に犬に前を歩かせる
●犬が悪いことをした時に叱らない

このような行動が、犬に「自分の方が飼い主より上」と思わせてしまうのです。

犬と適切な上下関係を作るには

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犬と適切な上下関係を確立するためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

まず、飼い主が犬のタイミングに合わせて行動しないことが大切です。たとえば、犬にエサを与える際は、犬が欲しがるタイミングではなく、飼い主の生活スタイルに合わせて与えます。散歩も、犬の歩きたい道ではなく、飼い主が歩きたい道を優先させましょう。

遊ぶ時間も、飼い主の予定を優先させて決めていきます。このように、犬からのアクションではなく、飼い主からのアクションによってすべての行動が決定されていくように、習慣づけましょう。

このアクションは、犬が成熟する前の仔犬の頃に徹底することが大切です。とくに、犬の権勢本能が芽生え始める生後3~4ヶ月頃に徹底して飼い主が上位に立つことで、権勢症候群になる可能性が低くなります。また、家族内でルールを決め、犬との接し方を統一しておくことも重要です。

もちろん、犬の体調が悪い時に無理やり飼い主に付き合わせるのはNGです。これは、犬との信頼関係を損なう可能性があるので、絶対にやめましょう。

リーダーウォークの方法

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この権勢症候群を抑えるために一番効果的だといわれている方法が、リーダーウォークです。リーダーウォークとは、犬と散歩をする時に、飼い主が犬を自分の後ろ、もしくは横に従えるようにして歩くことです。犬に進行方向を決めさせず、飼い主が犬の前に立って歩くことで、飼い主が主導権を握っていることを覚えさせるという方法です。

リーダーウォークのしつけをする時には、以下のことに気をつけましょう。

●犬がリードを引っ張った時には、犬について行かずに立ち止まる
●犬がリードを引っ張るのをやめて、飼い主の横や後ろに下がったタイミングで再び歩きだす

これを繰り返すことで、次第に犬が飼い主を自分より上位の存在として認めるようになります。この時、飼い主は犬が言うことを聞かなくても感情的にならないようにしましょう。リーダーウォークの際に、飼い主が怒ったり無理やり引っ張ったりすると、犬は飼い主のことを嫌いになってしまいます。

犬のしつけには、あくまで毅然とした態度で臨むことが重要です。そうすれば、犬は飼い主を信頼できるリーダーとして認めてくれるでしょう。

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