犬の脳腫瘍 考えられる原因や症状、治療法と予防法

脳腫瘍は、人間と同様に犬もかかる病気です。症状が多岐にわたるため、愛犬に異常がみられた際、脳腫瘍であると判断するのは難しいのですが、できるだけ早期に発見するために、その原因や症状について知っておきましょう。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬の脳腫瘍とは

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出典 Kristyna Loris Antosova/Shutterstock.com

私たち人間と同じように、犬も脳に腫瘍ができることがあります。脳腫瘍には、脳が原発となる「脳原発性腫瘍」と、カラダのほかの部分にできた腫瘍が脳に転移する「続発性脳腫瘍」の2種類があります。脳のどの部分に腫瘍ができるかによって、以下のような様々な症状があらわれます。

●一般的な症状
●精神的な変化
●目の変化
●首の傾きの変化
●顔の筋肉の変化
●姿勢や歩き方の変化

一般的な症状

一般的な症状としては、痙攣を起こす、食欲の減少、極端な過食、気力がなくなる、トイレを失敗する、無駄鳴きが増える、などの症状がみられます。もっとも多い症状は痙攣といわれています。

精神的な変化

脳の中の心を司る部分に腫瘍ができると、精神的(=性格)な変化がみられます。急に臆病になった、怒りっぽくなったなど、いきなり犬の性格が変わってしまった時は、脳腫瘍を患っている可能性があります。

目の変化

目は、たくさんの脳神経によってコントロールされているので、症状があらわれやすい部分です。じっとしていても目が揺れている(=眼振)、視力が落ちる、もしくは視力がなくなる、斜視になるなど、飼い主の目から見て明らかな異変が生じることがあります。

首の傾きの変化

脳はカラダの平衡感覚も司っています。その部分に腫瘍ができると、捻転斜頸(首が一定の向きに曲がったままになっている状態)の症状がみられることがあります。

顔の筋肉の変化

顔の筋肉を司っている部分に腫瘍ができると、筋肉に異常がみられるようになります。顔面の筋肉が緩んだり、薄くなったりして表情が変化します。

姿勢や歩き方の変化

脳の運動を司る部分に腫瘍ができると、ふらついたり、一定方向に傾いて歩いたりすることがあります。

犬の脳腫瘍の原因

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犬が発症する脳腫瘍の多くが原発性脳腫瘍であり、脳と脊髄を囲む髄膜と呼ばれる部分に腫瘍ができる髄膜腫(ずいまくしゅ)や、脳に浸み込むように広がっていくグリオーマなどがあります。続発性脳腫瘍には、血管肉腫やリンパ腫などが原因となる場合があります。

原発性の場合、発症する犬の95%が7歳以上のシニア犬といわれています。また、犬種によって発症率に差があり、ゴールデン・レトリーバーで発症率が高いというデータがあるほか、ブルドッグやボストン・テリアなどの短頭種も脳腫瘍にかかりやすいといわれています。

犬の脳腫瘍の治療と予防法

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脳腫瘍の治療法としては、以下のようなものがあります。

●外科療法
●放射線療法
●化学療法
●緩和療法

犬の年齢がまだ若く体力がある場合は、外科手術に踏み切ることもできますが、腫瘍の場所によっては手術が難しいケースがあり、手術によってすべての脳腫瘍が取り除けるとも限りません。その他、腫瘍に直接放射線を当てる放射線療法がありますが、高度医療となるため、費用が高額になりがちです。そのほか、抗ガン剤を用いる化学療法と、ステロイドなどを用いる緩和療法が併用されることが多いようです。

脳腫瘍の診察には、全身麻酔を用いてMRI検査や脳脊髄液検査を行うため、高齢の犬の場合は、カラダに大きな負担がかかります。検査、治療方法ともに、獣医師と相談して決めていきましょう。

脳腫瘍を防ぐための有効な予防法というのは、とくにないのが現状です。つまり、普段から愛犬の状態を確認し、早期発見に努めるほかありません。犬の脳腫瘍は、症状が多岐にわたり、脳腫瘍かどうかの判断が難しいので、発見が遅れる場合が多いようです。ほかの病気も同様ですが、早期に発見することができれば生存率も高まるので、脳腫瘍の症状をしっかりと理解して、犬にあらわれるサインを見逃さないようにしてください。異変を感じたら、早めに動物病院へ連れていきましょう。

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