犬の尿崩症 考えられる原因や症状、治療法と予防法

愛犬が普段よりたくさんの水を飲み、いつもより多い量の尿を排泄している…。そんな時は、尿崩症(にょうほうしょう)という病気にかかっているかもしれません。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:あだち動物病院 足立直隆院長

尿崩症の原因

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尿崩症は、排尿の回数、量ともに異常に多くなり、それに伴って水を飲む量もこれまでとは比べ物にならないくらいに増加する病気です。まずは、尿崩症になる原因についてみていきましょう。

脳のトラブルによる尿崩症

まず一つに、脳のトラブルが原因で尿崩症になってしまうことがあります。中枢性尿崩症と呼ばれており、視床下部や脳下垂体の腫瘍や外傷、炎症などが原因となり、抗利尿ホルモン(ADH:尿の量を調節するホルモン)の分泌が低下してしまうために起こります。

腎臓のトラブルによる尿崩症

もう一つの原因として、腎臓のトラブルが挙げられます。これは、腎性尿崩症と呼ばれ、抗利尿ホルモンの分泌自体は正常でも、排尿を司る腎臓の反応が先天的、もしくは後天的な疾患等で悪くなってしまうことで発症します。腎性尿崩症の原因となる後天的疾患としては、腎盂腎炎、慢性腎不全、クッシング症候群、子宮蓄膿症などが挙げられます。また、ステロイドや抗痙攣剤などの副作用によって、尿量が増えてしまうこともあるようです。

なお、まれに、脳に腫瘍や外傷などの異常、腎臓のトラブルが見つからないにもかかわらず尿崩症になってしまう、突発性と呼ばれるケースもあるようです。

尿崩症の症状

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尿崩症のおもな症状は、先述した通り尿の量や回数が激増すること、水分を大量に摂取することが挙げられます。大きめの洗面器などに用意してあげた水がすぐになくなってしまうほど、際限なく水を飲み続けてしまうのです。飲んだ水はほとんど排尿してしまうので、飲み水が少ないと脱水症状を起こすこともあるので注意しましょう。その他にも、嘔吐を繰り返す、体重の減少、元気がなくなるなどの症状がみられます。

一般的に、健康な犬の飲水量は、体重1kgあたり60ml以下、尿量の目安は体重1kgあたり20~45mlが目安とされています。また、体重1kgあたり100ml以上の水を飲む、もしくは体重1kgあたり50ml以上の排尿をする場合は、尿崩症にかかっていると診断されます。

尿崩症の治療方法

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尿崩症の治療には、抗利尿ホルモン(腎臓の吸水機能を促進し、利尿を妨げる薬)を与えるほか、原因となっている基礎疾患がある場合は、その治療を行います。脳、または腎臓の疾患等が認められる場合には、そちらの治療を優先します。ステロイドや抗痙攣剤などの薬の副作用が原因の場合は、それらの投与を中止します。

しかし、脳腫瘍など外科的な手術が難しい場合や突発性の尿崩症の場合は、継続的に抗利尿ホルモンを投与しながら生活していくことになります。抗利尿ホルモンを使用しない場合は、犬の水分補給量を常に確認し、脱水症状にならないように、とくに注意しなければなりません。

尿崩症の予防方法

尿崩症の確実な予防方法は、ないというのが現状です。予防ができないからこそ、普段から愛犬の様子をよくチェックすることが大切です。尿崩症には、重大な疾患が隠れている場合もあります。犬の様子に異常がみられたり、尿量、飲水量が多くなったと感じたら、早急に動物病院へ連れていきましょう。何事も早期発見・早期治療が大切です。

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