【獣医師監修】ペットフードの基礎知識① 進化し続けてきた「ドッグフード」の歴史
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【獣医師監修】ペットフードの基礎知識① 進化し続けてきた「ドッグフード」の歴史

犬のカラダに必要な栄養素やカロリーを考えて考えられている「ドッグフード」。今では選ぶのに迷うくらい、じつにさまざまな種類が市販されていますね。でも、今の品質に至るまでにはいろいろな試行錯誤があったようです。その歴史を紐解いてみましょう。

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監修:徳本 一義 先生(獣医師)

「ドッグフード」の誕生

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人間との生活で雑食動物に

野生のオオカミやコヨーテが先祖だと考えられている現代の犬。

従来の学説では、犬が家畜化して人間と共に暮らすようになったのは、1万5000年くらい前だと考えられていましたが、最新の学説ではそれよりもっと時代を遡り、約3万2000年も前だという説も提唱されています。

狩りによって自分の食料を確保していた野生の動物から、共に暮らす人間から食べ物を与えられる存在になるにつれ、人間と同じ雑食動物へと変化を遂げてきました。

それほどまでに長い年月、人間と共に共生してきた犬ですが、犬用の食べ物として「ドッグフード」が開発されてからは、まだ160年ほどしかたっていません。

「ドッグフード」が世界で初めて登場したのは、19世紀後半。
日本は江戸時代末期、幕末の動乱の時代を迎えていた頃でした。

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史上初の「ドッグフード」はロンドン生まれのビスケット

1856年、ロンドン在住のアメリカ人、ジェームス・スプラッツ氏が、愛犬が「シップビスケット」を美味しそうに食べているのを見て、犬用のビスケットを作って売り出すことを思いつきます。

「シップビスケット」とは、人間が航海する際の保存食だったものです。

さっそく、商品化に乗り出したスプラッツ氏は、1860年、ロンドンで犬用のビスケットを発売。それが、史上初の「ドッグフード」でした。

その犬用ビスケットは大人気となり、1885年には製造会社を設立し、1894年にはアメリカ・ニューヨークに拠点を移転。

ドッグフードメーカー「スプラッツ・オブ・アメリカ」が誕生したのです。

「ドッグフード」の進化

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ジェームス・スプラッツ氏が「ドッグフード」という考え方の食べ物を発売してから、現代のような多種多彩なフードが生まれるまでには、さまざまな人や企業の発想や努力がありました。

馬肉を原料にした缶詰の誕生

ドッグ・ビスケットの次に生まれた「ドッグフード」は、1922年にチャペル社が発売した缶詰でした。

アメリカでは、第一次世界大戦中にフランスへ食糧援助をする目的で、馬肉の缶詰を製造していたのですが、終戦に伴い馬肉が余ることに。

そもそも、アメリカ人には馬肉を食べる習慣がなかったからです。

そこに目をつけたのが、チャペル社。余剰馬肉を犬用のペットフードとして缶詰で売り出したわけです。

アメリカでは人間に馴染みのない馬の肉を犬に食べさせることについて反対意見も沸き起こったそうですが、イギリスではたいへんよく売れ、大ヒットに。

その後、会社は大恐慌の影響を受けて倒産に至ってしまいましたが、馬肉の缶詰はアメリカでも一般の人に広く「ドッグフード」として知られるようになりました。

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粉末タイプのフードが誕生

次に登場したのが、1927年にゲインズ社から発売された粉末タイプのフードです。

粉末は製造しやすいという利点はあったものの、食べにくいことと、嗜好性もよくなかったことから、一般に普及することはあまりなかったようです。

1941年時点では、市販されているフードの9割を缶詰が占め、残り1割程度がビスケットと粉末だったと記録されています。

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缶詰からドライフードへ

「ドッグフード」として一般に普及していた缶詰ですが、第二次世界大戦が勃発すると、缶を作る原料となる鉄板が不足し、缶詰を作ることが難しい状況に陥ってしまいます。

そこで、ピュリナ社は発泡タイプのドライフードを、ゼネラルフーズ社はセミモイストタイプのフードを開発。

セミモイストフードは価格が高かったので、一般的にはドライタイプが主流となっていきました。

現代のフードの原型と言えるドライタイプ。その開発を成功させたのが、ピュリナ社にいたジェームズEコービン博士です。

博士は1957年、プラスチック用の射出成型機をヒントに、現在のようなドライタイプのフードを作る方法を開発しました。

そうしたことから、博士は「ペットフードの父」と言われています。

ちなみに、猫用のフード「キャットフード」は、「ドッグフード」より遅れて開発され、1950年代に缶詰タイプが、1970年代にドライタイプが発売されています。

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日本で「ドッグフード」登場

日本にアメリカ製の「ドッグフード」がやってきたのは、第二次世界大戦後に進駐軍が持ち込んだものが最初と言われています。

ただ、当時は人間の食べ物すら満足にない時代だったので、犬用の食事を考える余裕がある人はほとんどいなかったはずです。

おもにそれらは、軍用犬や警察犬に与えられていたようです。

国産初のドライドッグフード「ビタワン」

1950年代になると、日本にもアメリカ製の「ドッグフード」が輸入されるようになりましたが、日本で初めて国産のフードが登場したのは、1960年のこと。

協同飼料株式会社(のちに同社のペットフード販売部門が独立して「日本ペットフード株式会社」に)が作った粉状のフード「愛犬の栄養食VITA-ONE」が、国産初の「ドッグフード」でした。

翌年には、ビスケットタイプが、1962年には、ごはんに混ぜるペレットタイプの販売が開始します。

続いて、1966年には「日本農産工業」から、自社開発した成型機械によって作った国産2号となるドライフード「ドッグビット」を発売。

以来、国産メーカーから続々とドライフードが発売されるようになったのです。

犬を守るための品質基準づくりへ

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曖昧な「ペットフード」の位置づけ

飼われている犬は、飼い主から与えられる食事を食べて生きています。

人間にとって「食の安全」が大事なテーマであるように、犬の食事においても安全性は何より優先されなければならないでしょう。

「ドッグフード」をはじめとしたペットフードの製造・販売にかかわる日本の企業や協会では、今日まで、自主的に安全性を確保する取り組みを行ってきました。

その先駆けが、1974年にペットフード公正取引協議会が定めた「ドッグフードの表示に関する公正競争規約」です。その後1991年にキャットフードも含む「ペットフードの表示に関する公正競争規約」として改正。

さらに、2006年には自主基準として「安全なペットフードの製造に関する実施基準」が制定されています。

しかし、それらはあくまで業界団体内の自主的な規約や基準であって、法律で規制する対象ではない状態が続いていました。

なぜなら、ペットフードには人間の「食品」でもなく、家畜の「飼料」でもなく、明確な位置付けがなされていなかったからです。

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アメリカでペットの健康被害が発生

アメリカでは、家畜の飼料の安全性を守るように、早くからペットフードにも安全性や品質を保証するシステムが適用されていました。

そんなペットフード先進国のアメリカでも、2007年にある事件が発覚します。

それは、中国産原料を用いた犬や猫のフードに有害な物質「メラミン」が混入し、これらを食べたアメリカの犬約2000匹、猫も約2000匹が死亡するという悲惨なものでした。

「メラミン」とは、それ単体ではあまり毒性が強くないものの、「シアヌル酸」という物質と結合することによって、腎不全などの深刻な健康被害をもたらすと言われています。

事態の発覚と同時に、販売業社による大規模な製品の自主回収などが行われたため、幸い被害が日本に及ぶことはありませんでしたが、メラミンが混入したドッグフードは日本に輸入されていました。

そのため、この事例がきっかけとなって、日本国内でもペットフードの安全性を守る取り組みが大きく前進したのです。

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画期的な「ペットフードのみを対象とした法律」の制定へ

日本でペットフードの安全性を守るために2008年6月に公布、2009年6月に施行されたのが、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」です(所轄省庁/環境省・農林水産省共管)。

これは、通称「ペットフード安全法」と呼ばれるもので、安全な犬用・猫用のペットフードの成分規格、製造方法基準を定めています。

フードを製造・輸入する日本の事業者は、それを守って製造、輸入、販売することはもちろん、帳簿に記録して残すことを義務付けられています。

なお、ペットフードのみを対象にした法律というのは世界を見渡しても例がなく、とても画期的な法律です。

19世紀の終わりから現代まで、急速に進化を遂げてきた「ドッグフード」。
その安全性を守り、さらによりよい品質へと高めていく取り組みは今も続いています。

コンテンツ提供元:愛犬(ペット)の一生涯に寄り添い、飼い主を支えるメディア - hotto(ホット)

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