この記事では獣医師監修の元、犬の外耳炎の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

外耳炎とは?
外耳(耳介〜鼓膜まで)に起こった炎症のことです。

外耳炎の原因は?
外耳炎は様々な要因によって引き起こされます。
これらの要因の一部は炎症を直接引き起こしたり、他の要因はその状態を長引かせたりします。さらに複雑なことに、耳介や外耳道の形状によって、犬が外耳炎を発症しやすくなる可能性があります。
外耳炎に関与する因子は大きく4つ(以下参照)に分類され、これらの因子をそれぞれ分析し、治療プランを立てることが重要です。このうち一部を抜粋して以下に表を作成しました。
①素因
これだけでは外耳炎は発症しないものの、外耳炎を発症しやすくする因子のことです。
構造的要因 | 耳道内の過剰な被毛、垂れ耳、耳道が狭い |
多湿 | 高温多湿、水泳、グルーミング |
全身性疾患 | 抵抗力の低下、衰弱 |
ケア | 不適切な耳掃除による外傷 |
②主因
これだけで外耳炎を発症させることができる因子のことです。
皮膚炎 | アトピー性皮膚炎、食物有害反応、接触皮膚炎 |
異物 | 植物、被毛、ゴミ |
寄生虫 | 耳疥癬、疥癬、毛包虫 |
内分泌疾患 | 甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症 |
自己免疫性疾患 | 落葉状天疱瘡、皮膚エリテマトーデス |
免疫介在性疾患 | 多形紅斑、血管炎、薬疹 |
角化異常 | 本態性脂漏症、脂腺炎 |
③副因
副因は、異常な外耳道環境下もしくは①の素因があると外耳炎を発症・悪化させる因子のことです。
細菌 | 桿(かん)菌(Pseudomonas属) 球菌(Staphylococcus属) |
酵母菌 | マラセチア(Malassezia) |
④持続因子
持続因子は、素因・主因・副因のもとで発症した外耳炎を治りにくくしている因子のことです。耳のどの部位に持続因子があるのかを評価します。
外耳道 | 赤み、腫れ、狭窄(細く狭くなる)、石灰化 |
鼓膜 | 肥厚、伸展、憩室(膨らむ)、穿孔(穴があく) |
腺組織 | アポクリン腺の閉塞と拡張、皮脂腺の過形成 |
中耳 | 中耳炎 |
外耳炎の症状は?
頭を振るなどして耳を痒がったり、時には痛みを生じます。
過剰な耳垢の付着、耳の腫れや赤みを伴うこともあります。そのほか、耳が臭ったりします。
また、外耳炎が慢性経過を辿ると皮膚が分厚くなります。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
外耳炎の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
・耳鏡検査
まずは耳道の状態を耳鏡で確認します。
・耳垢検査/細胞診検査
耳垢を採取して顕微鏡で寄生虫の有無や菌が異常に増えていないかどうかを確認します。
治りにくい状況では細菌培養検査や薬剤感受性検査も実施します。
外耳炎の治療方法
・耳洗浄
耳道の状態に応じて最適な洗浄液を用いて耳道内を洗浄します。ご自宅での耳掃除については獣医師のアドバイスに従ってください。
・点耳薬の投与
ほとんどの点耳薬には抗生物質、抗真菌薬およびステロイドの組み合わせが含まれています。原因によって使用する点耳薬を選択します。
・全身性抗炎症薬の投与
痛みや不快感が強い場合には局所療法(ご自宅での点耳薬の使用)で動物が嫌な思いをすることがあるので、これらを緩和させるために点耳薬の使用前もしくは同時に全身性抗炎症薬で治療します。
・駆虫薬の投与
耳道内に寄生虫の寄生を認めた場合には駆虫を行います。
外耳炎治療は痒みなどの症状を軽減するだけでなく、外耳本来の機能や構造を回復させ、自然治癒力を高めるために実施されます。それに加えて4つの基礎因子に対する原因治療も必要となります。
痛みや不快感が強い状態で検査や耳洗浄などを行うと、今後ご自宅でも耳を触られることを嫌がってしまうことがあるため、動物に負担の無い範囲での検査や治療法をご提案させて頂いております。
また当院ではおやつなどを与えながら検査を実施致しますので、とっておきのご褒美をご持参頂けますと幸いです。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な外耳炎の検査料金をご紹介します。
項目 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
耳鏡検査 | 2,970円〜 |
耳垢検査 | 1,650円〜 |