犬の混合ワクチンについて解説 | 動物医療センターPeco

この記事では獣医師監修の下、犬の混合ワクチンについて解説しています。費用や注意点について紹介していますので、動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

記事の監修者
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長濱麻子
動物医療センターPeco 獣医師

犬の混合ワクチン、なぜ必要?

犬や猫にとって危険なウイルスや細菌などの病原体は身近に存在しています。
ワクチン接種により病気の発症や重症化を防ぐことができます。

犬の混合ワクチンの種類

犬の混合ワクチンは、接種の重要性の観点から大きく2つに分けられます。

1.コアワクチン:必ず接種することが薦められる

  • 犬パルボウイルス感染症
  • 犬ジステンパーウイルス感染症
  • 犬アデノウイルス感染症

2.ノンコアワクチン:感染のリスクに応じて接種することが薦められる

  • レプトスピラ症
  • 犬パラインフルエンザウイルス感染症 など

当院では以下のワクチンの接種を推奨しています。

「5種混合ワクチン」または「7種混合ワクチン」

5種混合ワクチン

犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス2型(1型にも効果があります)、犬パラインフルエンザウイルスに対するワクチンです。

7種混合ワクチン

上記に加え、レプトスピラ症の原因菌2種(カニコーラ型、イクテロへモラジー型)が含まれます。

レプトスピラ症(カニコーラ型、イクテロへモラジー型)単体のワクチン

ウイルス疾患と比べて抗体消失速度が早いと言われているためとくに流行シーズン前(春〜夏)の接種が薦められます。

ワクチンで予防できる主な病気について

病気の名称病気の詳細
犬パルボウイルス感染症激しい腸炎や突然死などを起こします。特に免疫力の低い子犬では発症すると特定の治療薬が無く命を落とすことがあります。
犬ジステンパーウイルス感染症呼吸器症状や消化器症状、神経症状を起こします。犬パルボウイルス感染症と並んでとても危険な感染症です。
犬アデノウイルス感染症(犬伝染性肝炎・犬伝染性喉頭気管炎)犬伝染性肝炎は犬アデノウイルス1型によって引き起こされ、高熱、消化器症状、神経症状を起こします。犬伝染性喉頭気管炎は犬アデノウイルス2型によって引き起こされ、いわゆる「ケンネルコフ」の原因の一つです。
犬パラインフルエンザ感染症「ケンネルコフ」の原因の一つで咳や鼻水などの呼吸器症状を引き起こします。
レプトスピラ症
おもにネズミが媒介するとされる人獣共通(人も感染する)の細菌感染症です。4種類の菌型がありますが、日本では特に腎炎などを起こすカニコーラ型と黄疸などを起こすイクテロへモラジー型が問題になります。とくに初夏〜秋に流行するとされています。

混合ワクチンはいつ接種すべき?毎年必要?

初めての接種は生後2ヶ月齢(8〜9週齢)ごろを推奨

1回のワクチン接種では確実な免疫が獲得できない場合があるため、生後16週齢(4ヶ月齢)を迎えるまで、3〜4週間の間隔で複数回のワクチン接種を受けることが勧められています。

接種後に免疫が獲得されるまでには約2〜3週間かかるとされているため、その間はなるべく他の犬との接触は避けることが望まれます。

初年度のワクチン接種スケジュールの目安

 1回目:4〜8週齢(1〜2ヶ月齢)
 2回目:8〜12週齢(2〜3ヶ月齢)
 3回目:12〜16週齢(3〜4ヶ月齢)

初年度以降のワクチン接種は?

当院では初年度の最終ワクチン接種から1年後に追加接種を行うことを推奨しています。
この時期に追加接種を行うことで免疫がさらに強力なものになるとされています。
2歳齢以降は定期的な混合ワクチン接種、または抗体価検査の実施をお勧めします。

近年、世界的に提唱されている犬猫のワクチン接種プログラムである「世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチンガイドライン」においても、コアワクチンに関しては3年に1度程度の接種でも予防が可能であり、初年度を除いて、毎年必ず追加接種する必要はないとされています。(ノンコアワクチンに関してはリスクに応じた接種が薦められています。)

ワクチンの保証期間は基本的に1年間のため、トリミングやドッグランなどで混合ワクチン接種証明書の提出が必要な場合には、1年ごとに追加接種する必要があります。しかし、最近では下記の「抗体価検査」の結果を証明書として使用できる場合が増えています。

抗体価検査とは

ウイルスに対する抗体(ワクチンによる防御効果)が身体にどの程度残っているかを確認できる検査(血液検査)です。

確認ができるウイルス

  • 犬ジステンパーウイルス
  • 犬パルボウイルス
  • 犬アデノウイルス

抗体価検査を上手に活用することで、一生涯における接種の回数を減らすことができ、身体への負担の他、ワクチンによる有害事象(副反応)のリスクも最小限にすることができます。

*ただし体質によって数回のワクチン接種を受けても抗体価が上がらないケースがあります。

ワクチン接種前の注意点

・接種後に体調が変化する可能性があるため、できるだけ午前中に接種しましょう。

・元気・食欲の低下、嘔吐、下痢などの症状がある場合は接種を延期しましょう。

・過去に混合ワクチンの接種後に異常があった場合や、治療中の病気や飲んでいるお薬の種類によっては、ワクチン接種を見合わせる必要がある場合があります。必ず事前に獣医師にご相談ください。

ワクチン接種後の注意点

・接種後は安静を心がけましょう。

・ワクチン接種後、元気・食欲の低下、注射部位の痛みなどの症状が見られることがありますが、数日以内に良化する場合がほとんどです。

・まれに副反応が起きることがあります。次のような症状が見られたら、すぐに病院にご連絡ください。

けいれん
ぐったりする
顔の腫れ
全身の痒み
嘔吐・下痢

ごくまれに、もっとも重篤な副反応であるアナフィラキシーが起きることがあります。接種直後に起きることがほとんどであることから、当院では接種後20〜30分間は院内で待機していただき、体調に変化がないかを獣医師が確認する体制をとっています。

当院における混合ワクチンの費用

実施項目料金の目安
診察・問診・身体検査料5,170円
犬の5種ワクチン8,000円
犬の7種ワクチン9,000円
ワクチン抗体価検査6,600円
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診療経験を積んだ獣医療チームが、健康診断〜病気の診療を担当する「犬と猫のための動物病院」です。

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