この記事では獣医師監修のもと、犬の副腎皮質(ふくじんひしつ)機能低下症の原因や症状、検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

犬の副腎皮質機能低下症とは?
左右の腎臓のすぐそばに副腎(ふくじん)という小さな臓器があります。副腎の中の皮質という部分が炎症で破壊されるなどして、副腎皮質ホルモンの分泌が悪くなり、さまざまな症状が生じる病気です。アジソン病とも呼ばれます。
副腎皮質機能低下症の原因は?
原因ははっきりとはわかっていませんが、副腎の皮質が炎症(免疫)で破壊されたりして、小さく萎縮してホルモンの分泌が悪くなることが考えられています。
このほかにも、治療のために長期間副腎皮質ホルモンを大量に使用している動物が、急に休薬されたことで、同様の病態になることがあります。
発症しやすい品種や年齢
若齢から中年齢の雌犬での発生が多いと言われています。猫での発生は極めて稀です。
犬の副腎皮質機能低下症の症状は?
症状は特徴的なものが少なく、元気・食欲の低下、体重減少、嘔吐、下痢、震えなど、他の病気でもよく見られる症状が多いです。
これらの症状は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールやアルドステロンというホルモンが減少することで起きると考えられています。ストレスが加わると症状が出やすいのも特徴です。
犬の副腎機能低下症で多く診られる症状
活動性の低下 | 体重減少 | 食欲低下 |
嘔吐 | 下痢 | 震え |
皮膚の色素沈着(黒ずみ) | 低血圧 | 徐脈 |
腹痛 | 虚弱・筋力の低下 | ストレスによる症状の悪化 |
気になる症状がある場合はご相談ください
症状が曖昧でわかりづらいので、当てはまる症状が複数ある場合には動物病院に行くことが薦められます。
副腎皮質ホルモンが重度に低下して、血圧や血液量が重度に低下したりすると入院が必要になることもあるので、早めにご相談ください。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
副腎皮質機能低下症の検査・診断方法は?

※副腎皮質機能低下症では、ホルモン測定も行うので、診断のための検査としては2時間程度はかかることが予想されます。原因や病状によってさらに時間がかかることや、診断のために何度か通院してもらう必要がある場合もあります。時間に余裕をもってご来院ください。
問診・身体検査
すべての動物に対して行われます。副腎皮質機能低下症の症状は曖昧なことが多いので、飼い主様が気付いていないことも多く、問診で疑いがあるかどうかを掴めるかどうかが重要です。身体検査では、体重の変化、脱水や皮膚の状態、徐脈の有無、があるかどうかを確かめます。
超音波検査
副腎皮質機能低下症が疑われる多くの犬に対して行われます。多くの犬では副腎のサイズ(厚み)が小さくなるので、疑わしい場合には、血液でホルモンの測定を実施します。副腎以外の病気の除外も行います。
血液検査
多くの犬では電解質(ナトリウムやカリウムなどのバランス)で低ナトリウム、高カリウム血症がみられます。このほか高カルシウム血症、低血糖などの異常がみられることもあります。
診断のためには副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの濃度を測定します。この際、副腎を刺激するホルモン(ACTHといいます)を注射して副腎の反応がないことを確かめるのが一般的です。
副腎皮質機能低下症の治療法

治療は不足している副腎皮質ホルモンを投薬で補ってあげることです。初期には注射を用いることもありますが、基本的には毎日、朝晩とお薬を飲んでもらいます。
ホルモン剤と聞いて不安を感じる飼い主様もいますが、決して怖い薬ではありませんし、投与量も調節します。治療によって、元気食欲など症状は比較的速やかに良くなりますが、一生お薬を飲み続ける必要があります。
当院が副腎皮質機能低下症の診療で心がけていること
副腎皮質機能低下症の症状はわかりづらいので、問診で病気があるか可能性を見極めるようにします。
減少するホルモンの種類によっては症状が乏しく、ただの嘔吐、下痢と判断されることもあるので、超音波検査などを駆使して疑わしいか判断します。
正しく診断されれば怖い病気ではありませんが、定期的な診察で投薬量などを調整します。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な副腎皮質機能低下症の検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
血液検査 | 7,660円〜 |
超音波検査 | 4,500円〜 |
※治療費は別になります。