この記事では獣医師監修の元、犬と猫の椎間板ヘルニアの原因や症状、そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

犬猫の椎間板ヘルニアとは
ヘルニアは数種類ある
本来あるべき場所から、臓器などが逸脱することを専門的に「ヘルニア」と呼びます。
臍や内股(鼠径部)から腹腔内の脂肪や腸などの臓器が逸脱する「臍ヘルニア」や「鼠径ヘルニア」、肛門周囲(会陰部)から骨盤内の脂肪や膀胱などが逸脱する「会陰ヘルニア」、肝臓などの腹腔内臓器が横隔膜を超えて胸腔内に逸脱する「横隔膜ヘルニア」など様々な疾患があります。
この記事では椎間板(ついかんばん)ヘルニアについて解説します。
椎間板ヘルニアとは
椎間板とは、脊椎(脊骨)を構成する椎骨と椎骨の間にあり、クッションの役割をしています。この椎間板が逸脱して脊髄を圧迫することで、痛みを引き起こしたり、頭から出た信号が足先に伝わらなくなり麻痺を引き起こします。
犬猫の椎間板ヘルニアの原因は?
激しい運動や外傷により、首や腰で発症しやすいです。一部では軟骨異栄養性犬種と呼ばれる椎間板が変性しやすい犬種もいます。
発症しやすい犬種・猫種
ダックスフンドやコーギー、ビーグルで好発します。猫では稀です。
椎間板ヘルニアの症状は?
軽度の場合は痛みを伴うことが多いです。重症化するにつれて痛みを感じなくなり、足が動かなくなる麻痺を伴うようになります。
ヘルニア発症時、特に見られる症状は以下の2つです。
疼痛
触ると嫌がったり怒ったり、震えることがあります。
麻痺
前足のみで歩行したり、立てなくなることがあります。
気になる症状がある場合はご相談ください
症状が重症化すると、治療への反応が乏しくなってしまうので、できるだけ早く動物病院に行くことが薦められます。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
椎間板ヘルニアの検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
問診・身体検査
全ての動物に対して行います。発症時の状況や発症からの経過時間、歩行が可能か、痛みがあるか、排泄ができているかなど、椎間板ヘルニアを評価する上で重要な情報について詳しくお聞きします。
神経学的検査
痛みや麻痺の有無、歩き方を評価します。椎間板ヘルニアはグレードが1〜5に分類され、そのグレードによって緊急性や必要な治療が異なります。
X線検査
脊椎に異常がないか評価します。椎間板ヘルニアだけでなく、脊椎の奇形や外傷、腫瘍による脊椎の変形によっても痛みや麻痺を生じます。
画像検査
CTやMRIのような大型の画像診断装置で脊椎や脊髄を細かく評価し、病変部位を特定します。検査には全身麻酔が必要になります。
※当院ではCTやMRIの設備がないため、設備を備えた病院をご紹介致します。
椎間板ヘルニアの治療方法

内科治療
安静
運動することで痛みが誘発されるので、安静にした方が早く治ります。コルセットなどで患部を保護をすることもあります。
薬剤
消炎鎮痛剤や神経保護を目的としてビタミン剤を使用することで、疼痛や麻痺の改善を図ります。
外科治療
薬剤での改善が期待できない場合、逸脱した椎間板を摘出する手術を行います。
当院が椎間板ヘルニアの診療で心がけていること
触診だけでは椎間板ヘルニアは診断できません。
症状や体調に合わせて必要な検査を選択します。
内科治療や外科治療など、症状に合わせた適切な治療を選択します。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な椎間板ヘルニアの検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
神経学的検査 | 4,130円〜 |
X線検査 | 6,000円〜 |