この記事では獣医師監修の元、猫の甲状腺機能亢進症の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

猫の甲状腺機能亢進症とは?
のどにある甲状腺という小さな臓器で、甲状腺ホルモンの合成と分泌が過剰になってしまうことで起こる病気です。高齢の猫での発生が多く、犬ではほとんどみられません。
甲状腺ホルモンは代謝にかかわる大事なホルモンですが、その作用が過剰になると様々な臓器に負担がかかってしまいます。
猫の甲状腺機能亢進症の原因は?
発生する原因ははっきりとはわかっていませんが、甲状腺に以下のような病態が生じることで起こると言われています。
・甲状腺腫(良性の腫瘍):甲状腺機能亢進症の原因として多い
・甲状腺癌(悪性の腫瘍):原因としてはまれ
・甲状腺の過形成:原因としてはまれ
※鑑別するためには甲状腺を摘出して病理検査を行う必要があります。
猫の甲状腺機能亢進症の症状は?
体重減少
食欲はすごくあるのに体重が減ることが多いです。
嘔吐や下痢をして、食欲がなくなる場合もあります。
興奮症状
活発になったり落ち着かない様子になったり、大きい声で鳴くようになったりします。
被毛粗剛
毛艶や毛並が悪くなります。
高血圧
高血圧が続くと網膜に損傷が生じて失明したり発作を起こしたりすることがあります。
心臓病
心臓に負担がかかって心筋症(心臓の筋肉障害)を発症することがあります。
気になる症状がある場合はご相談ください
猫の甲状腺機能亢進症の症状は気付きにくいことがありますが、放っておくとさまざまな臓器に負担がかかって合併症を引き起こす可能性があります。疑わしい症状がある場合には早めの動物病院受診が薦められます。
東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目60-7
原宿駅徒歩4分
提携駐車場あり
猫の甲状腺機能亢進症の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
問診、身体検査
体重や体温の測定、聴診などを行います。
腫れている甲状腺を触知できることがあります。
血液検査
一般的な検査項目の他、甲状腺ホルモン(T4)の数値を測定します。
レントゲン検査
併発疾患がないか確認します。
超音波検査(腹部、心臓)
心筋症、腎臓病、その他の併発疾患がないか確認します。
血圧測定
甲状腺機能亢進症の猫では高血圧になることが多いです。
眼科検査
主に網膜の異常がないか観察します。
猫の甲状腺機能亢進症の治療方法

内科治療が行われることが多いですが、他の治療法が選択されることもあります。
内科治療
甲状腺ホルモンの合成を抑えるお薬を使用します。
食事療法
甲状腺ホルモンの分泌を抑えるために、ヨウ素を制限した食事を与えることがあります。
外科治療
異常な甲状腺を外科的に取り除きます。
当院が猫の甲状腺機能亢進症の診療で心がけていること
体重が減るような他の病気が隠れていないか、腎臓病や心筋症などを併発していないか、各種検査結果や治療経過から総合的に診断します。併発疾患がある場合にはより慎重な治療が求められます。
薬が飲めない、ストレスを感じやすいなど、その子の性質も考えた治療法をご提案します。
甲状腺機能亢進症の猫は、検査や処置時に緊張したり興奮したりすることで状態が悪化することがあります。無理のない範囲で検査を行うため、当日全ての検査が行えないこともありますのでご了承ください。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な猫の甲状腺機能亢進症の検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
問診・身体検査料 | 5,170円 |
血液検査(スクリーニング) | 7,660円〜 |
血液検査(T4測定) | 4,030円〜 |
レントゲン検査 | 5,940円〜 |
合計 | 22,800円〜 |