この記事では獣医師監修の元、猫の心筋症(しんきんしょう)の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

猫の心筋症(しんきんしょう)とは?
心臓の壁(筋肉)の構造が変化したり、心臓の機能に障害が出てくる病気です。心筋症のうち「肥大型心筋症」は、心臓の壁が厚く硬くなることで全身にうまく血液を送り出せなくなります。
一方、「拘束型心筋症」は心臓の壁が硬くなったり異常な構造物が心臓内にあることで心臓のポンプの機能が障害されてしまいます。

猫の心筋症の原因や好発猫種は?
肥大型心筋症の原因
ほとんどの場合、原因は明らかではありません。メインクーンとラグドールについては特定の遺伝子異常が原因とされています。
拘束型心筋症の原因
明確な要因が特定されていません。
心筋症の症状は?
口を開けて呼吸をする
猫は通常、鼻呼吸をしており口を開けて呼吸をしません。ご自宅でこのような様子が見られた場合には、一度胸部のレントゲンや心臓超音波検査を受けられることをお勧めします。
若い猫の場合には正常であっても口を開けて呼吸をする事があり、成長と共に落ち着いてきます。
呼吸が速くなる
心筋症が進行すると、胸水や肺水腫を引き起こす事があります。胸の膨らむ回数を数えて頂き、1分間に40回を超えてくるようであれば呼吸が苦しくなっている可能性があります。ご自宅で呼吸数を測定して頂く事で胸水や肺水腫などの早期発見に繋がります。
麻痺(血栓塞栓症)
心臓の拡大が重度になってくると、心臓の中で血栓が出来やすくなります。血栓が流れて血管を詰まらせてしまう事で前足や後ろ足を突然動かせなくなる事があります。
気になる症状がある場合はご相談ください
呼吸回数が速い、突然歩けなくなった等の症状が出た時にはすぐに治療を開始した方が良い場合がありますので、お電話でご相談下さい。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
心筋症の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
胸部X線検査
心臓の大きさや血管の太さを評価します。また、肺に水がたまる肺水腫や胸水が溜まっていないかを確認します。
心臓超音波検査
心臓の形態や血流をみて、心臓の異常がないか、心臓の負担がどの位かかっているかを評価します。
心電図検査
心電図をみることで、心臓の形態の異常や心臓のリズムが不整となっていないかを評価します。
血圧測定
心臓病が進行すると血圧が上がりやすくなったり、逆に下がり過ぎてしまう事があります。血圧を下げやすい薬を使う事も多いため、お薬の選択の上でも大切な項目となります。
血液検査
肝臓や腎臓など、心臓以外の異常がないか血液検査で評価を行います。
心筋症の治療方法

心筋症は外科的に治療を行うことが出来ないため、病期に応じて様々なお薬を組み合わせる内科治療がベースとなります。
強心薬
心臓のポンプの機能を助け、心臓から血液を出しやすくします。
利尿剤
体内の水分を減らす事で心臓の負担を取ります。
β(ベータ)遮断薬
過剰に動いている心臓を休ませ、心臓を拡げます。
抗血栓薬
拡大した心臓内では血栓が形成されやすくなるため、血栓予防を行います。また、既に血栓症の既往がある子では1-2種類の抗血栓薬を使用し再発予防を行います。
胸水抜去
末期の病態になってくると胸水が溜まってくる事があります。胸腔内に針を刺し、胸水を抜いてあげる事で呼吸が楽になります。
心筋症の診療で心がけていること
お薬の内容によって出ている症状を軽くしてあげられる可能性が高い事から、検査によって心臓の状態を把握します。
猫ちゃんの状態をみながら、なるべく負担のかからないように配慮して検査を実施します。場合によっては酸素を嗅がせるなど呼吸を楽にした状態で検査を行います。
警戒心が強く、投薬が難しい事が多い猫ちゃんの負担が最小限となるように本当に必要な治療を提案致します。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な心臓の検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
胸部レントゲン検査 | 6,000円 |
心臓超音波検査 | 22,000円 |
血圧測定 | 2,500円 |