この記事では獣医師監修の元、犬と猫の動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

犬猫の動脈管開存症とは?
生まれつきの心臓の病気で、出生の際に閉じるべき「動脈管(どうみゃくかん)」が閉鎖せずに残ってしまう病気です。先天性心疾患で、根治が期待出来る病気です。

犬猫の動脈管開存症の原因は?
犬猫でよく見られる原因
遺伝性の先天性疾患で、雌に多く(雄の約3倍)発生します。
発症しやすい犬種・猫種
チワワ、トイ・プードル、ポメラニアン等の小型犬に多く 、猫では特定の好発品種はなく比較的珍しい病気です。
動脈管開存症の症状は?
咳
心臓が拡大する事で気管が圧迫され、咳が出やすくなります。
呼吸数の増加
肺水腫(肺に水が溜まる状態)になると呼吸回数が増加します。
チアノーゼ
動脈管の血流方向が逆になると、後ろ足や陰部のチアノーゼ(通常ピンク色の所が紫色になる)が見られるようになります。
気になる症状がある場合はご相談ください
子犬や子猫の時に見られる咳は、ケンネルコフや気管虚脱、猫風邪が原因の事が多いですが、先天性の心臓の病気が隠れている事もあります。
咳の症状がある場合には一度ご相談頂き、安静時(寝ている時やリラックスしている時)の呼吸数が1分間に40回を超えているようであれば早めに受診される事をおすすめします。
東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目60-7
原宿駅徒歩4分
提携駐車場あり
動脈管開存症の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
身体検査
聴診で動脈管開存症に特徴的な心雑音が聴取されたり、特徴的な脈が内股で触知されます。
子犬のワクチン接種の際に行う身体検査で見つかる事があります。
胸部レントゲン検査
胸部レントゲン検査で、心臓や血管の拡大が認められます。
心臓超音波検査
動脈管の形態や動脈管の血流を調べます。
心臓の部屋(心室)の拡大が認められ、僧帽弁逆流が認められる事があります。
動脈管開存症の治療方法

動脈管開存症は、早期に発見する事で根治を目指せる病気です。
外科手術
開胸下で動脈管を糸で縛ることで異常な血流を遮断します。
カテーテル治療(当院では現在行なっておりません)
カテーテルを入れて動脈管にコイルやACDO(Amplatz canine duct occluded )といった閉鎖器具を入れ、動脈管を閉塞させます。
内科治療
外科手術やカテーテル治療を行うまでの間、利尿薬や血管拡張薬、強心薬などを状態に応じて処方します。
また、動脈管開存症が進行してしまうと動脈管の閉塞が「禁忌」となるため、内科治療となります。肺の血管を広げるお薬や、血液が濃くなる多血症の治療を行っていきます。
当院が動脈管開存症の診療で心がけていること
身体検査上で特徴的な雑音や脈を検出する事で、早期発見・早期治療に繋げます。
病期により治療方法が大きく異なります。そのため、正確に状態を評価する事で適切な治療に繋げます。
当院では外科手術をご提案します。また、手術適応時期を過ぎてしまった場合にもなるべく楽に過ごせるような内科治療を行なっていきます。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な動脈管開存症の検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
問診・身体検査料 | 5,170円 |
胸部レントゲン検査 | 5,400円 |
心臓超音波検査 | 10,000円 |
合計 | 20,570円〜 |