【獣医師監修】猫の繁殖について解説。猫はいつ、どうやって交尾をするのか

猫は、一度にたくさんの子どもを産みます。ただ、猫が交尾をしているところってあまり見たことがありませんよね。猫はいつ頃から、どのように交尾するのか紹介していきましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

猫の発情期

発情期とは、性成熟を迎えたメスが、繁殖可能な状態である時期のことをいいます。メス猫がいきなり「ウァーオ!」などといった、人間の子が鳴くような声を出して、身をよじって仰向けになったり、おしりを高くあげたりしているのは、発情期に突入したというサインです。飼い主に対して、頭を擦りつけてきたり、執拗に甘えたりしてくるのも、発情が始まっている証拠ですね。

この時期にオス猫と出会い、メス猫がそれを受け入れて交尾すると、交尾の刺激から排卵が起こり、高確率で妊娠するといわれています。ちなみに、メス猫が交尾をするのは発情期のみで、それ以外の時期にはどのオス猫とも交尾をすることはありません。しかし、オス猫は、自らが性成熟を迎えている状態で、発情期を迎えているメス猫がいれば、いつでも交尾をすることができます。オス猫は基本的にはいつでも性的活性を持っていますが、ピークは春頃と考えられています。

猫は季節発情

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メス猫が妊娠・出産できるようになること、オス猫の場合は交尾をすることでメス猫を妊娠させることが可能になることを性成熟といいます。猫は早くて6ヶ月齢くらいで、遅くても通常1歳くらいまでに、性成熟を迎えます。ただし、大型猫の場合はもう少し遅い場合もあります。

性成熟を迎えたメス猫が繁殖期を迎えるのに大きく関係しているのが、日照時間です。1日の日照時間が長い1~9月を繁殖期とし、この期間に何度か発情を繰り返します。人工の照明が設置された室内で、長く光を浴びて暮らす猫の中には、冬場に発情が起こることもあります。

猫の発情パターン

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個体によって差はありますが、平均的には2週間前後の発情を示したあと、1~2週間休み、これを2~3回繰り返してから、1~2ヶ月の間をおいて再び発情します。

発情前期(3~5日間)

ゴロゴロしたり、変わった声を出したりと、いつもと違う様子が見てとれますが、まだはっきりとした変化ではありません。また、この時にはまだ、オス猫を受け入れることはありません。

発情期(3~10日間)

独特の声で鳴き、腰を低くして外陰部を見せる「ロードーシス」という姿勢を取り、オス猫との交尾を受け入れるようになります。交尾をした場合は排卵が起きて発情は止まりますが、交尾をしなければこのまま発情休止期へと入っていきます。

発情休止期(1~2週間)

性的な発情は休止します。

猫の交尾

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猫の交尾において、交尾相手の選択権はメス猫にあります。メス猫がオス猫を気に入らなかった場合、交尾相手として受け入れることはありません。ですから、オス猫は自分の子孫を残すために、慎重に慎重を重ねて行動します。

ゆっくりと近づいていき、ご機嫌取りのためのグルーミング(愛撫)を行います。メス猫が交尾相手としてオス猫を選んだ場合、オスを受け入れる「ロードーシス」の姿勢を取ります。交尾の際、オス猫はメス猫の首の後ろの皮膚を軽く咬み、前肢でメス猫の上半身を抱え込みます。オス猫のペニスの先端はギザギザになっていて、交尾の時にメスに痛みを与えます。この刺激(=痛み)がメス猫の排卵を促すのですが、メス猫はその痛みから、オス猫に一撃を加えようとすることが多いため、オス猫はメス猫から急いで離れます。

もし、飼い主に繁殖の予定がない場合は、必ず避妊手術を行いましょう。発情期のストレスや、生殖器系の病気・乳腺腫瘍などを防ぐことができます。

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