ペットとの【同行避難】ってなに? 「災害が起きたその時に」【犬編】

災害が起きたとき、飼い主さんがまず取るべき行動とはなんでしょうか。自身の安全ももちろんですが、大切な家族の一員であるワンちゃんも守ってあげなければいけません。同行避難の意味をきちんと知って、正しい避難ができるようにしたいですね。

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いざ災害が起きたとき、冷静な判断がくだせると思っていても、なかなかそうはいきません。そんなときでも、きちんとした知識を普段から身に着けていれば、必要以上にパニックにならなくて済みます。ワンちゃんとの避難方法を考えて、災害時に備えましょう。

1.愛犬との同行避難【避難する前に知っておきたいこと】

備えは常に万全に

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いつ災害が起きて、急に避難することになるかは誰にもわかりません。普段から"被災するかもしれない"という意識を持ち、ワンちゃんの命を守るためにも、万全の備えをしておきましょう。

1週間分のペットの食料の確保やトイレの用意、普段から使っているリードやブラシなど、用意すべきものは以外と多いです。一度どのぐらいの量なのか、カバンに入れて確かめてみましょう。量が多い場合は、いくつかのカバンに分けて、避難の際に手に取りやすい場所に置いておくなど、工夫が必要です。

避難先では多くのペットと一緒に暮らすことになるため、不妊手術や伝染病の予防が必要です。ワンちゃんは普段よりもストレスで体調を崩しやすいということを念頭に置き、ワクチン接種を必ず行いましょう。

また、迷子になったときに備えて迷子札を装着しておきましょう。万が一飼い主さんの手を離れてしまっても、迷子札の情報から、飼い主さんと再会できる可能性が高くなります。

問題点を把握して対策

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食料の備蓄や迷子対策をしただけで安心せずに、実際にどのように避難をするのか、想定してみましょう。避難をする際にどのような問題点があるかは、それぞれの家庭によって違うので、きちんと対策を取る必要があります。

例えば大型犬がいて、被災時に飼い主もしくはワンちゃんが怪我をしてしまった際、どうやってワンちゃんを運びだすのか?ということも考えてみましょう。この場合は応急手当の方法、ワンちゃんを運べるようなキャリーや担架の用意、ご近所との協力などを視野に入れておきます。

お薬を飲んでいるワンちゃんの場合でも、薬が手に入りにくい状態になるため、獣医さんに相談して備蓄用に多めに処方してもらう、などの対策が必要になるでしょう。マンションの場合はエレベーターが止まるため、階段で降りることも想定する必要があります。

このように、各家庭で様々な問題点が発生することがあります。避難するときに困らないためにも、どのように避難を行うのか、家族や友人と相談しておくことが大切になります。

応急手当の仕方

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ワンちゃんがガラスやお湯などで怪我をしたり、骨折する可能性もあります。しかし、災害時は獣医さんの手が空いてないことも多く、いつ診療の順番が回ってくるかもわかりません。そんなときに、飼い主さんが簡単でもよいので応急手当をしてあげると、怪我を悪化させずに済みます。

基本的にはケージやキャリーなどに入れ、興奮して暴れないように隔離します。切り傷の場合は清潔な水で洗い、布などで止血します。火傷の場合はとにかく水で冷やし、患部を舐めたりしないように保護をしてあげましょう。

人間用の薬はワンちゃんには強すぎるため使わないようにしましょう。素人判断で治療を行おうとするとかえってワンちゃんが苦しむことになるので、簡単な処置だけ行ったら、獣医さんによるきちんとした処置を待ちましょう。

2.愛犬との同行避難【飼い主が犬と一緒にするべき"同行避難"とは】

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「同行避難」という言葉は、東日本大震災の後によく聞くようになった言葉です。これは、"飼い主さんとペットが一緒に避難する"ことを意味しています。今までの大きな災害では、この同行避難という言葉が浸透していなかったため、多くのペットの迷子や失踪、繁殖による凶暴化などを招いてしまいました。

一時避難だと聞いて、自宅に置いてきたところ、帰るのに思ったよりも時間がかかり、ワンちゃんが居なくなったり、衰弱していたという飼い主さんも少なくありません。このような事態を避けるために、環境省も同行避難を推奨しています。

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避難所に着いた後は、ペットと飼い主さんが同じ空間で過ごすとは限りません。避難所のルールに従いましょう。飼い主さんとしては、不安がるワンちゃんと離れたくないという気持ちがあるかもしれません。しかし、避難所ではお互いの思いやりがとても大切です。ペットを飼う人のイメージを下げたことで、ペットそのものの受け入れを拒否される可能性もあります。

ワンちゃんと一緒に避難することを指す"同行避難"と、一緒に避難し同じ空間で生活をする"同伴避難"の区別をきちんとつけ、自分はどちらの方法を取りたいか、よく考えておきましょう。もし避難所を使わない場合は、車中泊やテントでの生活などが考えられます。

災害に遭ったときも慌てずに、必ずワンちゃんと避難するようにしたいですね。

3.愛犬との同行避難【自宅で災害した場合にするべきことは?】

まずは飼い主とペットの安全確保

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いざ災害が起きたとき、最優先すべきは飼い主さんとペットの安全確保です。ペットが手の届く範囲にいるなら、机の下や物が倒れる心配がない場所に一緒に移動しましょう。ペットが暴れて怪我をする可能性もあるので、余裕があればキャリーバッグなどに入れてあげたいですね。

重要なのは飼い主さんがパニックにならず、冷静でいることです。ワンちゃんは特に人の感情に敏感なので、飼い主さんが大きく動揺してしまうと、つられて動揺します。パニックになって大声で騒いだりしないように、できるかぎり落ち着くことが大切です。

家屋が倒壊する危険があったり、火災が起きる可能性がある場合は、速やかに外へ避難して、安全な場所へ移動しましょう。

防災バッグやハーネス等の用意

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避難するときは、用意した防災バッグのほかに、しっかりとしたハーネスや首輪を用意し、ワンちゃんに装着して移動します。ワンちゃんがいつもと違う状況にパニックを起こし、飼い主さんのコントロールが効かなくなる可能性があります。そんなときに、丈夫なハーネスや首輪をつけておけば、脱走を防ぐことができます。

飼い主さんはワンちゃんが"いつもと違う行動を取るかもしれない"と常に考えながら行動することが大切です。いつもは友好的な子でも、パニックによって他のワンちゃんに吠え掛かることもあるかもしれません。連れ出す際は細心の注意を払って行動するようにしたいですね。

小型犬の場合はキャリーバッグなどに入れれば、持ち運びも比較的簡単なので避難は簡単です。しかし、大型犬の場合は徒歩になるため、瓦礫などを踏んで怪我をする可能性があります。防災バッグの中や玄関に、犬用の靴やバンテージなどを用意しておくと安心です。

避難先を家族に知らせる

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災害時は電話やメールなどの連絡ツールが使えないことがほとんどです。自宅から避難先へ避難するときは、家族に自分とワンちゃんの安否を知らせるためにも、玄関先に張り紙をするなどして、メッセージを残していくようにしましょう。あらかじめ家族と打ち合わせをしておいて、災害時の伝言ダイヤルの使用や、落ち合う避難所を決めておくと、よりスムーズです。

4.愛犬との同行避難【外で災害した場合にするべきことは?】

まずは安全な場所で待機する

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飼い主さんが仕事などで外出していて、ワンちゃんの傍にいられないこともあります。外出先で被災した場合は、まずはその場所から動かず、自身の安全を確保し、どのような状況なのか情報を入手しましょう。会社の場合は、帰宅困難者に向けて3日分の食料の備蓄が推奨されているため、安全なことが多いです。

しかし、飼い主さんにとっては自宅のワンちゃんが気がかりですよね。日頃からクレートを設置し、ワンちゃんがその中で過ごすようにしつけていれば、事故はかなり減らすことができます。他にも家具を固定したり、小物を落下しないようにするなど、工夫することでワンちゃんの安全を確保しましょう。

家の様子を見てもらう

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被災直後は交通機関が止まってしまうことも多く、徒歩で帰宅したり、帰宅すること自体が困難になることも少なくありません。そんなときに、ワンちゃんの様子を見てもらえるように、あらかじめ家族や近所の人と連携を取っておきましょう。

電話などが繋がらない場合も多いので、連絡する際は災害用伝言ダイヤルを利用するなど、どのように連絡を取り合うか決めておくと、より安心ですね。

徒歩で帰れる距離、何らかの交通手段などが確保できそうな場合であれば、できるかぎり早く自宅へ戻り、ワンちゃんを迎えに行ってあげましょう。もし長期間戻れない場合は、近所の人に一時的な保護をお願いすることも考えておく必要があります。

ワンちゃんの命を守るために、どのような避難を行うか、災害に実際に合ったときどうするか、日頃からよく考えておくことが重要です。同行避難の意味をきちんと理解し、適切な行動を取れるようにしたいですね。

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