【獣医師監修】猫の耳掃除って必要? 耳掃除の頻度とやり方

猫の五感の中でもっとも優れているのが聴覚。大切な耳を守るためにも、耳掃除のやり方、頻度などを紹介します。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

耳掃除の必要性

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猫の耳はそれほど汚れることはなく、極論を言えば、健康な耳の状態であれば、耳掃除をしなくても問題はないことがほとんどです。普通に生活する中で、たまった耳垢は外に出ていきます。しかし、皮膚のバリア機能が弱い、子猫の頃に耳の中に感染を起こしたことがある、などの猫では定期的な耳掃除が必要になってきます。
また、猫の耳は目につきやすいので、日々観察して汚れを気にすることが出来ると思いますが、スコティッシュ・フォールドは耳が折れているので中が確認しづらいため注意が必要です。
過剰な耳掃除は耳を傷めてしまうため、通常は1ヶ月に1~2回程度で十分です。かかりつけの先生などに頻度を指示されている場合はそれに従ってください。

外耳炎を防ぐ

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耳の病気で多いのは外耳炎ですが、外傷や細菌感染、真菌感染、耳疥癬(みみかいせん:ミミヒゼンダニの寄生)、アレルギー、腫瘍、虫や植物の種子などの異物混入などが原因になりえます。
外耳炎の症状は原因によって若干症状も異なりますが、かゆみなどの他に、耳垢が増えることが特徴です。細菌感染では黄色っぽい耳垢、真菌感染では茶色っぽい耳垢、耳疥癬では黒い耳垢が出ます。

治療法も原因によって異なります。細菌感染、真菌感染の場合は専用の点耳薬を使いますが、場合によっては内服薬や注射薬を使用することもあります。耳疥癬では駆虫薬を使用します。耳疥癬は母親からうつることが多いので、子猫を譲り受けた場合などは耳の中もよくチェックしましょう。

耳掃除の方法

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ティッシュやコットンをオリーブオイルか動物用のクリーニングローションで湿らせ、外耳の部分をやさしくふき取るだけで、大体の汚れはきれいになります。このとき耳の奥が気になっても、綿棒を使うことは避けた方がいいでしょう。

猫の耳の中は途中で折れ曲がっているため、掃除がしにくいうえ、綿棒を使っているときに突然猫が動いたら耳の中を傷つけてしまいます。耳垢は自然と外へ追い出される仕組みになっているため、よほどのことがない限り、耳の中に大きな耳垢が残ることはありません。

耳掃除のときに注意したいのは、「こすらないこと」です。きれいにしたいと思うあまり、ついゴシゴシとこすってしまいがちですが、猫の皮膚はデリケートなので、傷がついてしまい、炎症や病気の原因になってしまいます。

耳の中に直接イヤークリーナーを流し込み、耳の付け根をマッサージするようにもみほぐす方法もあります。そうすることで、耳の中の垢や脂が浮き上がるのを待ち、脱脂綿で水分を吸収しながら汚れを取り除きます。イヤークリーナーは耳の中に液体が残ってしまっても問題がない製品を使用しましょう。

プロに任せる場合

拒絶反応がひどい、耳の中に液体を入れられるのを嫌うなど、耳掃除をさせてくれない猫の場合は、プロにお願いしてみてはいかがでしょうか。トリミングサロンでは、トリミングに含まれている場合やオプションとして追加料金を支払えばやってくれる場合があり、犬では料金は500円程度からですが汚れがひどいと2000円以上かかることもあるようです。耳掃除だけは受付けていなかったり、そもそも猫のトリミングは行っていないサロンも多いので、事前確認が必要です。

一方、動物病院では診療の一環として耳掃除を依頼した場合は、1000円以内でやってくれるところが多いようです。ただし、汚れがあまりにもひどいときや病気が見つかったときは耳掃除や治療代として1000円~1万円程度かかるようです。

外耳炎になったまま気づかずにいると中耳炎などに移行してしまうこともあります。こまめに耳をチェックして早めに気づいてあげたいですね。

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