【獣医師監修】犬の口臭事情。ニオイの原因や考えられる病気、治療法、予防法について
犬を抱っこした時に「あれ、口から変な臭いがする…」と感じたことはありませんか? 犬も人間同様、口臭があります。この口臭、単に口内の汚れが原因の場合と、体の中からしている場合があります。そこで今回は、犬の口臭について解説していきます。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬の口臭が出る原因
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犬は毎日食事をしますので、何かしらの食べ物のカスが口内に残ってしまいます。とくに、顎の小さい小型犬では、乳歯が抜ける前に永久歯が重なるように生えてくることがあり、そのような口腔内では歯垢がたまりやすいです。
歯垢がついたままだと、歯周病を引き起こし、歯周ポケット(歯と歯茎の間の隙間)に繁殖した細菌や歯肉の炎症が口臭の原因になります。また、加齢によって唾液の分泌が少なくなってくると、口内が乾燥して口臭につながります。
とはいえ、犬の口臭は歯垢が原因とは限りません。体内から異臭を発することがあります。例えば、肝臓や腎臓が正常に働かず、通常であれば分解されたり排泄されたりする物質が体内に溜まってしまい、独特のにおいを発することもあれば、腸閉塞などにより腸の内容物が動かず便臭がすることもあります。
口腔内がきれいで歯肉の炎症もないのに口臭が気になるときは、口が原因ではない可能性が高いでしょう。また、タオルやガーゼなどで犬の歯を拭いて、臭いを確かめてみるのもいいでしょう。
タオルやガーゼと口臭が同じ臭いであれば、原因は口内の異常ということです。逆に、タオルやガーゼが臭わなければ、原因は体内にある可能性があるので、動物病院の受診を検討した方が良いでしょう。
犬の口臭の治療方法
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それでは、犬の口臭を治療するにはどうすれば良いのでしょうか?
体内の病気からくる口臭は、その病気を治療することが必要になります。動物病院を受診し、血液検査などの必要な検査を受け、治療を開始しましょう。原因が取り除けられれば、口臭も自然になくなります。
また、口腔内が原因の場合も獣医師の診断を受けることになりますが、歯垢がついているだけであれば、歯磨きをがんばることで改善すると思います。しかし、歯石がついていたり、歯肉に炎症がある場合は、全身麻酔による歯石除去手術(スケーリング)を受けることになります。ここまで進行させないためには日頃の予防が大切です。
犬の口臭を予防する方法
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その予防ですが、一番は歯磨きをすることです。犬の歯磨きも人間同様、毎日の習慣にするのがベストではありますが、なかなかハードルが高いかもしれません。
そこで、何かしらのきっかけ(おもちゃで遊ぶ時、散歩から帰って来た時など)に、歯をタオルで拭くことからスタートするのをおすすめします。ご褒美を与えながら行うのもよいでしょう。
歯を拭くことを習慣にしていくと、犬が嫌がることもなくなり、犬にとっても歯を拭くという行為が日常的なものになります。そして、まずは1週間に1~2度を目標に、歯磨きの時間をとるようにしてみてはいかがでしょうか?
また、保存状態の悪いドッグフードが口臭の原因になることも。缶詰を開けたままにしておいたり、袋を密封していなかったりすると、栄養価の高いドッグフードでもフレッシュさがなくなり、酸化してしまいます。とくにウェットタイプのドッグフードは、開封してからの保存期間が短いので要注意。このような場合は、ドッグフードの保存方法を変えるか、ドッグフード自体を変えるかすることで口臭が軽減する場合があります。
いずれにしても、犬の口臭は飼い主の心がけ次第で軽減できるものです。コミュニケーションの一環として歯を拭くこと、歯磨きをすることを習慣づけることで、犬の口内を快適に保つことができます。