犬がクサイ。ニオイの原因や考えられる病気、治療法、予防法について

犬を飼い始めると、気になるのがニオイです。飼い主はだんだん慣れてきますが、親戚や友達が遊びに来た時に「あれ、何かニオイしない?」と思われるかもしれません。動物なので特有のニオイがするのは当然ですが、それが家のニオイにもつながるのです。そこで今回は、犬の体臭について解説していきます。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬の体臭が出る原因

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犬を飼育していると感じるニオイには、「体臭」のほかにも「口臭」「便臭」「アンモニア臭」などがありますが、その中でも犬自身が発する体臭の原因を考えてみましょう。

犬も人も、汗には2種類あります。ひとつは、運動後に出るサラッとした無臭の汗。これはエクリン汗腺と呼ばれる器官から排出されるのですが、犬は肉球にしかこの汗腺を持っていません。もうひとつは、フェロモンともいわれるニオイのある汗です。人間の場合、このニオイのある汗は脇や耳の中など限られた場所からしか出ないのですが、犬の場合、全身にこのニオイのある汗を出すアポクリン汗腺を持っていますし、皮脂腺も体全体にあります。これらが体臭に影響しています。

また、犬の耳の中からツンとしたニオイがすることがあります。これは日本という湿気の多い国で発生しやすいのですが、耳の中が蒸れて不衛生になっていることが原因です。

もうひとつは肛門腺です。犬の肛門脇に左右1つずつあり、興奮時や排便時にここから分泌液が排泄され、腐敗した魚介類のような強烈なニオイを発します。一方で、肛門腺は退化している器官のため、自力で排泄できない犬も多くいます。

このように、犬の体臭には自然発生的なものと飼い主が防止できるものがあります。

体臭が出やすい犬種

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蒸れやすい犬は細菌などが繁殖しやすく、体から発するニオイがきつくなる傾向にあります。
蒸れやすい犬とは、垂れ耳だったり、顔や体にしわが寄っていたりする犬です。また、アンダーコートで覆われている寒さに強い犬は、定期的にブラッシングをし、とくに春の換毛期にしっかりアンダーコートを取り除いてあげないとニオイが強くなることもあります。

犬の体臭の治療・予防方法

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犬の体臭をやわらげるには、どうすれば良いのでしょうか?

まず、体を清潔に保つことが大切です。しわやひだの多い犬は細菌が繁殖しやすいので、ガーゼでやさしく体を拭いてあげるようにしましょう。とくに、食後や飲水後、口周りにフードや水が付いたままになるのは皮膚によくないですし、ニオイの原因にもなりますので、拭きとってあげましょう。

また、耳が蒸れやすい犬種では、定期的に耳掃除も行います。細菌が真菌により外耳炎を起こしている場合、耳掃除だけでは良化しないので、動物病院で診療してもらいます。

さらに、定期的なブラッシングで埃や汚れ、不要なアンダーコートなどを積極的に取り除いてあげましょう。

シャンプーは、洗いすぎやシャンプー剤の付けすぎに注意して行うようにしましょう。犬の毛は水をはじき、なかなか皮膚まで濡らすことがむずかしいのですが、皮膚が濡れない状態でシャンプーをしてもあまり効果は得られません。シャワーヘッドを皮膚に密着させたり、お風呂に浸からせるなどして、しっかり皮膚を濡らしてからシャンプーをしましょう。
シャンプーの回数や液剤が多すぎると、皮膚の脂分を必要以上に洗浄してしまい、逆に皮膚炎などを起こすおそれがあります。

また、肛門腺の分泌液を出すことも、ニオイを防ぐ方法のひとつです。犬の肛門を時計に見立て、尻尾がある場所を12時とすると、4時と8時の方向に肛門腺があります。尻尾のつけ根をしっかり持ち、もう片方の手で左右の肛門腺に親指と人差し指を添え、下から上方やや手前に押し出すようにすると、分泌液を出すことができます。飛び散ったりするとなかなかニオイが取れないので、ティッシュごしに行ったり、シャンプー前にお風呂場で行うことをおすすめします。ちょっとしたコツが必要なので、最初は獣医師やトリマーなどに教えてもらうといいでしょう。

食べ物を見直すことで、皮膚の状態がよくなり体臭がやわらぐこともありますが、たんぱく質を多く食べると体臭がきつくなるかもしれないから、と犬に必要な栄養バランスを崩してしまうことは避けましょう。

このように、犬の体臭をやわらげるには様々な方法がありますが、飼い主が犬のために動く必要があります。日々の生活の中でこれらの作業をすることは大変かもしれませんが、犬とのコミュニケーションのひとつとして、楽しみながら行うことをおすすめします。

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