【獣医師監修】犬の呼吸がおかしい? 逆くしゃみの原因や考えられる病気、治療法、予防法について
犬が突然ブタになった!? いつもは「キャン」「ウー」しかいわない犬が、「ブーブー」「グーグー」といい出すことがあります。これは「逆くしゃみ」という現象で、どんな犬でも起こる可能性があるものです。それではこの逆くしゃみ、どのような状況で起こるのでしょうか?
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
逆くしゃみとは何?なぜ出る?
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「くしゃみ」は鼻の刺激により空気を思い切り排出させますが、「逆くしゃみ」はまさにくしゃみの逆で、鼻の刺激により空気を思い切り吸い込むことで発生します。人でも鼻を「フゴッ」と鳴らすことを「ぶたっぱな」「ブタ鼻」などと呼ぶことがありますが、それと同じです。大笑いしている時や、鼻をすする時に音が鳴る人が多いようです。
犬が逆くしゃみをする時は、動きを止めたり目を見開いたり首を伸ばしたりすることが多く、飼い主さんによっては「呼吸困難を起こしている」「発作だ」と思われることもあるようですが、通常はすぐに治まりますし、逆くしゃみが原因で倒れてしまうようなことはありません。
逆くしゃみは鼻に刺激があった場合に発生すると書きましたが、具体的には、鼻水やアレルゲン、埃などが原因になることがあるため、心配いらないことがほとんどです。ただし、異物や腫瘍、ひどい炎症などが刺激となり逆くしゃみをおこすこともありますので、あまりに頻繁にみられるような時は獣医師に診療してもらいましょう。
また、気管虚脱という気管の疾患がありますが、この疾患では呼吸の際に「ガーガー」とアヒルが鳴くような音を出すことがあります。逆くしゃみとは音が異なりますが、聞き比べたことがない人には判断ができないと思いますので、音が気になる時は診療してもらうと安心です。呼気時と吸気時にレントゲンを撮ることなどで、気管虚脱かどうか判断されることが多いです。
逆くしゃみをしやすい犬種
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この逆くしゃみはどの犬種でも起こりえます。小型犬や短頭種に多いという説もありますが、ダックス・フンドなどの長頭種(鼻が長い犬)で起こりやすいという説もあります。散歩時に草むらに顔を突っ込むのが好きな犬では異物によるリスクが増えますし、高齢犬では腫瘍によるリスクが増えます。
逆くしゃみの治療・予防方法
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単なる逆くしゃみであれば、そのまま様子を見ていればすぐに治まりますので、無理に止める必要はないですが、カラダを撫でてあげたりすることでリラックスさせるのもいいでしょう。
明らかに鼻水が多く逆くしゃみをしているケースでは、感染や炎症などにより鼻水が増え、それが刺激になっているおそれがあるため、鼻水が増えた原因への治療が必要になります。異物混入や腫瘍に関しても同じです。
生理現象の範囲内の逆くしゃみもあるので完全に予防することはできませんし、またその必要もありませんが、適切な温度や湿度、清潔な環境下では鼻水が増えることをある程度予防できると思いますので、間接的に逆くしゃみの予防もできるかもしれません。