【獣医師監修】猫が一緒に寝たがるのはどうして? その理由を解説します
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【獣医師監修】猫が一緒に寝たがるのはどうして? その理由を解説します

猫の飼い主にとって、猫が一緒に寝ようとしてくるのは幸せなひとときかもしれません。夜中に目が覚めると、いつのまにか横で猫が寝ているということもあります。では、なぜ猫は飼い主と一緒に寝たがるのでしょうか?

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫はなぜ飼い主と一緒に寝たがるのか

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猫が飼い主と一緒に寝たがるのは、以下のような理由があります。

寝るのに心地良い場所になっている

猫の体温は平熱で38℃ほど…人間の体温より少し高いのですが、寝苦しい夏の夜には、自分よりも若干体温が低い人間の肌を心地良く感じるので、そばに寄り添って寝ようとします。また、人間が使っている布団・毛布は猫にとっても肌触りが良いので、それを知った猫が寄ってくるというわけです。

仔猫時代の行動の名残

去勢・避妊手術を受けた猫は、成長しても仔猫時代の気持ちを持っていることが多く、飼い主に甘えてきます。その延長線上に、飼い主と一緒に寝るという行動があります。そもそも、猫は孤独を好むといわれていますが、甘えることで安心感を得ようとする猫も多いのです。

飼い主への信頼感

眠るという行為は、安心感がないとできません。猫は、飼い主が自分に対して危険を及ぼさない存在だと知っていますので、飼い主のそばで寝ていれば大丈夫という信頼感により、飼い主のそばで寝ようとします。

テリトリーの中にいる存在

逆に、猫は飼い主を自分のテリトリーの中にいる存在だと思っているので、ほかの猫が飼い主と仲良くしていると嫉妬することがあります。飼い主と一緒に寝るという行為は、信頼している飼い主というテリトリーを守ることで、飼い主からも守ってもらおうという相互関係の証明でもあります。

このように、猫が飼い主と一緒に寝ようとする理由は様々です。中には、たまたま寝たい場所が一緒だった、ということもあるようですが、大好きな飼い主と一緒に寝ることは、猫にとって一番の安心感につながっているようです。

猫と一緒に寝る時の注意点

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とはいえ、猫と一緒に寝る時には気をつけないといけないことがあります。

そのひとつが、ノミやダニといった寄生虫の駆除です。猫を清潔に保っておかなければ、人間にも寄生虫が感染してしまうことがありますし、寝返りを打った時に猫が嫌がって反射的に飼い主を引っ掻いてしまう場合もあります。その傷から病気に感染しないように、爪を定期的に切っておくことが必要です。猫はきれい好きなので、自ら毛づくろいを行うセルフグルーミングが習慣になっているものの、飼い主も気を遣って清潔にしてあげることが大切です。

また、感染症にも気をつけなければいけません。動物と人間の間で感染する感染症を「人獣共通感染症」(別名ズーノーシス)と呼びますが、ここ日本では80種類程が確認されています。猫起因の人獣共通感染症には「Q熱」「猫ひっかき病」などがあり、とくに前者の場合は最悪死に至る危険もあります。

このようなリスクが高まるのは、ベッドやシーツに猫の皮膚・体液が残ってしまうことで、飼い主が睡眠中に吸い込んでしまう可能性があるからです。また、飼い主が寝ている間に、猫が口や鼻を舐めることで感染する場合もあります。

もうひとつ、猫のとなりで寝ていると、寝返りを打った時に圧死させてしまう危険性もあります。仔猫であればあるほど、圧死のリスクは高まります。また、ベッドで寝ている場合は猫が睡眠中に落ちてケガをしてしまい、そのまま障害が残ることもあります。

これらのリスクをしっかりと踏まえた上で、猫と飼い主にとって最適な睡眠環境を整えていきましょう。

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