【獣医師監修】犬が発作を起こす。原因や考えられる病気、治療法、予防法について

犬が突然発作を起こした…飼い主もびっくりしてしまって、どうすればいいかパニックになってしまうかもしれません。その万が一のために、今回は発作の種類や原因、対処方法などを紹介していきます。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

発作の原因として考えられること

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犬の発作の症状としては以下のようなものがあります。

●全身が硬直し震える
●体の一部(とくに多いのは、足や顔の一部)が震える
●意識がなくなる
●失禁、嘔吐
●大量のよだれが出る
●呼吸が苦しくなる

このような症状が出た場合は、てんかん、脳障害(先天性、外傷、感染症、腫瘍、炎症など)、中毒、低血糖、高血糖、電解質異常、循環器疾患、呼吸器疾患、腎疾患、肝疾患、運動器疾患など、様々な原因が考えられます。また、身近なものでは熱中症なども、全身状態の悪化により発作を起こすことで知られています。

人でも話題になる「てんかん」について少し説明をしておきます。
てんかんは脳の神経細胞の電気的な活動が突如乱れることによって起こります。この乱れは、脳波の異常として現れます。
てんかんには、脳炎や脳腫瘍など脳細胞に変性が生じて起こる症候性てんかんと、脳細胞に見た目上異常がなく原因がわからない突発性てんかんの2種類があります。
てんかん発作では、部分的な痙攣がみられることもあれば、意識を失い、全身がはげしく痙攣することもあります。

痙攣の治療方法

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ここでは発作の一つである痙攣について説明したいと思います。犬が痙攣を起こしてしまった場合、難しいかもしれませんが、まずは落ち着くことが大切です。発作重積という、一つの発作が治まる前にまた次の発作が始まってしまう、連続した発作がみられるような状況は非常に危険ですが、数十秒から数分で治まる単発の発作が命に関わることは少ないので、冷静に対処しましょう。

具体的には、痙攣が起きても押さえつけず、体を起こしたりゆすったりしてもいけません。声をかけるのもやめましょう。そして、発作が始まった時間を確認し、どれくらいの間続くのか観察します。痙攣している時間はすごく長く感じられると思いますが、実際には数十秒から1分ほどであることがほとんどです。
また、発作は部分的だったのか、全身だったのか、意識があったのか、などの記録もメモに残すといいでしょう。

その後、病院へ連れていきます。このとき、出来る限り詳細に痙攣を起こした状況を説明できると、原因の早期究明につながります。落ち着いて様子を見る必要があるのはそのためです。

痙攣が起こる前にあくびをよくする、涎がたくさん出るなど気になる前兆はあったか、どの部位が痙攣したのか、意識はあったか、中毒になるような心当たりはないか、など原因究明につながりそうなことは何でも獣医師に伝えましょう。

とくに対処を急ぐべきなのは、一つの発作が治まる前にまた次の発作が始まってしまう、連続した発作です(発作重積)。また、単発の発作でも長すぎるものは危険です。このような場合は、急いで病院に連れていき、獣医師に診療してもらいましょう。

発作を予防するには

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犬の発作については、熱中症、中毒、低血糖、様々な病気の症状として現れるものなど、飼い主が日頃から気をつけたり、定期的な通院で防ぐことができるものもあります。てんかんに関しては、原因不明のものもあり、予防は難しいですので、実際にてんかん発作が起こったときにどのように対応するかが重要になります。

てんかんになりやすい犬種

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では、犬種によっててんかんになりやすい、なりにくいということはあるのでしょうか。
てんかんはどの犬種でも起こりうる疾患ですが、犬種によって発生率が高いものもあり、遺伝的なものが関係しているとも考えられます。

一言で発作といっても、その症状は様々です。一番つらい思いをしているのは犬自身ですので、飼い主は落ち着いて行動し、的確な対処ができるように心がけましょう。落ち着いた様子が、犬にとっての安心感にもつながります。

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