【獣医師監修】ハリネズミはお風呂に入れてもいい? ハリネズミの入浴方法と注意点

身近で生活することが多いペットの場合、カラダの汚れは気になるもの。ハリネズミが汚れていたら、きれいに洗ってあげたくなる飼い主もいるでしょう。でも、ハリネズミのお風呂は慎重に。ストレスなく入浴させて、清潔を保ちましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

監修:ヴァンケット動物病院 松原且季院長

ハリネズミはお風呂に入れても大丈夫?

ハリネズミには水浴びをする習性はなく、自分でカラダを舐めたりして汚れを落としています。

また、多くのハリネズミは砂遊びを好みます。砂遊びには体についた汚れを落とす効果がありますが、狭く密閉した空間での砂遊びは、細かい砂が目や気管に入ることで、ハリネズミの健康を害する可能性もあります。

ハリネズミはトイレのしつけが難しいため、ケージ内のあらゆる場所で排泄をします。とくに、回し車で運動している時にフンをしやすい傾向があり、どうしてもカラダや手足が汚れてしまいます。

野生下で水浴びをする習慣がない以上、基本的に入浴は必要ありませんが、汚れの放置は、皮膚トラブルやニオイの元にもなります。蒸しタオルなどによるふき取りできれいにできればそれで十分ですが、汚れがひどい場合は清潔さを保つために、お風呂に入れてあげましょう。

ハリネズミの入浴方法

最初に洗面器と動物用シャンプー、やわらかいブラシ、タオルを用意します。ただし、お湯だけで汚れが落ちるようなら、動物用シャンプーは必要ありません。

洗面器に人肌程度の温度のぬるま湯を1cmくらい(ハリネズミのお腹がつかる程度)の深さまで入れます。慣れない入浴でハリネズミがびっくりしてしまわないように、後ろ足からゆっくりとお湯に入れましょう。お風呂というより足湯のイメージです。

お腹を片手で持ち、もう片方の手でお湯をすくって背中にかけます。その後、やわらかいブラシで撫でるように洗います。汚れがひどい場合は動物用シャンプーを使いますが、その際にはシャンプーは直接カラダにかけず、ブラシにつけて洗いましょう。

手早く汚れを落としたら、別の容器にぬるま湯を用意して、シャンプー液がカラダに残らないように十分洗い流します。シャワーを使う場合は、ハリネズミがつかっている洗面器のお湯と同じ湯温になるように注意しましょう。ジョウロもお湯の勢いを加減しやすいのでおすすめです。

ハリネズミがお湯に慣れれば、お腹を支えてあげる必要がなくなるので、両手を使って洗うことができます。

洗い終わったら、タオルで水分を拭き取ります。針と針の間に水分が残ってしまうと、体温の低下や皮膚のトラブルの原因となるので、吸水性の高いタオルでしっかりとふき取りましょう。

ハリネズミは温度変化に弱いので、カラダが冷えてしまわないよう、事前に部屋を温めておきます。ドライヤーは、熱風がハリネズミの皮膚を傷めるおそれがあるので使用しないでください。

最初は足湯程度の湯量での入浴がおすすめですが、足湯を数回経験して慣れてくれば、湯量を多くした全身浴も可能です。ただし、汚れは落ちやすくなるものの、全身浴は体力を奪うので、その分ハリネズミには負担になるので注意してください。

お風呂の際の注意点

お風呂の最中に、呼吸器にお湯が入らないように気をつけましょう。呼吸器に水分が入ると、感染症の原因となるおそれがあります。シャワーを使う時や、深めの湯で全身浴をさせる場合には、とくに注意が必要です。

湯温にも気をつけてください。ハリネズミは体温維持が苦手なので、お湯が冷たすぎても熱すぎてもカラダに負担がかかります。湯温は36℃程度の人肌のぬるま湯に設定しましょう。また、とても臆病な性格なので、シャワーなどの勢いも控えめにしてください。

最初はお湯に驚いて針を逆立ててしまうこともあります。飼い主もあらかじめ手袋をしておくと安心です。お風呂は短時間で手早く済ませることが肝心です

また、ハリネズミはダニがつくことが多く、お風呂だけではダニを完全に除去できない場合があります。野生下では砂遊びが有効ですが、飼育下では動物病院でのダニ駆除が確実です。

なお、ダニ予防に砂遊びさせる場合は「猫砂」は使わないでください。猫砂は水分を吸って固まるため、ハリネズミを傷つけてしまうことがあるからです。

ハリネズミの入浴は、カラダへの負担が大きい行為です。汚れがひどく、ハリネズミの健康に悪影響を及ぼすおそれがある場合のみ入浴させましょう。一度お風呂に入れたら、次のお風呂まで1ヶ月以上の間隔をあけてください。お風呂が原因で病気になったら本末転倒です。

日頃からケージ内を清潔に保ち、少しの汚れは蒸しタオルなどで拭いてきれいにしてあげるのがおすすめです。もし、お風呂の後に食欲不振や元気がないなどの異変がみられたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

内容について報告する