【獣医師監修】犬の瞳孔が開く。緑内障の症状と対処法

犬は言葉を話すことができないので、体調を崩した時は飼い主がその症状から異変を察知してあげなければなりません。重症化を防ぐためには、飼い主が病気のサインを見逃さないことが重要です。今回紹介する緑内障(りょくないしょう)も、早期発見・治療で重症化を食い止めることができる病気です。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬の緑内障の原因

犬の緑内障とは、眼球内の眼圧が上がり、網膜・視神経が圧迫されることで視覚障害を起こす病気です。

眼球内では、角膜と水晶体の間に眼房水という液体が流れているのですが、何かしらの原因により、この眼房水が通常より多くなることで緑内障を発症します。

犬の緑内障には、生まれつき異常がある「先天性緑内障」と、角膜の腫瘍やブドウ膜炎のほか、外傷的な原因で起こる水晶体脱臼などの後天的疾患によって引き起こされる「続発性緑内障」、そして遺伝的要素によって発症する「原発的緑内障」に分類されています。

犬の緑内障の症状

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犬の緑内障は、眼球内部の圧力が高まることにより、視覚障害を引き起こします。視力の低下や目の充血、眼球が飛び出しているように見えるなど、外見的な異常も生じます。また、瞳孔が開いたままになり、角膜が浮腫を起こすことで、瞳が青白く見えます。

緑内障は痛みを伴う病気なので、犬が頭や顔を触られることを嫌がったり、食欲不振や嘔吐などを起こしたりすることも。さらに症状が進行すると、視野が狭くなり、失明してしまう可能性もあります。

犬の緑内障の治療方法

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犬の緑内障の治療方法は、その原因によって異なります。

緑内障がほかの基礎疾患によって引き起こされているのであれば、その疾患の治療を行います。また、点眼薬や内服薬などの内科的治療を行い、眼圧を下げていきます。

瞳孔が開いている場合は、瞳孔を収縮させる縮瞳剤を使用するほか、眼圧が上がっていないかを眼圧計で測定し、眼圧のコントロールも行います。

視力が完全に失われて痛みだけが残っていると考えられる場合、あるいは眼圧が上昇したことにより眼球が著しく拡大した場合は、外科的手術で眼球を摘出します。

眼球の摘出後は、シリコン製の義眼を眼窩に挿入する手術を行います。初期の段階であれば、内科的治療により進行を抑制し、失明を防ぐことができるので、早期発見・早期治療がポイントになります。

犬の緑内障の予防方法

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犬の目に異常を発見した時は、すぐに動物病院に連れていきましょう。たとえば、目の充血は結膜炎などでもよくみられる症状ですが、もしも緑内障の初期症状であった場合、適切な治療を施さなければ、症状はどんどん進行してしまいます。

緑内障は、放っておくと視力を失ってしまいますが、初期の段階ではまだ目が見えています。この時点ですぐに眼圧を下げるなどの処置ができれば、失明に至ることはありません。

普段は目を気にする素振りがない犬が、しきりに目を気にするようになった時は要注意です。この時も、すぐに動物病院に連れていきましょう。

また、片目が緑内障になってしまった時は、もう片方の目も緑内障になるリスクが高まっています。そこで、健康な方の目に点眼薬を処方することで、緑内障の発症を遅らせることができます。もちろん、この点眼薬は動物病院で処方してもらい、点眼方法についても獣医師の指示に従ってください。

このように、緑内障は早期発見・治療で重篤化を防ぐことができる病気です。愛犬が大好きな飼い主の顔を見られなくなることがないように、日頃から犬の目の状態をチェックする習慣をつけましょう。

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