【獣医師監修】猫のリンパ腫について考えられる原因や症状、治療法と予防法

猫が発症する腫瘍のうちで、もっとも多いといわれているものがリンパ腫です。この病気は、カラダの様々なところから発症します。今回は、猫のリンパ腫の症状や原因、治療法や予防法についてみていきましょう。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

リンパ腫の症状

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リンパ腫とは、全身の至る所に存在するリンパ組織が腫瘍化した状態のことをいいます。

猫のリンパ腫は、猫白血病ウイルスの感染と関連があることが分かっており、型(種類)が多いのも特徴です。一般的に、縦隔型(じゅうかくがた)、多中心型、腎臓型、肝臓型リンパ腫は猫白血病ウイルスの感染率が高く、消化器型、鼻腔内型リンパ腫は猫白血病ウイルスの感染率が低いと考えられています。

猫でもっともよくみられるリンパ腫は消化管型で、次いで鼻腔内型、縦隔型などがみられます。

リンパ腫を発症した場合、命に関わるような症状や病態が出ることがあります。猫のカラダに異変が起きていないか、普段からよく観察することが必要です。

消化器型リンパ腫

腸にできるリンパ腫で、下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が現れます。

鼻腔内型リンパ腫

鼻の中に起こるリンパ腫です。顔が腫れたり、鼻血や鼻水が出たりします。

縦隔型リンパ腫

胸腔内に発生するリンパ腫のことをいいます。2~3歳の若年の猫が発症することが多いといわれ、咳や呼吸困難などの症状が現れます。

リンパ腫の原因

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先述したように、猫のリンパ腫には猫白血病ウイルス(FeLV)が深く関わっていると考えられています。中には、猫白血病ウイルスの感染が関係ないリンパ腫もありますが、猫が若くしてリンパ腫を発症する場合は、猫白血病の罹患率がとくに高いことが分かっています。

また、猫エイズウイルス感染症もリンパ腫の発生に関与していると考えられ、猫エイズウイルスに感染している猫がリンパ腫を発生する危険は、感染していない猫の5~6倍になるともいわれています。

リンパ腫の治療方法

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猫のリンパ腫の治療方法としては、抗がん剤を用いた化学療法がメインとなります。また、化学療法と組み合わせて、放射線治療が行われることもあります。

これらの治療は、半年から1年以上かけて繰り返し行われるため、獣医師としっかり相談した上で治療にあたるようにしましょう。

リンパ腫の予防方法

猫のリンパ腫を予防するためには、定期的なワクチン接種による猫白血病ウイルス感染症(FeLV)と猫エイズウイルス感染症(FIV)の予防に努めることが重要です。また、前者は口から、後者はケンカなどによりできた傷口から病原ウイルスを取り込みます。猫を家族に迎えたら、室内飼育を徹底することで、これらの要因を遠ざけるようにしましょう。

猫のリンパ腫は、命に関わる恐ろしい病気です。大切な愛猫と一日でも長く健康に暮らすために、定期的なワクチン接種と完全室内飼育を検討してください。

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