【獣医師監修】短足には理由があった! ダックスフンドやウェルシュ・コーギーの足が短い理由
ユニークな見た目が魅力の短足犬。その代表格として名高いのが、ダックスフンドとウェルシュ・コーギーです。これらの犬種は、なぜ足が短くなったのか、その理由をみていきましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
ダックスフンドの足が短い理由
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ダックスフンドは短い足に長い胴という特徴的なカラダつきをしています。ダックスフンドはかつて猟犬として活躍しており、アナグマやウサギなどを追いかけていました。これらの獲物が穴の中に逃げ込んだ時でも追いかけやすいように、いくつもの犬種を掛け合わせ、品種改良を重ねた結果、このような特徴的な体型になったといわれています。
ウェルシュ・コーギーの足が短い理由
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ウェルシュ・コーギーは、イギリス・ウェールズが原産の犬種。もともとは牧羊犬として、牛、羊、ポニーなどの家畜を追う仕事をしていました。牧場の敷地内からこれらの家畜が逃げないように、また、ほかの牧場から家畜が紛れ込んできた時にはもとの場所に追い返すために、家畜のかかとを噛んで誘導するという仕事をこなしていたといわれています。
その際、体高が高いと家畜に後ろ足で蹴られてしまう可能性があったため、当時の飼い主たちがとくに足の短い個体を選び、繁殖させたことで、現在のような胴長短足の体型になったといわれています。
短足の理由が科学的に明らかに!
これらの犬種のほかにも、バセット・ハウンド、ダンディ・ディンモント・テリア、グランバー・スパニエルなど、様々な短足犬が存在しています。しかし、これらの犬種に「短足」という特徴が現れる理由については、はっきりしていませんでした。
しかし、2009年、アメリカ人とイギリス人からなる研究チームが、短足犬種の足がずんぐりと短くなる理由についての研究を行い、その結果をアメリカの科学誌「サイエンス」に掲載しました。
この研究チームは、短足犬種95匹を含む835匹の犬を対象に、遺伝子の分析を行いました。その結果、短足犬種すべてが、FGF4という細胞増殖因子タンパク質を、ほかの犬種より多く持っていることが判明したのです。
この遺伝子が影響することで、成長を促すタンパク質が体内で過剰生産され、成長期(足の骨が伸びる時期)の早い段階で骨化が起こり、骨の伸長が止まってしまうと考えられています。
ある一つの遺伝子の変異により、このように特徴的なカラダつきの犬種が生まれ、人間がその特徴を珍重したことで、ダックスフンドやウェルシュ・コーギーなどの短足犬種が生まれたのです。
短足犬種を飼う時の注意点
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短足犬種は、その特徴的な見た目が魅力といえますが、それゆえに注意しなくてはならないこともあります。それは肥満です。
胴長短足の犬種は、一般的に足腰が弱い傾向にありますが、肥満になってしまうと足腰への負担が増大し、椎間板ヘルニアなどの病気を発症する原因となります。
また、高所からの飛び降りや急激な全力疾走、急停止なども、椎間板ヘルニアの発症リスクを高めます。日頃から足腰に負担のかかる運動を避け、滑りやすいフローリングの床にはカーペットを敷くなどの対策をしてください。
その他、肥満は糖尿病を引き起こす原因にもなりますので、愛犬のカラダへの負担を考え健康を守るため、食事管理を徹底しましょう。
ダックスフンドやウェルシュ・コーギーの足が短い理由についてみてきました。短足犬は、そのユニークなカラダつきが魅力の一つですが、健康に過ごすためには様々なことに注意する必要があります。日頃から愛犬とのコミュニケーションを大切にし、少しでも異変を感じた時はすぐに動物病院に連れて行ってください。