プレシニアから始めたいペット予防医学のススメ 第1回

プレシニアから始めたいペット予防医学のススメ 第1回

  • PR日本ペット中医学研究会

楊達(ようたつ)先生に聞きました! 健康寿命を伸ばす「中医学」に注目すべき理由

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profile 楊 達(よう たつ)1982年、中国雲南中医学院医学部卒業後、中医外科教室助手・講師に。1993年、埼玉医科大学皮膚科教室留学し、医学博士号を取得。現在、日本における中医学の普及活動に従事。幼少期に犬と過ごした体験から、「ペット中医学」に力を入れる。世界中医薬学会連合会常務理事

楊達(ようたつ)先生に聞きました!健康寿命を伸ばす「中医学」に注目すべき理由

心身の状態をコントロールすることで、ガンや生活習慣病、アレルギーなど様々な病の発症を防ぎ、健康寿命を伸ばす。そんな中国伝統の予防医学(以下「中医学」)が、いま注目を集めています。日本の漢方医学のルーツといえる「中医学」。プレシニア(5~7歳くらい)を迎えたペットたちの将来にとって大切な自然治癒力を高めていく治療の考え方を、中医師・楊達先生に聞きました。日常生活のなかで手軽に取り組むことができるノウハウ満載です!

「中医学」とは、中国4千年の歴史に裏付けされた伝統医学

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▲中医学で病気を防ぎ、健康寿命を伸ばしましょう
MountainsCreative/Shutterstock.com

「中医学」とは、中国における4千年もの長い歴史に裏付けられた、中医薬学の理論哲学と、臨床経験の蓄積に基づいています。
病気を未然に防ぎ、健康寿命を伸ばせることから、ペット医療の現場で広まってきています。

平均年齢が延びるとともに、ガンやアレルギー、生活習慣病など、様々な病気をもつペットたちが増えています。実際に深刻な病名がついてしまう前に、ちょっと元気がないかな?といった段階から、発症を予防できるとしたらどうでしょう。

中医学には、「未病先防(みびょうせんぼう)」という予防医学の考え方があります。これは、病気が発症する前の段階(未病)で、個々の体質をふまえて心身のバランスを整えていくというもの。シニア犬になってもおいしく食事ができ、元気に散歩ができ、長い時間を共に過ごせることができたら、これ以上幸せなことはないですよね。ただ困ったことに、ペットたちは言葉に出して不調を訴えることも、自分でコントロールすることもできません。

そこで大切になってくるのは、飼い主さんとペット、そして中医学の見地からサポートしてくれるペットの中医学を学んでいる獣医師との相互連携になってきます。
なかでも何といっても重要なのは、飼い主さんとペットの関係性です。今回は、日々一緒に暮らすなかで最愛のペットのために飼い主さんが取り組むことができる健康管理の3本柱「食」・「養生(ようじょう)」・「スキンシップ」についてお話ししましょう。

早く始めるほど効果大! ぜひ「プレシニア」期から!!

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▲健康管理のスタートは早ければ早いほど◎
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健康管理の方法を紹介する前に、もう1点、大切なことがあります。それは、「いつから健康管理を始めたらいいのか」ということ。ワンちゃんや猫ちゃんの一生は人間よりサイクルが早く、1歳ほどで大人になります。そして、大型犬だと2歳、小型犬や猫だと3歳の頃(人間だと23歳くらい)には身体が充実したピークの時期を迎えます。そして、7歳以上のシニアになってくると、体力も免疫力も低下し、様々な病気にかかりやすくなってくるのです。

「じゃあシニア期になってから・・・」と思うかもしれませんが、身体機能のピーク期とシニア期の間の段階、「プレシニア」期といわれる5~7歳くらいからのスタートをぜひおすすめします。元気に思える「プレシニア」期でも、すでにいろいろな病気の種となる原因が体内に少しずつたまってきているのです。この時期から中医学的な健康管理を取り入れることで、病気の発症を抑え、健康寿命を伸ばしていける可能性が十分あるからです。

基本は「食」。旬の食材を取り入れよう

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▲旬の食材をいつものフードにまぜてもOK
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健康長寿をめざす予防医学の基本となるのは、第一にまず「食」です。私たち人間も動物も、日々食べたもので身体は作られます。生きとし生けるものすべては自然界の一員ですから、自然に合った食生活が身体にいいといえるでしょう。

寒いときや暑いとき、湿度や気候の変化によって、健康のバランスはくずれやすいもの。そこで取り入れたいのが、四季折々の季節に応じた旬の食材です。冬は身体を温めたり、冷えを追い出すもの、夏は身体を潤したり、熱を冷ますものなど、人間と同様ペットたちも食事でとるといいでしょう。旬の食材は、体が求める栄養があるばかりでなく、様々な病気の原因となる体内にたまった老廃物などをデトックスする役割もあります。いつも与えているフードに、旬の食材をトッピングするだけで簡単な手づくりごはんになります。

これから迎える梅雨や夏の時期は、食欲不振となるワンちゃんや猫ちゃんも多いでしょう。疲労回復させ、水分の滞りを排出するかつお。体にこもった余分な熱や水分の滞りを排出するきゅうり。気の巡りをよくするしそを少量。など加えてみてください。
食材は火を通し、年齢や体質、体調の変化に合わせて、サイコロ状にする、細かく刻む、ペーストするなど配慮しましょう。

「養生」のために、五感を使ってペットの体質チェック

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▲日ごろから見守って、小さな変化も見逃さないで
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食事の次に日ごろから注意し、観察してもらいたいのは、ペット自身の体質とその変化です。先天的なものもありますが、環境や生活習慣によって変わってきますので、続けて見ることが重要。プレシニアになる以前、若く活発なうちから見守ってあげてください。その健康チェックに役立てていただきたいのが、「プチワンニャンドック」です。

元気のあるなし、舌の色、食欲、睡眠、尿や便などの項目から当てはまるものをチェックするだけで体質の診断が可能になりますので、定期的に行ってみることをおすすめします。

診断結果で出たグラフによって、元気不足の「気虚」タイプや、熱がこもる「実熱」タイプなど体質がわかるのですが、中医学ではそのバランスを整えることを目指します。同時に表示される食事や運動などの改善法で、乱れているバランスを整え、健康&長命をはかる「養生」を心掛けてあげましょう。

ストレス解消「マッサージ」でスキンシップ

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▲お腹の調子を整えたいときは【足三里(あしさんり)】、体内の寒熱のバランス整え、イライラをなだめるには【大椎(だいつい)】、夏バテ対策や疲労回復には【腎兪(じんゆ)】と【命門(めいもん)】をマッサージしてあげましょう

最近興奮しやすい。眠りが浅いようだ。そんなワンちゃん、猫ちゃんたちの多くは、ストレスを抱えている場合があり注意が必要です。人間とは違って自発的な気分転換ができないペットは、飼い主さんの性格や環境によって、心身のバランスが崩れやすいもの。ペット中医学では、リラックスした状態を外からの適度な刺激によってつくる、「マッサージ」によるスキンシップをおすすめしています。

人間と同様、動物たちにも「経絡(けいらく)」という体の情報を伝える道が全身にあります。その道に沿って飼い主さん自らマッサージしてあげることで、愛情と身体の情報を交換できると同時に、ペットのストレスや食欲不振などのプチ不調も解消。身体の変化をすみやかに発見できるのもメリットです。例をあげれば、ワンちゃんに多い椎間板ヘルニアなどもマッサージで触ることで、日ごろ抱えていた痛みを見つけることができます。異変があれば動物病院に相談しましょう。適切な早期治療に繋がります。

何事もバランスが大事。未病改善を目指そう

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▲少しでも長く、一緒に健やかに
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中医学は「調節医学」、「バランス医学」とも言われ、病の患部だけでなく身体全体を見る医学です。病気を治すことはもちろん、中医学は身体全体のバランスを整えることで、体質そのもののバランスを整えることを目指します。病気になってから対処するのでなく、プレシニアあたりから現れてくる健康と病気の間の状態「未病」を改善してコントロールします。「うちのコ、ちょっといつもと違うかな」という段階で一度、ペットの中医学を学んでいる獣医師に相談することも選択肢の一つです。未病改善を医学的見地からアドバイスし、ペットと笑顔で過ごせる時間が長く続くよう応援してくれます。

◎ペットたちの健康寿命を伸ばす中医学。いかがでしたでしょうか?ご意見・ご 感想などをお聞きしたいので、ぜひアンケートにお答えください。

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