【猫びより】【Chats à Paris】パリで猫散歩 横井一夫（辰巳出版）

Pilou エレガントな看板レディー 6区のピルー（♀）

セーヌ川の南、歴史深いリュクサンブール公園近くに、可愛いアンティック・ドール店がある。「猫なしの人生なんて」とおっしゃる店主・フランソワーズさんの長い人生はずっと猫と一緒。

猫散歩の後はエッフェル塔に！

現在の看板猫ピルーも、10年前子猫の時に南フランスから保護してきた。以前は店内の椅子でツメを研ぎ、店主にダメダメ！ と言われたけれど、近頃は落ち着き、そんなことも少なくなったよう。

夢を誘う優雅なウィンドーで、さっきまで居眠り

ちょっと神秘的なアンティック・ドールの魅力に負けない美貌のピルーは、気が向くとショーウィンドーで人形たちに混じってくつろぐ。

通りかかった観光客が思わず立ち止まり、ウィンドウ越しに声をかけ、スマホでピルーを写すことも。撮られるピルーは自分の魅力を知ってか否か、動じることなく落ち着いている。

メトロのホームに粋なポスター

パリ市内で度々見かける「猫探し」

ラ・メゾン・ド・プペ

La Maison de Poupée
40.rue de Vaugirard 75006 Paris

Milou 気軽なカフェの人気者 10区のミルー（♀）

パリ北東地区、夏になると賑わいを増すサン・マルタン運河沿いの舗道から、少し東へ足を進めると赤い外観の気どらないカフェがある。

カフェもビールも、晴天なら外で一杯

店猫の噂を聞いて訪ねたものの姿が見えず、そろそろ諦めようかと思っていたら……おや！ 店の奥から登場し、歩み寄って来てくれました。

趣のある床のタイルが、店の歴史を物語る

店のスタッフといつもの場所でハイ・ポーズ！

年季の入った店内にふさわしく、イイ感じに歳を重ねた容姿の猫は、慣れた動作でひょいとカウンターに上ると、親しげな視線をカメラに向けてくれた。

常連のカフェ客も、昼からビールのムッシュも「ミルー！」「ボンジュール」と代わるがわる声をかけていく。
ミルーの喉をスリスリ指で触れさせてもらうと、満足げに眼を細めつつ、今にも寝てしまいそうに穏やかそのもの。長年色々な客に接してきた、余裕のキャリアを深く感じたのだった。

ル・カリヨン

Le Carillon
18.rue Alibert 75010 Paris

Minou よろずマーケットの看板猫 18区のミヌー（♂）

パリ北部、真っ白なサクレクール寺院を頂に持つモンマルトルの丘の坂道。日用品から食品までを小ぢんまりと取り揃えたマーケットがある。

近所の人々にとって、その便利さはもちろん、この店の人気のもう一つの理由は、茶トラの看板猫ミヌーの存在。

静かな昼下がり、丘の斜面にある店の前で

数年前に一度、ミヌーが所在不明になり、ネットで捜索願いを発信。

その甲斐もあり、幸い観光客の少女が発見し、無事帰還できたのは良かったものの……その後もミヌーの安否を尋ねる声が絶え間なく続き、しばらくは商売も手につかなかったとのこと。

今日もカメラで近所の人に迫られました

現在15歳になったミヌーは、相変わらず気ままに町内の路地で時を過ごすことが多いが、そろそろ熟年のせいもあってか、近頃は店の奥でスヤスヤ寝ている時間も増えたとか。

店番？ ネズミ番？ というよりアイドルかな？

シティス・マーケット

Sitis Market
10. rue Burq 75018 Paris

Mew 箱入りパリジェンヌ猫 11区のミュウ（♀）

メイン・クーン種の美しい猫を紹介してくれたのは、パリ在住の友人。

その息子さんと同クラスのご子息を持つ、ママ友コリンヌさんのアパルトマンを訪ねてビックリ、ファッションに携わるご一家らしく超オシャレ！ そのインテリアにピッタリの容姿で待っていてくれたのが、ミュウ。

白を基調としたオシャレな室内はミュウのステージ？

フランスでも大人気の日本のアニメ「ポケットモンスター」の一員から名前を拝受。現在では息子のイザック君を筆頭に、揃って動物好き一家の大切なお嬢さまです。

もうすぐ息子さんも帰宅、遊具で楽しむ午後

「ミュウは撮られるのが大好きみたいで」と、コリンヌさんの言うとおり。初対面の来客が向けるカメラにも、ためらうコトなし。むしろ、微妙に表情を変えポーズを決めてくれました。

ハイチーズ！ ビューティフルなツーショット

今回パリで出会えた猫たちの最年少、3歳のミュウとご家族に幸あれ！

Photo & Text by Kazuo Yokoi

Kazuo Yokoi
写真家。名古屋市在住。写真集『イタリア 猫の日曜日』（風媒社）、『猫のモンマルトル』『猫の寝返り』（書肆 壷中天）が好評発売中。