【獣医師監修】チワワの歯について。乳歯遺残に要注意!
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【獣医師監修】チワワの歯について。乳歯遺残に要注意!

人間同様、犬の歯も乳歯から永久歯に生え変わります。この生え変わりがうまくいかないと、歯のトラブルを引き起こしてしまうことも…。今回は、チワワの歯について解説していきます。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

チワワの歯の本数と生え変わりについて

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チワワに限らず犬の歯は、人間と同様、乳歯から永久歯に生え変わる段階で本数が変わります。仔犬時代の乳歯は、上顎と下顎ともに切歯6本、犬歯2本、前臼歯6本、後臼歯0本の14本ずつで計28本の歯が生えています。それが、成犬になり永久歯が生え揃うと、上顎が切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯4本の20本で、下顎は切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯6本の22本の計42本の歯になります。

もちろん、生まれたばかりの仔犬には歯が生えていません。生後3週間ほどしてから乳歯が生え、生後7ヶ月の頃には永久歯に生え変わります。

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通常、乳歯は永久歯が生える前に抜けますが、まれに永久歯が生えても乳歯が抜けずに残ってしまうことがあります。これを乳歯遺残(にゅうしいざん)と呼びます。この乳歯遺残が、厄介な事態を招くことがあります。

チワワの乳歯遺残と歯並びについて

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乳歯遺残になると、歯並びが悪くなり、不正咬合(正しいかみ合わせができない状態)が起きやすくなります。チワワ以外にも、トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンドなど小型犬に多い症状で、とくに犬歯は歯根が深いことから遺残が生じやすくなっています。

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乳歯遺残がもたらす問題は、不正咬合だけではありません。重なるように生えた2本の歯の間に歯垢や歯石が溜まりやすくなり、歯みがきもしづらくなることから、歯周病など、歯のトラブルを起こすリスクが高くなります。

乳歯遺残をそのまま放置した場合、後になって自然に乳歯が抜けることもあります。しかし、乳歯遺残は歯並びに影響するため、すでに永久歯が生えてきているようであれば、早めに動物病院で抜いてもらった方がいいでしょう。

チワワの歯のトラブルとその対策

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乳歯遺残により歯垢が溜まりやすくなると、歯周病を発症するリスクが高まります。歯周病は、歯周組織の炎症を引き起こす病気です。軽度のものを含めると、3歳以上の犬のうち80%が歯周病を患っているといわれています。

歯周病というと、歯肉の炎症や出血、口臭、歯肉が痩せて歯がぐらつく、といった「口の中で起こる症状」という印象があるかもしれません。しかし、歯肉の炎症にとどまる歯肉炎とは違い、歯周病は歯周ポケット深くに入り込んだ細菌が血管を伝って全身に広がり、臓器にまでダメージを与えてしまうことがわかっています。

また、犬のように痛みをあまり訴えない動物が歯周病を患うと、飼い主が気づかないうちに症状が悪化し、ある日突然顔の皮膚に穴があいて歯根に溜まっていた膿が排泄されたり、細菌により顎の骨が溶かされ、骨折してしまうこともあります。

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乳歯遺残や、それにより引き起こされる歯のトラブルを防ぐためには、仔犬の頃から歯みがきの習慣をつけておくことが大切です。
歯みがきを習慣にすることで愛犬とのコミュニケーションをはかれるほか、口の中の異常をすぐに発見できるという利点があります。乳歯遺残になった場合も、早期に発見できれば後の治療が楽になりますよ。

チワワは世界最小の犬なので、顎も当然ミニサイズ。顎が小さい分、歯のトラブルを起こしやすい犬種なので、仔犬の頃からしっかりと予防を心がけましょう。

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