「猫」の語源は「寝子」だけじゃない? 様々な「猫」の由来
私たちが普段何気なく使っている「猫」という言葉。その語源を知っていますか? よく寝るから「寝子」に由来するのでは? などと言われていますが、どうやらそれだけではないようですよ。「猫」の語源や、お馴染みの猫ネーム「タマ」の由来などについて解説します。
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「猫」の語源は?
平安時代の古い書物をひもとくと、猫はもともと「ねこま」と表現されており、時代が進むにつれて「ま」がなくなって「ねこ」になったことがわかります。「ねこま」がそもそもどういう意味だったのかについては諸説ありますが、一番よく知られているものとしては、猫のよく寝る習性から「寝(ね)」という字に、その姿から「熊(くま・こま)」、または、「寝」「子」と動物を意味する「獣(ま)」が合わさって「ねこま」という言葉になったのではないかという説があります。
また、「鼠」の「ね」と「神(こま)」が合わさって「ねこま」になったという説もあります。猫は日本では昔から鼠捕りとして大切に扱われてきた動物なので、害獣の鼠から大切な食料や書物を守ってくれる守り神のような存在として、そのような呼ばれ方をしていたのかもしれません。または、鼠を好んでよく獲ってくること、鼠を狙ってジッと待っている姿から、「鼠好(ねこ)」「鼠子待(ねこま)」となったという説もあります。
なお、昔の日本人は猫の鳴き声を「ねうねう」と表現していました。このことから、鳴き声の「ね」に愛称の「子」をつけて「ねこ」になったという、さらに別の説もあります。これは現代で言うところの「ニャンコ」や「ワンコ」と同じ発想なので、なんだか親しみが持てますね。
猫の名前の代表格「タマ」の由来は?
一方、猫に付ける名前として、日本で一番有名なのは「タマ」ですが、「タマ」の由来を知っていますか? こちらにもいくつかの説があるので紹介しましょう。
日本では、米作りの発達とともに弥生時代から猫が飼育されていましたが、この日本猫とは別に、中国から観賞用の猫として「唐猫(からねこ)」が輸入され、大ブームとなった時代がありました。当時の人々はこの「唐猫」を家宝のように丁重に扱ったため、宝石を意味する「玉」と名付ける人が多かったそうです。
また、猫が神秘的な力を持った存在として扱われてきた時代のなごりとして、「魂(たま)」「霊(たま)」と名付けられていたとする説もあります。
いくつかの説はありますが、「タマ」という名前は昔から猫の名前として一般的なものでした。そんな中、江戸時代に豪徳寺というお寺の和尚さんが、お寺で飼っている猫をモデルにして日本で初めて招き猫の置物を作りました。このモデルとなった猫の名前が「タマ」だったことから、招き猫の流行とともに「タマ」という名前がさらに日本全国に知れ渡り、人気となっていったようです。
私たちの身近な存在である猫も、歴史をひもといていけば意外な事実がわかってきます。100年後、200年後には、猫はなんと呼ばれているのでしょうか? そんな未来の想像をするのも楽しいですね。