【獣医師監修】犬の歯石 考えられる原因や症状、治療法と予防法

最近、愛犬の口の匂いが気になる…もしかしたら「歯石」がたまっているかも。正しいケアで、クリーンな口内環境を保ちましょう。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

歯石がたまる原因は

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歯石とは、細菌の堆積物である“歯垢”が固まったもの。歯垢そのものは柔らかく、歯磨きで除去できますが、2、3日経過すると歯石化。いつもの歯磨きでは取り除けない硬さになります。一度、歯に歯石が付くと、歯垢が付きやすくなり、さらに歯石が発生しやすい状態に。歯石の層は次第に厚くなっていきます。「愛犬が歯磨きを嫌がるので、いつも簡単に済ませてしまう」、「面倒なので歯磨きはついついさぼりがち」…そんな状況なら、口腔内に残った歯垢がどんどん歯石化している可能性があります。

歯石ってどんなもの?

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愛犬の口が臭ってきたら、口の中をのぞいてみてください。歯が黄色み・茶色みを帯びたり、ザラッとした固まりが歯に付着していませんか。それらが歯石です。犬も人間と同様、白い歯とピンクの歯茎、キレイな息が、健康なお口のバロメーター。「いつの間にか歯石だらけになっていた」なんてことにならないよう、普段から愛犬の口内をよくチェックし、お手入れしてあげましょう。

歯石除去はスプレー薬剤利用? 麻酔処置?

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歯石を放置しておくと、歯肉炎のほか、さまざまな病気をもたらす歯周病などの原因に。愛犬の健康を守るために、歯石を取り除く必要があります。歯石のたまり具合が比較的軽めなら、スプレータイプの専用薬剤による除去が可能です。獣医師に相談した上で、試してみましょう。薬剤を口腔内に直接かける、または薬剤を噴射した布で歯をこすります。ただし、即効性はなく、歯石がとれるまでに数ヶ月要する場合もありますので、根気よく続けてください。また、ペンチやスケーラーといった専用器具を使い、歯石を削りとる方法もありますが、口腔内を傷つける恐れがあるため、飼い主自らが行うことは避けた方がよいでしょう。

歯石のたまり具合がひどい場合は、迷わず動物病院へ。全身麻酔による歯石とりを受けましょう。麻酔に抵抗がある飼い主さんが多いようですが、犬が受けるストレスや処置中の安全性を考慮すれば、ベストな方法と言えるでしょう。歯石除去だけではなく、獣医師による口腔診断が受けられ、さらに疾患が見つかった場合は治療まで施してもらえるので安心です。飼い主としては、値段がいくらぐらいかかるのか、気になるところですね。基本料金は病院によって異なり、2〜5万円で設定されていることが多いようです。なお、犬の健康状態や体力、年齢によっては麻酔を使用できない場合もあり、獣医師の判断によってそれぞれ適切な処置がとられます。

ガム&歯石とり頼みはNG、歯石の予防方法

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次々と登場する歯石予防グッズやデンタルケアサービス。「いつも歯石予防ガムを与えているから大丈夫」なんて思っている飼い主さんはいませんか? 歯石予防は、ガムだけでは不十分。丁寧な歯磨きを実践し、歯石の元となる歯垢をきれいに取り除くことが基本です。

なかには「ペットサロンの歯石とりサービスをときどき受けているから」と、普段の歯磨きをおろそかにしている飼い主もいるとか。一見キレイな歯でも、歯肉炎がひそかに進行しているかもしれません。お口の健康を保つには、とにかく歯石そのものを発生させないことが大切であり、歯石がついてしまっている場合は見た目にとらわれずに確実な処置を迅速に行うことが重要です。

犬も高齢化の時代。愛犬がシニア世代になっても、お口のトラブルなく、元気に過ごせるよう、子犬のころからきちんとした歯磨きを習慣化しておきたいものです。

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