ペキニーズってどんな犬? 歴史やカラダの特徴について

可愛らしいつぶれた鼻と、豊かな被毛がトレードマークのペキニーズ。日本では少し珍しい犬種かもしれません。ここでは、ペキニーズの歴史と特徴について、みていくことにしましょう。

  • サムネイル: PECO編集部
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ペキニーズの歴史

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ペキニーズの起源は定かではありません。チベタン・スパニエルが祖先と考えられており、シルクロードなどの交易ルートを通じて中国に伝わったものであると、推測されています。この犬の最古の記録は、8世紀頃のもので、宗や元の時代の飼育記録も残っていることから、少なくとも1000年以上の歴史があると考えられます。ただし、犬種としての成り立ちは、それよりもはるか昔の紀元前であるといわれています。名前の由来は、原産地である中国の都市「北京」からとられています。

ペキニーズは、中国の宮廷内のみで飼われ、皇帝と皇族以外の飼育が禁止され、宮廷外に持ち出した者は死刑に処せられていたそうです。その容姿から「獅子犬」、「太陽犬」などと呼ばれ、とても神聖な犬として扱われてきました。その後も西太后が定めたとされる犬種標準にしたがって、宮廷内でのみ繁殖が行われていました。

魔よけの力があるとされていたペキニーズは、皇族の葬儀の際に、柩を率いて墓へと先導するという役割が与えられており、1911年に西太后の葬儀が行われた時に、モータンという名前のペキニーズが、柩を先導したことは有名な逸話となっています。

門外不出のペキニーズでしたが、その運命が大きく変わる出来事が起こります。1840年のアヘン戦争において、イギリス軍に侵略された中国。その際、宮廷内のペキニーズがイギリスの手に渡ることを避けようとした皇族たちは、自らの手でペキニーズのほとんどを殺してしまったのです。イギリス軍が宮廷内に侵入し、皇帝の叔母の居室を調べたところ、叔母の死体と、生きた5匹のペキニーズが見つかったそうです。残ったペキニーズは、戦利品としてイギリスへと持ち帰られ、ビクトリア女王に献上されることになりました。犬好きだったビクトリア女王はこれを繁殖し、王族や貴族だけがペキニーズを飼うようになります。このたった5頭が、後のヨーロッパにおける、ペキニーズの基礎犬となるのです。

1893年、ペキニーズは初めてドッグショーに登場。鼻ペチャの愛くるしい表情は、たちまち人気となりました。東洋的な風貌と、個性的な性格は人々に受け入れられ、世界各地で愛玩犬として飼われるようになりました。現在日本では3000頭を超えるペキニーズが飼育されています。

ペキニーズのカラダの特徴

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外観はコンパクトで、バランスのとれたカラダつきとなっています。ペキニーズは体高が20㎝前後と小さいのですが、持ち上げてみると想像以上に重量感のある犬です。これは小型のわりに骨量が豊富で、カラダが頑丈なためで、ペキニーズの特徴の一つといえます。理想体重は、オスが5kg、メスが5.4㎏をそれぞれ超えてはならない、と定められています。

ペキニーズは、豊富な量の被毛が大きな特徴です。真っすぐで長めの上毛と、分厚い下毛の二重構造となっており、ふわふわとしたその姿でカラダを揺らしながら歩きます。可愛らしさと、優雅さと、貫禄を併せたような独特の雰囲気を持っています。飾り毛が多いのも特徴で、首から胸にかけての飾り毛は見事です。その他に、耳、尻尾、胸、指、足の後ろにも長い飾り毛が生えています。

毛色は、限定されていないので、様々なカラーの個体が存在しています。ただし、アルビノ(色素欠乏)とレバーについては認められていません。

ペキニーズの顔の特徴

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ペキニーズは短頭種といわれる犬種で、鼻は短くつぶれているように見えます。大きな目をしており、被毛は豊富ですが、顔の毛量は少なく、目にかかることはありません。

愛くるしいルックスとは裏腹に、ペキニーズの辿ってきた歴史は、高貴かつ過酷なものでした。歴史や特徴を知ることで、犬のことをより理解し、強い絆を築けるように心がけていきましょう。

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