【獣医師監修】猫にチョコレートは食べさせてはいけません! チョコの有毒性について

猫にとってチョコレートは、大きな害を与えてしまう代表的な食べ物です。絶対に猫にチョコレートを食べさせてはいけません。ここでは、なぜチョコレートが猫に良くないのか、もし、口にしてしまったら、どう対処するべきかを紹介していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫にチョコレートが危険な理由

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チョコレートには、「デオブロミン」という物質が含まれています。これは、カカオの由来の苦み成分で、カフェインとよく似ています。デオブロミンの主な効果は、脳や呼吸を興奮させる、利尿作用、心臓の活発化、平滑筋の弛緩といったものがあり、人間が摂取すると、いわゆる「覚醒効果」を得ることができます。これもカフェインの効果とよく似ています。

人間の場合は、これらの覚醒効果は、興奮成分の分解と共に収まっていきますが、猫の場合は、このデオブロミンを素早く分解することができません。その結果、中枢神経にダメージを負ってしまうのです。

このデオブロミンは、カフェインを肝臓で分解する過程でも生じるといわれています。ですから、チョコレートに限らず、カフェインを含んだ食べ物や飲み物も猫に与えてはいけないことになります。

チョコレートの中毒症状と致死量

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中毒症状

猫が、チョコレートを食べてしまった時に起こす中毒症状には、以下のようなものがあります。

●嘔吐・下痢
●息切れ
●尿の増加
●排尿障害
●筋肉の震え
●脱水症状
●興奮状態

一般的に、症状はチョコレートを食べてから4時間以内に現れるといわれています。もし、猫がお腹を空かせた状態でチョコレートを食べてしまったら、消化吸収が活発なために発症を速めてしまうこともあるそうです。症状は3日から数日続くこともあり、摂取したデオブロミンの量によっては、突然死を引き起こすケースもあります。

致死量

猫がデオブロミンを摂取した場合の致死量は、体重1kgあたり250~500㎎といわれています。たとえば、体重が3.0㎏の猫の場合、750~1500㎎のデオブロミンを摂取すると、死亡してしまう可能性があるということです。

市販されている普通の板型のミルクチョコレートの場合、100gあたり155㎎程度のデオブロミンが含まれています。板チョコの一般的な重さは50gほどなので、丸一枚食べても致死量には届きません。しかし、チョコレートの種類が変わると、デオブロミンの含有量も変わってきます。

たとえば砂糖を含まない、パン用のベーキングチョコレートの場合、100gあたり1300㎎ものデオブロミンが含まれています。また、香りの高いビターチョコレートはカカオを豊富に含んでいるため、猫にとってはミルクチョコレートよりも有害であるということになります。さらに、チョコではありませんが、ココアもカカオを原料にしたものなので、猫には同様に危険なものであると理解しておきましょう。それが原因で死亡してしまう可能性があるということを把握し、猫が絶対に口にすることがないように気をつけてください。

猫がチョコを食べた時の対処法

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それでも猫が誤ってチョコレートを食べてしまった時は、すぐに対処が必要です。まずは、猫にチョコレートを吐き出させましょう。人間の指や綿棒を使って、舌の奥を刺激することで、吐き出させることができます。この吐き戻しが有効な時間は、食後30分から1時間といわれています。それまでに吐き出せれば、命が助かる可能性が高まります。

その後、速やかに動物病院へ連れていきましょう。正しい処置をするためには正しい情報が必要なので、獣医師に対してチョコレートを食べた量、時間、チョコレートの種類を正確に伝えてください。

チョコレートは、猫にとって恐ろしい食べ物です。普段から猫の目に入らないように、しまっておくことをおすすめします。

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