猫のおしっこが多い。慢性腎臓病の原因と対策

最近、猫がよく水を飲む。おしっこの量や回数が増えている。そんな時は、もしかしたら慢性腎臓病かもしれません。腎臓の機能が破壊される慢性腎臓病は、猫の命に関わる恐ろしい病気です。正しい知識を身につけることで、早期発見・早期治療に努めましょう。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

慢性腎臓病の病態と病状

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猫の慢性腎臓病とは、腎臓が慢性的に機能不全に陥った状態のことをいいます。猫の慢性腎臓病は、気がつかないうちにゆっくりと進行します。腎臓が徐々に炎症を起こして線維化し、腎機能が衰え、最終的には機能しなくなります。

この慢性腎臓病は、高齢の猫に多くみられます。7歳を過ぎた頃から発症のリスクが高まり、年齢が進むにつれて発症率も上がっていくといわれています。

慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病の症状は以下の通りです。

●多飲多尿(水をよく飲み、おしっこの量や回数が増える)
●食欲不振
●毛艶が悪くなる
●嘔吐
●元気消失

上記のような症状が出る頃には、腎臓の7割近くが機能を失っていることが多いです。また、腎臓は赤血球を作らせるホルモンを分泌していますが、慢性腎不全になるとそのホルモンの分泌量が減るために、貧血を起こすこともあります。そのほかにも、高血圧を起こすことにより、眼底出血がみられることもあります。

慢性腎臓病の末期になると、尿として排出するはずの老廃物がカラダに溜まることで、痙攣を起こしたり、昏睡状態に陥ったりするケースもあります。最終的に腎臓がまったく働かなくなると、尿は一切作られず、おしっこが出なくなります。

慢性腎臓病の原因

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じつは、猫が慢性腎臓病になる原因ははっきりとわかっていません。人間の場合、腎臓病になる原因として塩分の取り過ぎや糖尿病などが挙げられますが、猫の場合は規則正しい食事をしていても、腎臓病になってしまうことが少なくありません。

一説には、もともと砂漠で暮らしていた猫は、水分を有効に使うために尿を濃縮して排泄しています。それが原因で、犬よりも腎臓に負担がかかりやすいのでは、といわれていますが、実際のところはよくわかりません。

急性腎臓病から慢性腎臓病に移行しやすい

2016年、東京大学の研究グループが、猫の慢性腎臓病の遠因としてAIMの不活性化が関連しているという研究結果を発表しました。

AIMとは動物の体内に存在する特殊なたんぱく質のことで、人間やマウスの腎臓機能が低下した場合には、このAIMが活性化することで尿細管のゴミを取り除き、腎機能を改善します。しかし、猫の場合に限り、腎臓機能に障害が起きてもAIMが活性化せず、そのまま慢性腎臓病に移行してしまうケースが多いことがわかっています。

慢性腎臓病の治療法と予防方法

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治療法

慢性腎臓病は治る病気ではありません。そのため、症状を和らげたり、病気の進行をできるだけ遅らせたりするための治療がおもになります。

具体的には、脱水や嘔吐に対する対症療法として、内服や輸液を行ったり、療法食を与えたりします。また、近年では、腎臓に直接作用して慢性腎臓病の進行を遅らせる効果がある薬が発売されました。

人間同様の「血管透析」と、腹膜にチューブを挿して透析液を入れ、浸透圧で老廃物を引き寄せて流す「腹膜透析(ふくまくとうせき)」もありますが、血管透析の設備を持っている病院は少なく、費用も高額なため、継続して行うことは大変困難です。

腹膜透析は、一般的な動物病院でも治療を受けることができ、血管透析と比べると費用も抑えられますが、猫が腹部にチューブを入れたまま生活しなければいけないため、感染症のリスクがあります。また、チューブをいじらせないようにエリザベスカラーなどを装着する必要があるので、猫にストレスがかかります。

大学病院などでは腎臓移植を行っているところもありますが、健康な腎臓を提供してくれるドナー猫をどうするかといった問題もあるため、不可能ではありませんが、現実的には難しいでしょう。

予防方法

残念ながら、猫の慢性腎臓病にはこれといった予防方法がありません。定期的な健康診断や体重測定、ワクチンの接種などで、愛猫の健康状態をしっかりと把握し、早期発見を心がけること、栄養バランスの考えられた、腎臓への負担が少なく消化吸収の良い食事を与えることが重要です。

猫の慢性腎臓病は、一度発症してしまうと生涯付き合っていかなくてはいけない病気です。愛猫につらい思いをさせないためにも、健康管理の徹底と早期発見に努めましょう。

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