【獣医師監修】猫があくびをする理由とその心理について

猫が日向であくびをしているのは、何とものどかな風景です。しかも、猫は人間よりもあくびを多くする動物です。人間は眠くなった時や、退屈な時にあくびが出てしまいますが、じつは猫のあくびにはいくつかの理由があります。そこで今回は、猫のあくびについて解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫があくびをする理由

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そもそも、あくびはなぜ出るのでしょうか? これは人間も同様ですが、あくびをすることで脳に酸素を取り込もうとしているからです。酸素が脳に入ることで脳が活性化されることから、あくびをしているというわけです。よって、眠い時というのは脳の動きが鈍くなってきているので、あくびをすることで脳に酸素を入れて、頭とカラダを目覚めさせようとする生理現象と考えられています。

しかし、猫は眠い時や退屈な時だけにあくびをするわけではありません。ここからは、あくびの種類別にその理由をみていきましょう。

目を閉じてするあくび

これは、猫が眠くなっているというサインです。寝ようとしているのになかなか寝付けなかったり、飼い主の夜更かしに付き合ったりして、眠いのに頑張っている時に出るあくびです。このようなあくびをしている時は、静かに猫を寝かせてあげましょう。

目を開けてするあくび

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逆に、目を開けてするあくびは、猫がストレスを感じている可能性があります。というのも、猫はストレスがたまってくると、緊張をほぐすために普段取らないようなあまり意味のない行動…「転位行動」と呼ばれる行動を取ります。

たとえば、猫が飼い主に怒られてびっくりして何かの拍子で物にぶつかってしまい、何かを壊してしまったとしましょう。その時の猫は、「怒られた」「物を壊した」というストレスに耐えられずに、それらのことを忘れようとあくびをします。飼い主が怒ったあと、目を開いてあくびをしていたとしたら、猫は相当なストレスを感じている証拠ですので、ストレスのかからないようなしつけに切り替えた方がよいでしょう。

寝ている時のあくび

猫が眠っている時は可愛くて思わず触りたくなってしまいますが、その時にあくびをしたとしたら、それは「起こさないでください」という意味です。まどろみの中であくびをしているのではなく、若干怒ってあくびをしているので、寝ている猫はそっとしておいてあげましょう。

寝起きのあくび

寝起きの猫がするあくびは、これから目を覚まそうとしてするあくびです。寝ている間は脳の酸素量が少なくなってしまうため、脳に酸素を送るためにあくびをします。朝や昼寝のあとに猫があくびをしている時は、これから活動を開始する合図となります。

ちなみに、寝起きに大きなあくびをしたあと、猫は前足を顔の前へ出し、肩を沈めておしりを上げながら背伸びをします。そのあとに背中を丸め全身の筋肉をほぐすのですが、この動きはカラダのリラックスにつながる動きとして、ヨガにも取り入れられています。

飼い主がかまってあげられない時のあくび

猫が飼い主に近寄って来たのに、飼い主の事情でかまってあげられない時に、飼い主から離れていた猫があくびをすることがあります。これは、かまってもらえなかったことに対する不満を示すあくびです。猫の甘えの行動である“もみもみ”(ふみふみ、ともいいます)を無視した時のあくびも同様で、「甘えさせてほしい」と伝えてきているので、何とか時間を取ってコミュニケーションをとるようにしましょう。

このように、猫のあくびにはいろいろな意味があります。眠い時のあくびや寝起きのあくびは仕方ありませんが、それ以外のあくびは飼い主とのスキンシップ不足やストレスが招いているあくびです。猫がこのようなあくびをしている時は、飼い主として猫のストレスを和らげ、少しでも長く猫と遊んであげましょう。

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