【獣医師監修】気をつけたい猫の目の病気。結膜炎、角膜炎、白内障、緑内障について
猫の病気については、飼い主として知っておく必要があります。今回は、猫の目の病気4種類について、症状や原因、治療法を解説します。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
結膜炎
結膜炎とは、眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている「結膜」という粘膜が、炎症を起こしてしまう病気です。
主な症状
●目をこすろうとする
●床や壁に目をこすりつける
●白目の充血
●まばたきが多くなる
●目やにや涙が多くなる
●結膜が腫れる
結膜炎にかかると、猫は目にかゆみや痛みなどの違和感を覚え、目をしきりに気にするようになります。また、目の周りが常に濡れているようになったり、目を細める仕草をするようになります。
いずれも飼い主が気づきやすい症状なので、様子がおかしいと思ったら動物病院へ連れていきましょう。
原因
●異物の侵入(ゴミ、シャンプー、花粉、粉塵など)
●感染症
●免疫介在性疾患・アレルギー・涙の減少など
結膜炎が片方の目だけに発症した場合は、異物の侵入など、物理的なものが原因となっている可能性が疑われます。また、両方の目に発症した場合は、ウイルス感染などが原因となっている可能性が高いです。しかし、ウイルス感染などでも片目にしか症状が発症しないことがあったり、左右で発症の時期がズレたりすることもあるので、思い込みは禁物です。
治療法
原因に応じて抗炎症剤、抗生物質、インターフェロンなどの点眼薬を使用します。また、目を気にして掻いてしまうと症状が悪化したり、眼球に傷をつけてしまうこともあるため、エリザベスカラーを装着して目をいじれないようにする必要もあります。
角膜炎
角膜炎は、黒目の表面を覆っている、角膜という透明な膜に炎症が起こっている状態をいいます。
主な症状
●目をまぶしそうに細める
●目をこすろうとする
●まばたきが多くなる
●涙が多くなる
●角膜が白く濁る
●角膜に細い血管が見える
結膜炎と同じように、猫がしきりに目を気にするようになります。角膜が白く濁っている時は、深めの傷ができている確率が高いです。すぐに獣医師の診察を受けましょう。
原因
砂やほこりなどのゴミ、自分でこすってしまう、ケンカなどによって角膜に傷がついてしまうことが原因です。また、ウイルス感染や、涙が少ないことが原因で発症する場合もあります。
治療法
軽度の場合は消炎剤や抗生剤などの点眼薬による治療を行いますが、重度の場合では定期的な注射や、ペット用のコンタクトレンズの装着(保護を目的とします)が必要になることもあります。
症状がさらに重篤な場合は、角膜にへばりついた上皮の除去、角膜表層の切除、角膜移植などの外科手術が行われる場合もあります。
白内障
白内障は、眼球内にある水晶体が白く濁ってしまった状態のことをいいます。白内障とよく似た外観になる「核硬化症」という病気がありますが、これは加齢による水晶体の硬化や白濁であり、通常視力を失うことはないため治療は必要ありません。
主な症状
●瞳孔の奥が白く変色する
●障害物にぶつかるようになる
白内障になり、視力が低下してくると、不安からよく鳴くようになったり、攻撃的になったりすることもあります。
原因
●先天性(遺伝)
●後天性(原発性、外傷、他の眼疾患から続発、他疾患から続発)
ペルシャやヒマラヤンでは、遺伝が関与したと考えられる白内障の報告例があります。また、ブドウ膜炎や緑内障など、ほかの眼疾患に続発して起こったり、糖尿病や低カルシウム血症などの他疾患により引き起こされることもあります。
治療法
白内障の進行を遅らせることを目的に点眼を行う場合もあれば、外科手術を行う場合もあります。
緑内障
眼球内には、眼房水という液体があります。この液体は常に産生と流出を繰り返し、一定の量を保っています。緑内障は、この眼房水が通常より多くなることで眼球の圧が上昇してしまった状態のことで、視神経や網膜に変化を起こし、視力を失う可能性もある疾患です。
主な症状
●目が大きく見える
●目を痛そうにしばしばさせる
●充血している
眼房水が多くなってしまう原因としては、産生量の増加よりも、流出量の低下が一般的です。眼圧が上がると強い痛みを伴うため、元気や食欲がなくなることもあります。
原因
●原発性
●他の眼疾患からの続発
流出量の低下は、遺伝的な素因により流出する場所に閉塞が起こったり、ブドウ膜炎などの眼疾患から続発して起こったりすることが知られています。ただし、猫ではほとんどが後者の長期にわたるブドウ膜炎を原疾患として発症し、おもに6歳以上の高齢猫でみられます。その他、腫瘍などが原因で発症する場合もあります。
治療法
治療の目的は、視力低下や痛みの原因となっている眼圧を低下させることです。そのため、眼圧を下げる目薬などを使用するほか、細い注射針を眼球に刺し、眼房水を1滴抜くような緊急措置がとられます。症状の度合いによっては入院が必要になったり、外科処置が選択されることもあります。また、原疾患となっている眼疾患の治療も行います。
白内障は別ですが、その他の眼疾患は進行が早いという特徴があります。猫の目に少しでも異変を感じたら、なるべく早いタイミングで受診をするように心がけましょう。
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