【獣医師監修】インコのケージにいつのまにか卵が…そんな時はどうする?
カラフルで、豊かな愛情表現がなんとも愛くるしいインコ。ある日突然ケージで愛鳥の卵を見つけたら、ちょっとびっくりしますね。でも、あわてず適切に対処しましょう。
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監修:オールペットクリニック 平林雅和院長
インコの産卵について
メスのインコの産卵は成長のあかしであり、自然なことです。ペアで飼育すれば、卵は有精卵の可能性があり、メス単独の飼育の場合はふ化することのない無精卵となります。
インコはおもに春と秋の繁殖期の年に2回、1日おきに1つずつのペースで計5個前後の卵を産みます。有精卵なら産卵から20日間ほどでヒナが誕生します。
ただし、カラダの小さなインコにとって産卵は負担が大きく、卵詰まりなどの病気の原因となることがあります。繁殖期に関係なく頻繁に産卵したり、一度に10個以上を産卵したりするのは、カラダに変調をきたしているサインかもしれので、病院で診てもらいましょう。
有精卵の場合の対処法
ペアで飼育している場合は、有精卵か無精卵かを判断する検卵を行いましょう。産卵してから4~5日後、懐中電灯などで卵を透かして見ると、有精卵は血管が見られ、無精卵は黄身だけが見えます。また、有精卵の表面は光沢があり、時間の経過とともにくすんだ色に変化します。
なお、検卵のために親鳥がストレスを感じて抱卵をやめたり、卵内部の温度が下がってヒナへのダメージとなったりするので、検卵は何度も行わず、最小限にとどめましょう。
繁殖させる場合は、繁殖期の春か秋に、ケージの中に巣箱を置きます。巣箱は針金等でケージに固定し、巣箱の上の空間を空けるように設置します。
産卵・抱卵後はなるべく飼い主は手を出さず、見守ってあげましょう。巣箱の扉の開け閉めや、巣箱内の掃除もNGです。メスは卵がふ化するまで巣箱を離れません。エサもオスがメスのところまで運びます。
巣箱を準備する前、あるいは巣箱以外で産卵・抱卵した場合は、寒さ対策としてペット用ヒーターを軽く当てて、暖かく抱卵しやすい環境を保つようにサポートしましょう。
無精卵の場合の対処法
有精卵はヒナの誕生への期待が高まりますが、一羽飼いのメスが次々と無精卵を産むのは異常なことです。無精卵を産む原因は栄養状態が十分であることと、発情する相手(パートナー)がいることです。ペットとして飼育されているインコの場合、飼い主をパートナーと錯覚して、季節を問わず発情することもあります。
無精卵を取り上げると、不足分を補うためにさらに産卵する傾向があります。産卵は自然なことですが、過度の産卵はカラダに負担がかかるため、病気やケガの原因になります。この時期に栄養価の高いエサを与えると、次の発情につながる可能性があるため、おすすめできません。体重と肉づき(ボディーコンディションスコア)をもとに、適正な体格よりも少し痩せている感じにすることで、発情を抑制することができます。
インコに産卵させないためには
インコは発情しなければ産卵しないため、たとえば、以下のような方法で、発情する環境や条件を取り除きます。
◇ケージ内に巣箱があると産卵の気分が高まってしまうため、撤去します。
◇お気に入りのおもちゃも発情の対象になることがあり、取り除きます。
◇遊ぶ時に飼い主が背中を撫ですぎると興奮するため、撫でるのは控えめにします。
◇日照時間が長くなると繁殖期と認識してしまうため、日照時間を12時間程度に抑えます。
◇産卵を始めた時期にプラスチック製の偽物の卵を混ぜて、もういっぱい卵を産んでいると思わせます。
◇食事は低脂肪、低カロリーのエサを与えるようにしましょう。
無精卵は取り上げず、そのままにしておきましょう。抱卵を20日前後続けると、インコの方から関心を失って抱卵をやめます。そうなれば卵を処分してもよい時期といえます。
注意点
インコの産卵で最も注意しなければいけないのが「卵詰まり」です。卵が詰まると排便がうまくできず、時には死に至ることもあります。腹部やお尻が膨らんで、食欲がなく、元気もない。こんな症状を確認したらすぐに獣医師に診てもらいましょう。
かわいいヒナの誕生は、飼い主にとってもうれしいものです。ただし、5個前後の有精卵がすべてふ化して、さらにこの繁殖期が年に2回訪れたら…。インコが増えすぎて「飼育スペースがない」「面倒が見きれない」などということがないように、ヒナたちの里親探しも事前に計画しておきましょう。