ウーパールーパーがかかりやすい病気と治療法

あどけない表情で飼い主を癒してくれるウーパールーパー。飼育環境が悪化すると病気になってしまうこともあります。小さな異変にもすぐ気づいて対処できるように、かかりやすい病気を覚えておきましょう。

  • サムネイル: 羊田ユウジ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

ウーパールーパーの病気

ウーパールーパーには驚異的な再生能力があります。手足の欠損はもちろん、脳の一部さえも再生可能です。そんな丈夫なウーパールーパーでも、時には病気で命を落としてしまうことがあります。多くみられる病気には、水カビ病、ぷかぷか病、腹水病の3つがあります。

水カビ病

カラダの傷口にサプロレグニア菌をはじめとする真菌が感染することで発症し、白っぽい綿のような菌糸のかたまりが皮膚の表面に付着します。

サンショウウオ全般によくみられる感染症で、症状が進むとカラダ全体に菌糸が広がり、筋肉や骨まで侵されてしまいます。初期の段階で適切な治療を行えば治癒しますが、重症化すると死に至るおそれがあります。

水カビ病の原因は、水槽内の水質の悪化と、免疫力の低下です。初期症状であれば換水をまめに行い、綿のような菌糸をピンセットで取り除くことで症状は改善します。真菌は20℃を超えると活動が鈍るため、水温は20~21℃に保つと効果的です。あまり水温を上げすぎると、逆にウーパールーパーが弱ってしまうので注意しましょう。

換水と水温管理による治療で効果がみられない場合は薬浴、あるいは塩浴による治療を行う場合があります。

ただし、金魚や熱帯魚であれば薬浴は効果的ですが、ウロコのないウーパールーパーは皮膚が敏感なため、薬剤の刺激がかえってダメージになってしまうことがあり、専門的な技術も必要です。そのため、薬浴は、専門的知識を持った獣医師の指示を仰いだ上で行いましょう。

塩浴の場合は、0.1~0.2%の濃度の薄い塩水の中に入れ、体表の菌糸の様子を見ますが、塩分もウーパールーパーのカラダには負担となります。0.1~0.2%程度の薄い塩水であれば数日間は耐えられますが、早めに真水に換水してください。

水カビ病は、そもそも水質をしっかり管理していれば感染するおそれのない病気です。1週間に1度は水槽内の水の3割程度を換水し、フィルターの掃除も忘れずに行いましょう。換水する水は、事前にカルキ抜きしておくことも重要です。

ぷかぷか病

ぷかぷか病は浮遊病とも呼ばれる病気で、体内にガスがたまり、水中に潜ることができずに水面に浮いたままの状態になります。古いエサ、質の悪いエサの摂取や水質の悪化、水温の上昇、腸内の異物などが原因となります。

カラダの右側を上にして浮いていたら腸内に、左側を上にして浮いていたら胃の中にガスがたまっている可能性があり、お腹が完全に上になってしまっている時は非常に危険な状態です。

自力で水底に戻れない様子であれば、すぐに動物病院に連れていきましょう。重症化を防ぐためには、早めにガスを出してあげることが肝心です。

また、人工飼料ばかりを与えていると、胃腸の中ででんぷんなどが発酵し、ガスがたまりやすくなる傾向があります。水面に浮く傾向がみられたら、エサを冷凍アカムシなどの生餌に切り替えることで改善する場合があります。

冷凍アカムシだけを与えていると下痢になることがあるので、かかりつけの獣医師や専門家に相談の上、量と栄養バランスを調整してください。

ぷかぷか病の原因は多岐にわたるため、原因を特定しにくい病気ですが、水質の維持や生エサをバランスよく与えることが予防策となります。

なお、水面に浮いていても、自分で空気を吸っている場合であれば問題ありません。

腹水病

体内に液体がたまり、水底から浮かんでこなくなる病気です。水面に浮いてしまうぷかぷか病とは逆に、水底にうずくまってしまいます。初期はわかりにくいですが、症状が進むにつれて、腹部を中心にカラダ全体が異常に膨れ上がっていきます。

腹水病の原因としては、細菌、ウィルス感染、心臓や腎臓、肝臓などの内臓疾患、体腔内の腫瘍などが挙げられます。治療は、たまった腹水を抜く処置を行います。一般的には注射器で腹水を吸引しますが、一度に腹水を抜くとショック症状で死に至る場合があるため、素人では処置が困難です。

飼っているウーパールーパーに少しずつお腹が膨らむ症状がみられたら、動物病院で診察を受けましょう。病院によっては、ウーパールーパーを体液に近い両生類用リンゲル液に浸し、浸透圧を利用して腹水を抜く方法をとる場合もあります。また、診察により原因を特定することができた場合は、専門的知識を持った獣医師の指示に従い、再発を防ぐ予防策を講じましょう。

ケガにも要注意!

多頭飼いしている場合、共喰いによる攻撃で手足やエラが欠損する場合があります。また生餌に付着していた寄生虫が寄生し、痒みのためにカラダを土管などにこすりつけるなどして出血することもあります。

上述の通り、ウーパールーパーは強い再生能力を持ち、ほとんどの傷は自然治癒していきますが、傷口への細菌の付着は様々な病気の原因になります。カラダに傷を見つけたら、換水をまめに行い、飼育環境を清潔に保ちましょう。

ウーパールーパーがかかりやすい3つの病気の原因として共通するのは、水質の悪化です。まずは飼育環境を清潔に保つことで、細菌の増殖を防ぎましょう。また、病気ではなくケガの場合もまめな換水は欠かせません。重症化すると動物病院での治療が必要になります。

ただし、両生類を診察できる病院は限られているため、もしもの時のために、ウーパールーパーを診察できる病院をあらかじめリサーチしておきましょう。

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