愛犬に仔犬を産んでもらうための犬の交配について

犬を飼っていると「仔犬を生んでもらいたい」と思う飼い主も少なくないようです。しかし、無責任な交配はトラブルのもとになりかねません。そこで今回は、犬のお見合いについて解説していきます。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬の交配時期

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メス犬が妊娠可能な時期は、1年間に1~2回。いわゆる発情期(ヒートともいいます)に交配を行いますが、外陰部から出血がみられる発情前期から、交尾を許容する発情期までの期間には個体差があります。なお、犬の妊娠期間の平均は約63日です。

メス犬が妊娠できるカラダになるのは、大体生後9ヶ月前後。この頃に初めての発情期を迎えます。ただし、このタイミングでの交配は避け、2回目以降の発情期で交配させるのが一般的です。

先述したように、出血がみられる発情前期から、交尾を許容する発情期までの期間にはかなりの個体差があるため、タイミングをみて「この日に交配させる」というのは困難です。また、交配の成否にはもちろん犬同士の相性も関係しますが、多頭飼育で一緒に生活している場合は、自然と交尾が成功することが多いようです。

犬を交配させるまでの流れ

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犬の交配で一番難しいのが、交配相手を見つけることです。一般的には、知人に紹介してもらうか、ブリーダーにお金を支払って交配してもらう方法をとりますが、いずれにしても交配相手の犬・飼い主と直接会ってから、交配するかどうかを決めましょう。

最近はインターネット上の募集サイトなどで交配相手を見つけることもできますが、交配に適さないオス犬(遺伝疾患があるなど)との交配を避けるためにも、正しい知識を持ったブリーダーにお願いするのが無難です。

また、純血種の犬同士を交配させる場合は、交配相手の血統書(血統証明書)を必ず確認しましょう。血統書がない場合、生まれてきた仔犬を純血種として登録することはできません。交配相手がジャパンケネルクラブ(JKC)発行の血統証を持っていれば、基本的には問題ないでしょう。

ジャパンケネルクラブ(JKC)のほかに、KCジャパン(KCJ)という団体も血統書を発行していますが、交配相手の血統書がKCJ発行で、自分の犬の血統書がJKC発行の場合は、JKCに血統書の発行を依頼できないことを覚えておいてください。日本犬の場合は、日本犬保存会が発行する血統書が一般的です。

また、一部の犬種には、繁殖が推奨されない毛色というものが存在します。一つは、純血種として認められない毛色である「ミスカラー」です。たとえば、全身同じ色であることが条件の犬種で、胸の辺りだけ白く抜けていたりすると、その犬種のスタンダードの姿ではないミスカラーとされます。

犬種ごとの特徴をきちんと受け継がせる目的で繁殖を行っているブリーダーでは、そのような犬は繁殖に適さないとされますが、ミスカラー自体が犬の健康に悪影響を及ぼすことはないので、一般家庭で飼育する分には大きな問題ではありません。

一方で、毛色と健康が深く関係しているケースもあります。犬の被毛の色や模様は、メラニン色素がどのように発現するかによって変わってきます。このメラニン色素の発現には様々な遺伝子が関係していて、その遺伝子の働きにより、どんな色になるか、どんな模様がでるかなどが決まっていきます。

ある種の遺伝子はメラニン色素を抑制するように働きますが、メラニン色素は目の虹彩や耳の内耳にも存在しているため、その器官の発達に影響を与えることもあります。そのため、毛色の知識を持たずに色素の薄い犬同士を交配させてしまうと、視覚障害や聴覚障害が起こったりするケースがあります。

犬を繁殖させる場合は、このようなリスクを理解した上で、実際に交配をするかどうかを検討しましょう。

犬の交配前の準備

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犬の交配が決まったら、交配前のマナーとして以下の準備を行っておきましょう。

●ワクチンの接種
●寄生虫の駆除
●遺伝性疾患・血統の確認
●被毛のお手入れ
●入浴

繁殖した仔犬を販売するためには、動物愛護法で定められた「動物取扱業の規制」に基づき、各都道府県の保健所に「動物取扱業の届出」をする必要があります。ペットショップでの販売はもちろん、インターネットでの販売、個人間での売買も禁止されています。動物取扱業の届出をしない場合、生まれてきた仔犬は必ず無償で譲りましょう。

また、無責任・無計画な交配は、親犬のカラダに負担をかけてしまいます。一般的に、「犬は安産」というイメージがあるかもしれませんが、じつは難産になることも多く、出産は命がけの行為となります。さらに、生まれてきたすべての仔犬の貰い手が見つけられなかった場合は、最後まで自分で世話をする覚悟も必要です。

ただ単に、「愛犬の子どもがほしい」といった、軽はずみな気持ちでの交配はおすすめできません。母犬の健康や、生まれてくる仔犬の幸せをしっかりと考えた上で、交配を検討してみてください。

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