【獣医師監修】犬の椎間板ヘルニア! 考えられる原因や症状、治療法と予防法について

ふいに痛みが出る「椎間板ヘルニア」。なでられるのを急に嫌がるようになったり、震えたり、歩き方がぎこちなくなったら、注意しましょう。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

椎間板ヘルニアの原因

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椎間板ヘルニアとは、背骨の中でクッション的役割を果たす軟骨・椎間板の組織の硬化または損傷により、背骨内の中枢神経・脊髄を圧迫している状態を指します。椎間板組織の老化や先天的異常のほか、首や背骨に衝撃を与える動作も原因となります。

椎間板ヘルニアの症状

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椎間板ヘルニアの症状は痛みや麻痺。背中や首に触れられたり、抱っこされるのを、急に嫌がるようになります。震えている、段差のある場所を昇降できなくなった、歩き方がぎこちないといった異変も表れます。完全に麻痺した重度の状態では、失禁したり、後ろ足が動かなくなります。動物病院で適切な処置を受ければ、軽症の場合は治る確率が高いのですが、重度の場合は歩行不能、排泄障害など回復が見込めないことも。軽度の症状から一気に悪化することもあるので、愛犬のしぐさや動き方に異変を感じたら、すぐに受診してください。

薬や手術、リハビリなどヘルニア治療について

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軽度の椎間板ヘルニア治療でもっとも大切なことは、安静を保つこと。動き回らないよう、ケージの中で一定期間休ませる必要があり、部屋の中ですら歩行をさせてはいけません。消炎・鎮痛剤の投与で痛みを和らげつつ、改善するまでおとなしくケージの中で過ごさせるしかないのです。また、鍼灸治療によって痛みや麻痺の緩和が期待できる場合があります。

重度の場合は外科療法を実施します。脊髄造影、CTやMRIなどの検査により特定した部位の脊髄圧迫を、手術により解除します。術後の犬を待っているのはリハビリテーション。運動やマッサージなどを組み合わせたプログラムに沿ってトレーニングを行い、治癒と歩行機能の回復を目指します。飼い主は励ましの声かけで、犬のリハビリを促しましょう。きちんとした理学療法を行うことも回復する上で非常に重要です。

なお、インターネット上などで椎間板ヘルニアによいとされるサプリメントの情報を目にしますが、これらはあくまでも栄養補助食品であり、根本治療ではなく症状緩和に寄与するものという位置づけです。椎間板ヘルニアが疑われる症状に気づいたら、サプリを与えてしばらく様子を見るのではなく、すみやかに獣医師の診察を受けてください。急に症状が深刻化し、緊急手術を受けるケースは少なくありません。治療の遅れにより半身不随になる恐れもある椎間板ヘルニアは、軽視できない疾患です。

椎間板ヘルニアを予防するには?

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首や背骨に大きな負荷がかかる動作は禁物です。高所からの飛び降り、傾斜のきつい階段の昇降、滑りやすい床での転倒など、遊んでいる時や興奮状態の時は要注意。普段、よく昇り降りしているソファやベッドなどが犬に対して高過ぎると感じる場合は、低いものに替えたり、スロープ代わりのものを置くなどして対処を。フローリングの床で犬がよく足を滑らせているなら、カーペットやマットを敷いて、カラダへの負担を軽減してあげましょう。

椎間板ヘルニアになりやすい犬種は?

3〜6歳での発症が目立つのは、先天的な要因により椎間板がもろくなりやすい犬種。ダックスフントを筆頭に、ウェルシュ・コーギー、ビーグル、シー・ズー、コッカー・スパニエルなどが挙げられます。中年以降の発症が多いのは、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、パピヨン、プードル、ミニチュア・シュナウザーなどです。

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