ペットと法律〜みんなが幸せに暮らすために〜

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動物飼育に関する唯一の法律である「動物の愛護及び管理に関する法律」。ここでは動物と接するうえで知っておきたい動物愛護管理法の「虐待の禁止と罰則」をご紹介します。

  • PR公益社団法人 日本愛玩動物協会

過度な多頭飼育やネグレクトも「虐待」

動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいいます。暴力や酷使などの積極的な行為だけでなく、世話をしないで放置するネグレクトも虐待に含まれます。
以前は虐待について「みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等」と書かれているだけでしたが、平成24年の改正で、「みだりに以下の行為を行うこと」として、虐待の具体的な例示が明記されるようになりました(第四十四条)。

①給餌や給水をやめ、酷使すること
②健康と安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること
③自分が所有する愛護動物が病気になったり負傷したときに適切な保護を行わないこと
④自分の所有する施設で、排せつ物が堆積していたり他の愛護動物の死体が放置されたところで動物を飼養・保管すること
⑤その他の虐待

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また、虐待と関係する可能性のある状況に多頭飼育があります。過度な多頭飼育は、騒音や悪臭などによって周辺の生活環境に悪影響を及ぼすだけでなく、適切な飼養管理ができないことによって動物が衰弱するといったこともあるため、都道府県知事等は、勧告や命令を出すことができます(第二十五条)。動物愛護管理法施行規則では、どのようなときに虐待のおそれがあるかをより具体的に示しています(施行規則第二十二条の二)。

①動物の鳴き声が過度に続いたり、頻繁に動物の異常な鳴き声がすること
②食べ残しの餌、糞尿などの汚物の不適切な処理や放置によって、臭気が継続して発生していること
③動物の飼養に関連して、多数のねずみ、はえ、蚊、のみなどが発生していること
④栄養不良の個体が見られ、動物への給餌や給水が一定頻度で行われていないことが認められること
⑤爪が異常に伸びている、体表がひどく汚れているなど、適正な飼養や保管が行われていない個体が見られること
⑥繁殖を制限する措置がとられておらず、そのうえ、譲り渡しなどで飼養頭数の削減が行われていない状況で、繁殖によって飼養頭数が増加していること

「愛護動物」はペットだけではない

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第四十四条で対象となっているのは「愛護動物」です。「愛護動物」とは、罰則が適用されることとなる動物の対象範囲を限定するために使用されている言葉です。対象となる動物は、ペットとして飼われている動物のことだけではありません。
まず、「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」で、一般的には人に飼育されているものをいいます。これらには実験動物や産業動物も含みますが、野生動物であるノイヌやノネコは含まれません。また、長期にわたって放浪状態にある場合以外は、ノラ犬やノラ猫も含まれると考えられています。
それら以外には、「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」も愛護動物にあたります。

愛護動物の「遺棄」の禁止

飼育されている動物を屋外に放すことは、その動物を危険や苦痛にさらすだけでなく、近隣への迷惑になったり、生態系への悪影響を及ぼし、農林水産業に被害を与えることにもなります。愛護動物を遺棄することは禁止されています(第四十四条第3項)。

改正のたびに重くなる動物愛護管理法の罰則

動物愛護管理法の罰則規定は、第四十四条から第五十条に明記されています。
第四十四条第1項では、愛護動物をみだりに殺したり傷つけたら、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる」と規定されています。これは動物愛護管理法の罰則のうち、個人に対するものとしては最も厳しい罰則となっています。
食用のためのと畜、安楽死などは正当な理由があるため、“みだりな殺傷”にはあたりませんが、第四十条で、動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法をとることとされています。
そのほかに動物愛護管理法で罰則規定があるのは、第一種動物取扱業の登録や第二種動物取扱業の届出、特定動物の飼養許可などに関連するものなどのほか、多頭飼育によって周辺の生活環境が損なわれていたり、虐待などがあったりした場合で、勧告や命令に従わなかった場合などが含まれます。
なお罰則のうちで最も重いものは、法人が特定動物を無許可で飼養した場合で、5千万円以下の罰金となっています。

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