【獣医師監修】“犬”や“猫”の健康診断って必要なの? 受ける年齢や頻度、費用は?【基礎編】
“ペットの健康診断”。聞いたことはあるけど何をするのかいまいちわからない…。それに「健康診断なんて本当に必要なの?」と思う飼い主さんも多いかと思います。健康診断をなぜ受けさせた方が良いのか、実際にどういうことをするのか、どれくらい費用がかかるのかなど、詳しくみてみましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
そもそも、ペットに健康診断を受けさせるべき?
多くの人は学校や会社、自治体などで1年~数年に一度受け、その健康診断の結果により、生活習慣の改善を促されたり、自覚症状がない病気の発見につながったりしています。
ペットの健康診断もこれと同じで、早期発見や早期治療、病気の予防にもつながるので、健康寿命をのばすためにもなるべく健康診断を受けさせましょう。
特に、室内飼いの猫は、目立った不調でもない限り病院へはめったに行かないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。狩猟動物のDNAを持つ猫は、周囲に痛みや不調を悟られないようにする習性があるので病気の発見が遅くなりがちです。見た目にはわからなくても、病気を抱えていることがあるので、定期的に検査を受ける習慣をつけましょう。
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人間と動物の“年のとり方”の違いとは?
《犬》
●小型犬・中型犬…最初の1年で人間の24歳、以降1年ごとに4歳ずつ
●大型犬…最初の1年で人間の12歳、以降1年ごとに7歳ずつ
《猫》
●最初の1年で人間の7歳、3歳で28歳、以降1年ごとに4歳ずつ
※犬・猫の年齢換算の方法には諸説あります
犬種・猫種によっても違いますが、一般的に小型犬・中型犬、猫は7歳頃から、大型犬では5~6歳頃から老化が始まるといわれています。いつ頃から健康診断を受けさせればいいのかわからない、という人は一つの目安にしてください。
どれぐらいの頻度で受診すればいいの?
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定期健診は1年に一度、10歳以降は半年に一度がおすすめです。「そんなにしょっちゅう受けるの!?」と思うかもしれませんが、動物と人間の年のとり方の違いを考えると、決して多すぎるということはないでしょう。
健診を忘れないよう、犬の場合は狂犬病予防注射やワクチンの時期など、猫の場合は誕生日などと、毎年決まったタイミングで受けさせる飼い主さんが多いようです。
健康診断の内容は? どれくらいの費用がかかるの?
ご存知のとおり、動物医療は人間と違い、自由診療のため保険がありません。また、一口に健康診断といっても、病院によってその内容やかかる時間、費用は異なります。
一例として、東京都内の動物病院の場合をご紹介しましょう。
健康診断の項目
Aコース:問診、体重測定・聴診・触診・目・耳・口腔内のチェック、血液検査、尿検査、糞便検査
Bコース:Aコース+レントゲン
Cコース:Aコース+レントゲン、超音波エコー
※病院により若干内容は異なります。
《一般的なAコースの詳細》
●問診…
普段の生活の様子や健康状態について、飼い主さんに確認をします。
●体重測定・聴診・触診・目・耳・口腔内のチェック…
診察台に乗せてまず体重を測定し、その後、目、耳、歯、リンパ節など、全身にわたって身体検査を行います。
●血液検査…
各項目の数値によって、肝臓、腎臓、貧血の有無などの各臓器が正常に機能しているかどうか確認できます。
●尿検査…
糞便検査とともに健康診断の基本といえます。特に尿石症や腎臓病の発見には欠かせません。
※事前に採取した尿(できるだけ検査当日の朝の尿)を病院に持参します。
●糞便検査…
寄生虫感染や腸内細菌の有無、消化機能の確認、便への出血がないかなど、顕微鏡で詳しく調べます。
※事前に採取した便(できるだけ検査当日の朝の尿)を病院に持参します。
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Bコースの「レントゲン検査」では、胸部や腹部の内臓を写し出すことで、外からはわかりにくい病気を調べます。
Cコースの「超音波検査」では、レントゲン検査で判断しにくい臓器の動きがわかります(妊娠中のワンちゃんなど、レントゲン検査が困難な場合にも有効)。
心臓や肝臓、腎臓などに不安のある場合は、「レントゲン検査」や「超音波検査」まで受けておくと飼い主さんも安心ですね。
健康診断の費用
病院①
Aコース:8,000円
Bコース:15,000円
Cコース:18,000円
病院②
Aコース:10,800円
Bコース:20,500円
Cコース:28,000円
※動物医療は自由診療のため、同程度の検査を行っても費用に大幅な差が生じることがあります。
健康診断を受けさせる時に、注意すべきこと
1 健康診断は予約制のことが多いので、まずは受診する病院に確認してください。行きつけの病院がないという場合は、健康診断を機に通院しやすい病院を決めると良いでしょう。
2 検査の内容によっては絶食・絶飲などを指示されることも。ペットを半日ほど預ける可能性があるので、体調の良い日に連れて行くと安心です。
3 日頃の様子を獣医師にしっかり伝えられるよう、ペットの体調や動きをよく観察しておいてください。
4 尿や便はなるべく採取から3時間以内のものを持って行きましょう(尿の持参が難しい場合は、病院で膀胱内を確認しながら採尿することも可能)。
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いかがでしたか? ペットの健康診断と聞けば少し大げさなものに思えるかもしれませんが、実際は気軽に受けられるものがほとんどです。
犬や猫が野生で生きていた時代とは違い、人間と共存している現代では、病気の種類も変わってきました。
早期発見、早期治療をほどこすことで愛する犬・猫に、健康で長生きしてもらいたいですね。
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Katutosi Takeyama
2017年04月28日 21:09
タカハシ高橋 浩一
2017年04月28日 13:50