デブっている場合じゃないっ! 食生活を見直して今日からできることを始めよう!
太るのは簡単でスピーディー。でも、痩せるのは難しくてスローペース。愛犬のダイエットが頭の片隅にずっと引っかかっていた飼い主さん、この記事を読めば必ず結果にコミットするはず!(Shi-Ba 2017年7月号 Vol.95より)
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運動不足よりも食べすぎが 肥満の一番の原因だっ!
なぜ太るのか? 答えは簡単。
摂取カロリーが消費カロリーよりも多いから。
では、どうすれば痩せるのか?
「散歩や運動が少なくて太るというよりは、食べ物のあげすぎで太っている犬がほとんどです。まずはフードの量や、種類(ダイエット用のライトタイプへの切り替え)など、オヤツやトッピングの内容や量など、食生活を見直すことが大切です」
と石野先生。
人間の私ごとで恐縮だが、今から17キロ太っていた2年前。人間ドックでのほとんどの判定がC、D、E。糖尿、脂肪肝、不整脈など、さまざまな病気の可能性を医師に指摘されダイエットを敢行。めでたく、この春の人間ドックではメタボ判定以外(まだ人より太っていてCだけど)、オールAで医師にほめられる健康デブになった。
「首肉は柴の勲章」なんて言ってる場合じゃねーぞ
だからこそ、太りすぎた時の体のダルさや、足腰の不調など身をもって知っているのだ。
で、今回は犬のダイエットの特集。自分が痩せた時の方法を犬にも当てはめようと考えがちだが、中には十分に気をつけないと、犬の体調をより悪化させるものもあるらしい。長年、多くの犬を健康的な減量に導いてきた獣医師の石野先生が、本当に正しい犬のダイエットについて詳しく解説。
1日でも愛犬に長生きしてほしいと願う飼い主さん、必読の入魂企画!
愛犬の肥満度チェック
□肋骨の数が手で触って 数えられる?
脇腹あたりを触ってみよう。脂肪が厚くて肋骨が触れないようなら太りすぎ。理想としては、皮下脂肪の下になんとか肋骨がわかるような手応えがある感じ。
□真上から見た時 腰にくびれはある?
愛犬を立たせた状態で、真上から見てみよう。ウエストにくびれがない場合は太りすぎ。モデルのスタッフ犬 竜(オス・11歳)のウエスト、微妙だよな~。
□背骨の数が手で触って 数えられる?
背中を触ってみて、手に背骨が感じられないようなら太りすぎ。理想はやはり、皮下脂肪の下に背骨を感じられる手応えがあること。
□腹部ひだ(腹部のシワの部分)が触れる?
腹部ひだが浅くて触れない、またはほとんどない場合は太りすぎ。太っていると皮が張るので、腹部のシワが無くなってしまうのだ。
【ダイエットに関する何でもQ&A】
人間界でオススメのあのダイエットはどうなの? ダイエット時の危険サインは? などお役立ち情報満載!
Q.理想的な体重の落とし方を教えて
A.愛犬の理想体重を把握し数ヶ月かけゆっくり落とす
犬によって大柄、小柄、骨太タイプなどさまざまなので、愛犬の理想体重はかかりつけの獣医師に確認するのが一番。目標体重がわかったら、何キロ落とすのかも相談し無理のないダイエットを行おう。
ここでいくつかのポイントを挙げておくと、
●運動でダイエットするのではなく、食事療法で減量することを念頭に置く
●食事療法は基本的にフードで行い、ダイエット用のフードに変える場合は獣医師と相談する
●1日のフード量も獣医師と相談し、表示量通りではなく、本当にそのコに合った量を与える
●2〜3ヶ月かけてゆっくりと体重を落とすことを目標にする
●無理のない適度な運動を毎日行う
●犬がストレスをためないように、決められた量の中であげる回数を増やしたり、ゴハンの時間が楽しくなるような工夫をしてみる
●1週間に1回は体重を測り、しっかり記録する
●家族でルールを決めて必ずやり抜く
だ。ぜひ実践してみてほしい。
Q.犬にもオカラをあげると痩せる?
A.大豆アレルギーがある日本犬もいるので注意
人間のダイエットではおなじみのオカラだが、犬にも効果があるのだろうか?
「犬と人間では、体が必要とする栄養素が違います。人間のダイエットに有効と言われている食材を、犬のダイエットの食事療法に用いるのは、オススメしません」
ちなみに、先生の動物病院には大豆アレルギーの柴犬が来院することも多いそう。症状は顔が腫れたり、血便が出たりなど。そしてアレルギー検査をすると、大豆がNGという結果が出る犬もいるとのこと。
また、アナフィラキシーショックを起こして診察を受けに来た犬が、人間用のプロテインを飲んでいたというケースもあるとのこと。人間の体に良いイメージがある食べ物やサプリメントを、飼い主の判断で犬に安易に与えるのは絶対にやめよう。
Q.ズバリ、 柴犬は太りやすい犬種なのでしょうか?
A.太らせてしまう飼い主さんが多い犬種かもしれません
「柴犬が特に太りやすい犬種だとは思いません。しかし、犬を太らせやすいタイプの飼い主さんが多いのでは? と思うことはあります。柴犬のイメージは昔ながらの犬らしい犬。お腹いっぱい食べさせてやりたい、よく食べるほうが健康だと思い、愛犬が欲しがるだけ食べさせた結果、肥満犬になるケースが多いようです」
また、年配の人が柴と暮らすケースも多く、「犬が喜んで食べるから、嬉しくてあげすぎてしまう」こともある。
まさに実家の父がそうだった。家に来る時もすきあらば我が家のまる子に食べ物をあげるので、父が帰るとまる子が明らかに太るのだ。くれぐれも「食べさせすぎ」には注意したい。
Q.肉と魚、あげたらどっちが太りやすいですか?
A.基本的にはどちらも変わりはなし
「基本的にはどちらを食べても同じです」と石野先生。
肉でもササミや皮と脂を取り除いた鶏胸肉はカロリーが低いが、ブリやマグロのトロなど脂が乗った魚はカロリーが高い。
また、焼いたり茹でて脂を落とすなどの調理方法によってもカロリー量は異なる。手作り食を実践する場合は、そういったことも十分考慮しよう。
Q.ダイエットの間、 野菜で空腹感を満たすのはあり?
A.糖分が高い野菜もあることを考慮しよう
野菜というとヘルシーなイメージだが……。
「中にはトマトなど、糖分が高いものがありますので、やはりあげすぎは肥満の原因になります」
ダイエットは栄養バランスのとれたドッグフードで行うのが望ましい。
Q.手作り食のダイエットの注意点は?
A.栄養が偏らないようバランスを考えること
手作り食はカロリー計算をはじめ、ダイエットに適した食材や量、愛犬の嗜好を合致させていくのも、なかなか難しそうだ。
「愛犬に合ったカロリー計算を飼い主さんがしっかり行っていて、減量に成功したケースはあります。しかし、カロリー計算がきちんとできていないと、例えば炭水化物が多すぎて動物性タンパク質が不足するなど、栄養に偏りが出ることもあります」
また、ゴハンの量が足りずにかえって犬の体調が悪くなるケースや、「痩せていく方が太っているよりなんだか怖い」という飼い主の心理が働き、特に手作り食の場合、痩せさせすぎないよう気をつけるあまり、多めにゴハンをあげてしまうこともあるとのこと。
そう考えると、犬の体のことを考えて作られた総合栄養食のドッグフードでダイエットするのが一番安心なのかもしれない。しかし、どうしても手作りゴハンでダイエットに挑戦したい場合は、獣医師に相談しながら慎重に行うのがいいだろう。
Q.ズバリ、 果物をあげるとやっぱり太りますか?
A.果糖がたくさん含まれているので当然太ります
果物は果糖を含むので食べすぎは当然太る。どうしてもあげたい場合は、糖質の少ない果物を選び、あげる時も小指の先ほどの量にとどめよう。
【糖質が高い果物】リンゴ、バナナ、ナシなど。
【糖質が低い果物】ベリー類やスイカ、柑橘類など。
Q.ドライフード、ウェットフード、どっちが太る?
A.基本的にはどちらも同じです
「どちらも適量を犬にあげていれば、太ることはありません。ただ、犬によってはウェットタイプが好きで、あっという間に食べてしまうケースも。それを飼い主さんが『足りていないのかも』と思い、多めにあげてしまって太ることはあります」
Q.同居動物が増えたら先住犬が太りました
A.ゴハンは別々の場所で食べさせましょう
「同居動物が増えると、食べるのが早い方が、もう一匹のゴハンを食べて太ってしまうことがよくあります。それぞれがどのくらい食べているのか飼い主さんが気づかず、動物病院に来て体重を測って初めて気がつく、というケースも見られます」
食べる時にはケージや部屋を分けるなどして、1匹ずつが決められた分だけを食べるように考慮しよう。
Q.給餌量通りだと明らかに少ない気がします
A.あくまでも目安と考え愛犬に合った量を与えて
人と同じく、犬にも太りやすいなどの体質があり、必要エネルギーもそれぞれ。パッケージに書かれている給餌量はあくまでも目安と考えよう。愛犬の適正体重とそのフードの1日の給餌量については、かかりつけの獣医師と相談するのが一番安心だ。
Q.いくらあげても満腹にならないのはなぜ?
A.習性なので満腹でも食べてしまいます
「次にいつ食べられるのかわからない」という野生の頃の名残があるので、満腹でも食べてしまうのが犬。
「もっと食べたそうな顔をする、かわいそうだから、とあげてしまう人が多いですが、くれぐれも彼らにだまされないでください(笑)」
Q.先生が診察した太った柴犬の例は?
A.理想体重は10 キロ、でも18キロまで増えた柴
「もともと、やや肥満で『痩せましょうね』とアドバイスはしていたのですが、18キロまで体重が増加。喉に腫瘍ができたので除去したら、線維肉腫という癌でした。太りすぎは癌になるリスクも高くなります」
肥満は怖い。本当に気をつけよう。
Q.オヤツにはどんな食材がオススメですか?
A.白米やジャガイモを少量ならOK
ダイエット中にどうしてもオヤツをあげたい場合は1日に与えるドライフードの10%以内と決め、白米やジャガイモをあげるのもオススメ。これらはアレルギーも比較的出にくく、我が家のまる子も喜んで食べた。犬と飼い主の楽しみも考慮しながら、ダイエットは気長に頑張ろう。
Q.どんな体のサインが出たらダイエットをやめるべき?
A.被毛、足先の変化 低血糖に要注意
「ドライフードだけを使い正しいダイエットをしている場合で、危険な状態に陥った犬は当院ではほとんど見ていません。しかし、自己流の手作り食でダイエットを行い、亜鉛欠乏性皮膚炎になり、足先が赤黒く変色したり、低血糖に陥ってしまったケースはあります」
被毛がパサパサになる、肉球が冷たくなる、爪が割れやすくなる、などは栄養が足りていない状態とのこと。この他、動きが鈍い、目に輝きがない、体が冷たい、だるくて起き上がれない、などの症状が見られたらとても危険な状態。すぐに動物病院を受診するようにしよう。
Q.太っている犬がよく食べているものってどんなもの?
A.人間の食べ物やフードのトッピングは本当に太る
「私がよく目にする太る食生活のパターンは、パンや焼きいもなど、飼い主さんが食べているものをもらったり、ドッグフードを食べないからとおいしいものをトッピングして、そればかりを食べるケースです」
ほんの一口だからいいだろう、という気持ちで家族のみんなが犬にあげていたり、オヤツをあげたからゴハンはこのくらい減らせばいいや、というアバウトなあげ方が一番太ることを肝に銘じておこう。
Q.犬にも太りやすい時期ってあるのですか?
A.避妊去勢後、シニア期に入る直前などは注意を
体重が変化しやすい時期は大きく分けて4段階あるそう。
「第一段階は避妊去勢手術後です。ホルモンバランスが崩れるので、今までと同じフードや量をあげていると、あっという間に太ることがあります。一般的には生後7ヶ月以降から手術をすることが多いので、成長期の体重増加なのか、手術後のホルモンバランスの影響による肥満なのか、気がつかない飼い主さんも多いのです。成長もしますが、肥満にも十分注意をしたい時期です」
第二段階はシニア期に入る7〜8歳頃。代謝が落ちる時期なので、犬も中年太りしやすくなる。獣医師と相談してフードをライトタイプやシニア用に変えることも検討したい。そして第三段階が11〜12歳の老年期。甲状腺機能低下症などで体がむくむこともあるので、愛犬の体型の変化には十分注意したい。
最後の第四段階は晩年期で、認知症などにより、食べても体重が減ることがある。それぞれの段階を特に意識しつつ、愛犬の体重変化には常に気を配るようにしよう。
ぽっちゃり柴さんのレントゲンを見てみると……
厚い脂肪で覆われた首。太りすぎて気管圧迫の危険も
上の写真3枚は12歳のメスの柴犬のもの。理想体重は10キロだが、実際の体重は14キロ。
「左の写真が一番わかりやすいかもしれませんが、上方、首の所が厚い脂肪が覆われています。また太りすぎて気管を圧迫する危険性があります」と石野先生。
ちなみに先生の動物病院ではオスよりもメスの柴の方が肥満率が高いそうだ。
(写真提供・かまくらげんき動物病院)
【太らない&痩せる】暮らしのアイデア
食べ方
一度に「飲むように食べる」より、小分けにしてゴハンの時間を楽しんだり、しつけのごほうびとしてフードを使うと効果的。
■知育玩具を利用する
これ、頭を使うね♪
フードを詰めて犬が遊びながら食べられる知育玩具を利用しよう。少ない量でも、犬が夢中になって長い時間楽しむことができる。ただし、簡単にクリアできるものは避けて。
■手から一粒ずつあげてみる
じっくり味わえるじゃん
我が家で実際に行って痩せた方法。「フードを飲むように食べていた」まる子だが、この方法だと一粒ずつしっかり噛んで食べてくれた。1日6~8回くらいに分けてこの方法で与えた。
■床にまいたり、隠したり
面倒だけど、ちょっと面白いぜ
ドライフードなら、ケージの中の床にまいたりするのもオススメ。まる子は散歩から帰宅後、玄関のたたきにフードをまいて食べさせることもある。本犬はお祭り気分でかなり楽しそう。
■早食い防止の食器を使う
我が家で使っている早食い防止用食器。一般的な器に比べ、食べ終わるまでにかかる時間は約1.5 ~2倍。最近はさまざまな「食べにくい」タイプも登場しているのでぜひ活用してみて。
■カットして粒を増やす!
実際に読者さん宅で拝見した技。ドライフードをペンチなどで半分にカット。ゴハンの時間を始め、しつけのごほうびにも使っていた。飼い主の愛があふれるひと手間だ!
運動
無理な運動させんなよ!
減量させたいからと、走ったり、急な坂を登ったり、長時間散歩に行くのは絶対にNG。のんびり楽しく減量しよう。
■トボトボ歩きはもしかして体の不調のサインかも
犬のダイエットは食事で体重を落とすのが基本。急に運動量を増やすと、心臓や足腰に大きな負担がかかる。でも、適度な運動は大切だ。犬が嫌がるなら無理に散歩を続けず、例えば外に出かけてすぐに帰ってくるのでもよし。
また、庭があるなら、そこで犬のペースで遊ばせるだけでもいいのだ。
「太っていても、シニアになっても、『運動は大事だし 散歩させなきゃ』と愛犬を散歩させる飼い主さんは意外に多いのですが、今まで元気だった犬がトボトボ歩く時は、足などに相当な痛みを感じている可能性もあります」
トボトボ歩きに気がついた時は「太っているから、年だから仕方がない」と思い込まず、一度かかりつけの獣医師に診てもらうようにしよう。
■外へこまめに行くだけで
わたしはこれで1.5キロ痩せました!
こまめに庭に出したら想像以上の効果あり。鳥を見たり、土のにおいを嗅ぎ回るくらいだが、室内で寝ているだけよりは断然、カロリーを消費するようだ。
ダイエットフードをおいしく!
これも健康のためだからね
ダイエット用のフードにしたら食べなくなった、ということもある。さて、こんな時は?
■ふやかす場合、熱湯はNG
熱湯をかけて風味を出したフードをあげる人もいるが、温めすぎはフード本来のタンパク質やビタミンなどの栄養素を変成させてしまう。お湯でふやかすなら、50度くらいのぬるま湯で。
■風味増しにはドライヤー
石野先生のナイスなアイデアは、ドライヤーを使ったフードの風味増し。実際にやってみたが、5~10秒くらいでも、かなりおいしそうな香りが立ってきた。オススメだ。
■レンチン5~10秒も○
電子レンジで5~10秒フードを温めたり、フライパンを使ってフードを弱火で1~2分から炒りするのも、風味が出て犬の食欲をそそる。フードはとにかくにおいが大事なのだ。
測る
フードの量を測るのはもちろんだけど、体重もg単位まで数値が出るタイプで測るのが基本。
1週間に一度は計測し、必ず記録をつけていこう。
■1日に与える量を決める
1日にあげるゴハンの量は、「なんとなく大体」ではなく、必ず測っておこう。家族の誰かにゴハン係を頼む場合は、測ったゴハンを1回分ずつ袋詰めにしておくのも手。
■トッピングは 小指の先
これぽっち?
鼻くそみたいじゃん
どうしてもフードにトッピングしたい場合の石野先生のオススメの目安量は「小指の先」くらい。もしくはフードの10%未満。それをフードに混ぜてあげるようにしよう。
肥満にまつわる病気あれこれ
腹の肉がはみ出たぁ~!
体重が増える病気
柴犬に多く見られるのが 甲状腺機能低下症
【甲状腺機能低下症】
喉のやや下あたりにある甲状腺から分泌されるホルモンが、何らかの原因で異常をきたし減少する病気。甲状腺ホルモンは代謝を促進させるなどの働きがあるので、この機能が低下すると、無気力になったり脱毛したり、むくみにより肥満したように見えるのが大きな特徴。
シニアになるとかかりやすくなると言われており、柴犬にとても多く見られる病気。
【クッシング症候群】
人間でいう「ビール腹」のように、腹部が肥大するのが特徴。また体に左右対称の脱毛が見られる。「副腎皮質機能亢進症」ともいい、副腎から出る副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気。
自然発生のものと、アレルギー疾患などで副腎皮質ホルモンを長期にわたり投与していたことによる医原性のものがある。
【腫瘍】
「最近体の一部分がなんか太ってきたかな~」と思ったら要注意。特に、肩や首、腹部周辺など、「太りやすい部分」に腫瘍ができていると、飼い主さんが肥満と間違えやすく、動物病院に連れて行かずに発見が遅れることもある。
食べる量は変わらないのに太ったように感じた場合は、すぐに動物病院を受診しよう。
肥満が引き起こす病気
肥満はほとんどすべての病気の原因になりうる!
【膵炎】
脂肪分が多い偏ったゴハンを食べていたり、肥満犬に見られることが多い。重症になると激しい腹痛を伴う。高熱、食欲の低下、嘔吐や下痢などの症状が特徴。
【心不全】
心臓の老化現象により起きることが多い心不全。シニアになるとかかりやすくなるが、肥満しているとより心臓に負担をかけ、心不全の症状を悪化させてしまう。呼吸不全、動悸や息切れ、咳をするなどが主な症状。
【関節疾患】
重すぎる体重を支えきれなくなった関節や骨に大きな負担がかかる。足を引きずったり、散歩の途中に立ち止まるなどの異変が見られたら、すぐに動物病院へ。
【糖尿病】
犬の糖尿病はいくつかの要因が重なって起こると言われているが、その中の一つの要因に肥満が挙げられる。合併症も深刻で、急激に白内障が進行したり、肝疾患や細菌感染症にかかることも。
【その他】
「肥満がすぐガンに結びつくわけではありませんが、診察をしていると肥満犬がガンを発症する確率は多いです」と石野先生。ガンの他にも、靭帯を痛めたり、太って首の気道が圧迫され呼吸がつらそうになるなど、さまざまな弊害が出る。
病気が怖いので真面目にダイエットに取り組みます!
まとめ!
「計測は力なり!」だぞ!
意識と意志と管理と記録が大切!
愛犬ダイエットで一番重要なのは、「食生活を見直し、正しく改善する」「運動だけで体重を落とそうとしない」「時間をかけて体重を落とす」こと。
愛犬を痩せさせたい、という飼い主の強い意識と意志、徹底した管理、こまめな体重計測も大切だ。「太っていると体温の調整がうまくできず、夏は熱中症のリスクも高まります」
今太っていても焦らず、愛犬の体に負担をかけない形で健康的なダイエットを試みてほしい。大丈夫! まる子だってここで紹介した方法で確実に1.5キロ痩せたのだから!
監修:かまくらげんき動物病院 院長・石野 孝先生/副院長・相澤まな先生
1993年神奈川県鎌倉市に開業。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を融合させた、動物に優しい治療を実践。ペットのメタボリック症候群の検査(血液検査)も行っている。
神奈川県鎌倉市笛田1-3-15 ☎ 0467-40-4748
http://genkivet.com/
Text:Mari Kusumoto Photos:Masayuki Satoh