【獣医師監修】猫の喧嘩を止めさせたい! 喧嘩をする理由と対策
猫を多頭飼いしていると、猫同士のじゃれ合いがいつの間にか喧嘩に発展していることがあります。そんな姿を見ていると、猫は喧嘩っ早い動物のように思われるかもしれませんが、じつはできる限り争わないようにしている動物なのです。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫が喧嘩をしてしまう理由
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猫は「自分の方が強そうだな」と思っても、喧嘩を避けようとします。気に入らない相手に対しても、いきなり襲い掛かるのではなく、まず威嚇から入るのはその証拠です。なぜ喧嘩をしたがらないのか…それは、ケガをしたくないからです。このケガが原因で動けなくなったり、最悪の場合命を落としたりしてしまいますので、それらを恐れて喧嘩をしないというわけです。
猫が二匹いて、片方が腰を高く上げていて、片方がうずまくっているとします。この時、前者が強気な猫で、後者が弱気な猫です。しかし、強気な猫が弱気な猫に攻撃することはなく、この姿勢だけで勝敗が決まります。
では、喧嘩にまで発展してしまう理由は何なのでしょうか? これは、お互いの力が互角だと感じ、どちらも引き下がらない時です。いわゆる猫パンチや猫キックを打ち合いながら、大きな金切り声をあげて喧嘩をします。この喧嘩の最中で、突然毛づくろいを始めることがありますが、これは喧嘩が終わったのではなく、猫が自分の気を落ち着かせて再び戦うための準備をしているところです。
そして、どちらかがうずくまって反撃しなくなった時点で勝負あった。勝った方が必要以上の攻撃をせず、喧嘩は終わります。この時、喧嘩で一度勝負がついた猫同士が再びぶつかり合うことは基本的にありません。喧嘩で負けた猫は、勝った猫に従順な態度をとるようになるからです。
このような本気の喧嘩ではなく、遊びの喧嘩もあります。これは、仲良しの猫同士が狩りや交尾など本能的な動きを覚えていくための通過点です。その中で、猫が噛み合い痛がることもありますが、この経験を通じてどこまで噛んで大丈夫かを学びます。
猫の喧嘩をやめさせるには
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多頭飼い・仲の良い猫同士の場合
猫の喧嘩を止めさせる方法…それは、放置しておくことです。じゃれ合いが喧嘩に発展した場合、飼い主が止めさせようとするのは逆効果です。喧嘩に勝った猫が、負けた猫を執拗に追いかけ回すようなことがなければ、じきに喧嘩は収まります。どうしても喧嘩を止めない場合、それは霧吹きなどで水をスプレーし、びっくりさせることで猫の興奮状態を止めるという方法があります。猫の喧嘩はストレス発散になるので止めない方がいいともいわれていますが、あまりにもひどい場合は仲裁に入りましょう。
ほかの猫とにらみ合っている場合
このパターンは、飼い主としては気が気でないかもしれませんが、止めようとすると自分にも危険が降りかかってくる可能性があります。というのも、猫が興奮状態に入ると、飼い主かどうかわからなくなってしまい、本気で噛んだり引っ掻いたりしてくるからです。普段は大人しい猫でも、本気で攻撃されると大ケガになってしまうことがあります。このような時は、直接止めに入るのではなく、大きな音を出して驚かせたり、段ボールを猫と猫の間に置いたりして二匹の距離を遠ざけるのが賢明です。
いわゆるしつけと違い、飼い主である人間が猫の喧嘩を止めるのは難しいといわれています。猫は人間よりも俊敏で反射神経が良いので、どうしてもタイミングが合いません。また、人間の方がカラダが大きいため、猫に恐怖心が植え付けられてしまう可能性があります。そうなると、せっかく築いてきた信頼がなくなり、飼い主と猫の関係がぎくしゃくしてしまいます。
このような猫の性格を認識して、猫の喧嘩は基本は見守るようにし、あまりにもひどい喧嘩になってしまった時は、大きな音やスプレーでびっくりさせて止めてあげましょう。また、喧嘩を通じて野良猫から飼い猫に感染症をうつされる可能性もありますので、十分な注意が必要です。