【獣医師監修】猫の鼻水と病気の関係。考えられる原因や治療法、予防法について

猫にも、人間同様鼻水やくしゃみといった症状がみられます。普段は何もないのに、突然鼻水を流したり、くしゃみが止まらなくなったりしたら、心配になるものです。そこで今回は、猫の鼻水について解説していきたいと思います。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫が鼻水を出す理由

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猫の鼻は、人間と比較するととても小さいように思いますが、じつは繊細な機能が集まっている大切な場所です。じつに、人間の1万~10万倍の感度があるといわれています。また、猫の鼻は粘膜からの分泌液で湿っているので、においの粒子が吸着しやすいという特徴を持っています。

また、猫の鼻は独特の構造をしていて、吸い込んだ冷たい空気を温かくし、湿り気を与えます。加えて、鼻粘膜の繊毛が外部からの異物の侵入を防いでいます。この鼻粘膜の白血球やリンパ組織が細菌やウイルスを阻止する役割を果たしているのですが、鼻水が出るとこれらの機能がストップしてしまい、細菌やウイルスが侵入しやすくなります。

この猫の鼻水については、一時的なものか恒常的なものかを判断しなければなりません。一時的なものの例としては、刺激物を食べた時、急に冷たい空気を吸った時などです。人間と同じようなアレルギー性鼻炎の猫は、何かしらのアレルギーがそのほかのアレルギーを引き起こすことがあり、慢性的な鼻水になることがあります。

猫の鼻水の原因として多いのは、猫風邪と呼ばれるウイルスや細菌による症状です。この猫風邪、ひどくなると重症化してしまったり、後遺症が残ってしまったりすることがあります。

猫の鼻水の治療・予防方法

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猫の鼻水は、病気の場合は自然治癒が難しいので、原因を特定して適切な治療を施します。それではどのような場合に、動物病院に連れて行けばいいのでしょうか?

●発熱を伴う
●食欲不振
●目の炎症を伴う
●鼻水が数日間続く

これらの症状が出た時は、放置しておくと悪化してしまうため、獣医師に診てもらった方が良いでしょう。

猫の鼻水がアレルギー起因の場合

アレルギーが原因で鼻水が出ている場合、アレルギー性皮膚炎が疑われます。この病気のアレルゲンはノミ・ダニ・ハウスダストなどで、これらとできる限り接触しないように努めます。患ってしまった場合には、ステロイド剤などの投与および食事療法で治療します。

猫の鼻水が猫風邪起因の場合

猫風邪は伝染性呼吸器症候群とも呼ばれ、「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「クラミジア感染症」の3つの病気が主な原因です。生まれて間もない仔猫は、母乳からこの症状にならない抗体を体内に吸収できるので大丈夫なのですが、生後2~3か月も経つと、抗体の効果が薄れてしまうため猫風邪を患う確率が高くなります。

多頭飼いの場合は注意が必要

猫を多頭飼いしている場合には、一匹の猫が猫風邪をひいてしまうと、その猫の鼻水や唾液にほかの猫が触れて感染する可能性があります。そのため、一匹でも猫風邪をひいてしまった猫がいる時には、猫風邪の症状が治まるまではケージから出さないなどして隔離し、治療に専念させてあげてください。

このように、猫が鼻水の症状にならないようにするためには、猫の生活環境を適切な温度・湿度に保つことが大切です。また、空気清浄機を利用したり、こまめに換気を行ったりするなど、空気をきれいにしておくことを心掛けましょう。恒常的な鼻水が出ている場合には、水分を多めに補給させます。同時に、鼻水の状態やそのほかの症状が出ていないかをチェックしましょう。食欲の低下がある時は、何かしらの病気を患っているサインですので、症状が悪化する前に獣医師に診てもらいましょう。

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