愛犬の健康寿命を延ばすには健康診断を！
愛犬の長寿化が進んでいる昨今、私たち獣医師に求められるのは、病気やけがの治療だけでなく、愛犬が一日でも長く健康に過ごせるよう、病気を未然に防ぐこと。近年は多くの動物病院が“予防医療”に力を入れていますが、この取り組みを広めるプロジェクトとして、全国の動物病院や獣医師と連携して発足させたのが、Team HOPEです。
予防医療でいちばん重要なこと――。それは飼い主さんによる健康管理です。私たちが施策として提案しているのが、愛犬の健康を保つ「ウェルネスチェック」と、病気から守る「Team HOPE 健康診断」。例えば予防接種などで動物病院を訪れた際に、愛犬の健康状態を自身で気軽にチェックできる“ウェルネスチェックシート”は、健康管理だけでなく、獣医師に体調変化を的確に伝えられるため、最善の診断、最善の治療を受けるために役立ちます。
「Team HOPE 健康診断」は、今まで各動物病院で行われていたベーシックな健診項目を全国で統一することで、より安心して受診できるようになりました。また項目を統一したもうひとつの利点が、ビッグデータの活用。全国の健診結果が病気予防や治療のために役立つデータとなり、皆さんの愛犬の健康管理にも役に立つというわけです。
現在このプロジェクトに賛同し、チームメンバーに登録している動物病院は約1720軒（10月末現在）。各動物病院の啓発活動に加え、獣医師によるセミナーや講演会の開催、イベントなどへの参加で、定期的な健康診断の受診を呼びかけています。
動物は痛みを隠す習性があるため、飼い主さんのなかには愛犬の異変に気づくのが遅れ、受診されたときにはすでに重篤な状態になっているケースがあります。「もっと早く気づけばよかった」と後悔する前に、年に1回以上の健康診断で健康状態をきちんと確認し、病気の予防・早期発見の心がけを。うちのコ記念日や愛犬の誕生日、予防接種などの機会に「健康診断の日」を設け、愛犬が一日でも長く元気で過ごせるよう、飼い主さんがしっかり健康管理を行いましょう。
飼い主さん自身が愛犬の健康状態をチェックする“ウェルネスチェックシート”。
生活全般・食事・排泄・体や部位などについてのチェック項目があり、ひとつでもチェックがついたら、獣医師に相談を
「Team HOPE 健康診断」の検査結果の報告書。
健診内容は、問診・視診・触診・聴診・便検査・尿検査・レントゲン・血液検査など。全国の動物病院共通のものです
Team HOPEが制作した“見まもり手帳”は、年齢換算表や健康診断のメリット、ワクチンで予防できる病気、器官別の起こりやすい病気など、健康管理に必要な情報が満載。
こちらは獣医師が飼い主さんに説明する際に使用します
一般社団法人 Team HOPE
http://teamhope-f.jp/
チームホープは、ペットの予防医療と健康管理の普及・啓発活動を推進するプロジェクトです。Team HOPE 健康診断をご希望の場合は、ホームページの「病院検索」からお近くの動物病院を検索し、直接動物病院にお問い合わせをお願いします。
一般社団法人 Team HOPE 代表
太田亟慈（じょうじ）さん
犬山動物総合医療センター 代表。
「家族の一員である愛犬と、少しでも長く一緒に過ごすために必要なのが“予防医療”。それを実現させるプロジェクトの一環として、全国の動物病院と獣医師が連携し、Team HOPEを発足させました」。
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構成／ SOULWORK
撮影／秋馬ユタカ
取材・文／土屋みき子
